「夏の野外活動の思い出」十津川編です。
その年の夏は、スリル満天!空中散歩の奈良県十津川の「谷瀬のつり橋」付近でキャンプをすることにしました。
「谷瀬のつり橋」は日本有数の長さを誇る鉄線のつり橋で、巨大なつり橋は長さ297メートル、高さ54メートルもあります。
歩くたびにゆらゆらと揺れるつり橋はスリル満点! まるで空中を散歩している気分です。
十津川村ナンバーワンの観光スポットになっています。
そびえ立つ深い山々に囲まれ、眼下には清澄な十津川(熊野川)が流れ、まさに絶景! 今でも最高のロケーションです。
さて、キャンプは土日を利用して行くことにしたのですが、素晴らしいキャンプ地に長く居たいために、金曜日の仕事が終わってから十津川方面に近い場所で宿泊することにしました。当時、田舎の国鉄(現JR)の駅で仮眠することにしたのです。
国鉄のとある駅は夜遅く列車が着くたびに、オートバイの兄ちゃんが数台やって来ました。最初はよく分からなかったのですが、若い女性が列車から降りて来るたびに、乗っていかないかと声を掛けているようでした。
私たちのグループも若い女性が多かったので、女性が駅のトイレを利用する時はグループの男性を同行させていました.
たまたま、同行した男性が派手なアロハシャツを着ていたので、オートバイの兄ちゃん達から「あんたら何処のもんじゃ」といちゃもんをつけられたのでした。
私たちのグループの他の男性が説明をして、その時は事なきを得たのですが、最終列車が着いた後は私たちのグループに危害が及ぶ雰囲気となったため、荷物をまとめて駅から逃げることにしました。
逃げると言っても田舎のこと、早くから家の明かりが消え、夜中に駆け込む家や場所もなく、困りました。そして、とあるお家の庭に女性を集めて隠れさせました。
私たち男子はオートバイの兄ちゃん達の動向を探っていました。やはり、私たちが駅中にいないということで、兄ちゃん達も探していたようでした。
そうこうしていると、逃げ込んだ家の人がドアを開けて、何事があったのですかと聞いてくださいまして、私たち全員を家の中に入れて頂いたのです。夜中の1時過ぎだったと思います。これで、助かりました。
その後、そのお家がその町の高校の先生だったことが分かりました。
キャンプから帰って、お礼状を先生に送ったのですが、先生からは「私たちの町に来て頂いたのに、いやな思いをさせて申し訳なかった」とご返信を頂きました。
さて、本題はここからです。
このような事態を招いたので、キャンプを中止すべきか、続行すべきか、判断を迫られました。
みんながキャンプを楽しみにして、準備してきたことは知っています。続行すると言えば反対する人はいないことも分かっていました。しかし、私の経験ではこのような事態があった場合、何か気をつけなさいというシグナルだと私は感じていたのです。
キャンプは予定通り続行しましたが、何か悪いことが起きるのではないかと少し不安もありました。「谷瀬のつり橋」から落ちるというような事故はないと思っていましたが、予期せぬ事態が発生しました。
バスで「谷瀬のつり橋」に着いてから、このつり橋を渡り、その下にある十津川の河原で休むことにしました。
お茶を飲むということで、お湯を沸かすことになりました。ポータブルガスコンロで湯を沸かすために女子が火を付けようとしたのですが、私は何か嫌な気配を感じ、私が火を付けると言って代わったのです。
ガスコンロに着火したとき、大きな火が塊となって、私の顔面を覆ったのでした。その瞬間を「谷瀬のつり橋」から見ていた友達は私の顔が火の中にあったと表現したのでした。
私は一瞬のことでしたから後ろにのけぞることもできず、顔を右に向けるのがやっとでした。
顔面の左半分が大やけどしたのでした。しかし、ラッキーだったことは川があったことです。
とにかく、冷やさなければ焼けただれそうで、私は川の浅瀬の水に顔面の左半分を浸けたままで息をしていました。
その間にグループのみなさんは近くのお土産店にお願いをして、車を出して頂きました。車に乗ってから村の診療所までは10分程度だったと思いますが、非常に長く感じました。
女子2人が車に同乗して、濡れたタオルで冷やしてもらったのですが、10秒ほどしか効果がなく、バケツの水で再び冷やし、10秒程度の間隔で濡れタオルを交換してもらいました。
やっと、診療所について、やけどの薬を塗ってもらったら、今までの痛みがウソのように引いていきました。薬の効能は本当に素晴らしいと実感したのもこの瞬間でした。
実は、私たちグループ全員は製薬会社に勤めていまして、大げさに言えば薬の偉大さが本当によく分かった経験でした。そして、そのやけどの薬が自社の製品であったことにまた驚いたのでした。
それから、会社で薬を製造するということはどれほど世の中に貢献しているのかということを教えてもらった貴重な実体験でもあったと感謝しました。
話しは戻りますが、なぜガスコンロに着火したとき、大きな火が塊となったのか、後で調べて分かりました。ガスボンベを持っていた男子が河原に着いた後、リックから出して外に置いたのですが、炎天下だったためにボンベの温度がぐんぐんと上昇し、ボンベの圧力が増して、大噴火の状態になったのです。
カセットコンロのガスボンベの事故は今では時どきテレビや新聞で報じられていますが、取り扱いには注意をして頂きたいと思います。
診療所の先生はやけどの痕が少し残るかもしれないと言われましたが、面の皮が厚かったのか、薬がよく効いたのか分かりませんが、跡形もなくすっきりと治りました。
教訓は、何か不測の事態が起こったときや行く手を阻む事態が生じたときは、冷静に判断して、事態に対処できるようにしておくことが大切であると思います。
私がモットーにしている格言に、「最善を望め、そして最悪に備えよ」というものがあります。
しかしながら、最高の対策は仏神にお守りいただけるような日々を過ごすことが、一番大事なのだと思ったのです。
---owari---
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