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「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

こう考えれば円高は怖くない(前編)

2021年05月06日 | 政治・経済
(映画「ウォーリー」に見る未来社会のデザイン)
2008年に、「WALL・E(ウォーリー)」という映画が公開されました。ディズニーがピクサーという会社と組んでつくったCGアニメで、「700年分の感動」などと言って宣伝しているので、「すごい広告だな」と思って私も見てみました。

ストーリーは次のようなものです。
舞台は未来社会の地球ですが、ニューヨークらしき街のなかはゴミの山になっており、環境汚染がひどくて住めないので、人類は巨大な宇宙船で宇宙旅行に出てしまっています。「地球は汚(きたな)いから、きれいになるまで宇宙に行っていましょう」ということで、豪華客船で地球一周クルーズをするように、全員が宇宙クルーズに出て地球を脱出しており、街には人っ子一人いません。

地球には人間も動物もいない状態ですが、そのゴミの山を、ウォーリーという名前の小さなロボットが、一台だけで片付け続けています。ソーラー電池で動いているため、700年もの間、止まることなく、地上のゴミを固めては積み上げる作業を延々と続け、ビルとビルの間にゴミの“高層ビル”をたくさんつくっているのです。「それを700年もやっていた」というのは突飛な話ではあります。

人間は宇宙船のなかで快適な生活をしています。宙に浮いた椅子の上に寝て、液体の食料のようなものを飲んでいます。また、歩く必要がないので足も退化し、足首まで太くむくみ、ウエストのサイズは100センチ以上もあるような体形です。

みな、自動で動く椅子に横になったまま移動している状態で、人間の世話をするロボットがたくさん動き回っています。そういう社会です。

一方、地球では、一台だけ残った、そのゴミ処理ロボットが、一生懸命にゴミを片付け続けているうちに、少しは環境が浄化されたのか、小さな植物が一本、地上に生えたのです。

宇宙船からは、地球の環境がどうなったかを調べるために、ときどき探査ロボットが来ていましたが、あるとき、探査ロボットのイヴが、その植物を採取し、宇宙船に持ち帰ります。

「植物が生えた。それなら地球に帰れる」ということで、人間たちが地球に戻ってきますが、その間に、いちおう女性ということになっている探査ロボットのイヴと、ゴミ処理ロボットのウォーリーとの間に恋愛が芽生えるのです。

そういう変わったストーリーです。
このストーリーの裏には、地球環境問題なども、当然、含まれています。「人類の未来は、それほどバラ色ではなく、地球は汚染されて住めなくなり、脱出の時期が来る」というのは、ありうる想定です。

「ゴミの山が高層ビルのようになっている」というのも奇想天外ですが、「植物が生えれば、また農業ができる」ということを、最終的な幸福のように設定していることも見て取れます。

また、宇宙船は、舵(かじ)のような形をしたロボットが自動操縦で動かしていましたが、艦長が、そのロボットと戦って手動操縦に切り替え、自分で操縦して地球に帰ってきます。

要するに、「人力に戻り、原始に戻ることで、希望が生まれる」というような物語でした。これは、ルソーの「自然に戻れ」という運動のようにも見える意味合いを持っているので、ディズニーとしては、「思想性のあるものをつくった」ということだと思います。

こういう映画を見ても、「未来社会というものは、どのようにデザインするかによって、どういうものにでもなるのだ」ということを感じます。「創造力によって、いろいろな社会が展開しうる」ということです。

環境汚染のために地球を脱出しなければいけないような世界にもなれば、まったく仕事のない人間社会をつくることもできるし、「農業に戻り、自然に戻るのがユートピアだ」と思うような価値観を持つ世界にすることもできるのです。考え方は、いろいろなのです。

---owari---

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