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日本という名前が生まれた理由(前編)

2023年05月13日 | 日本
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先週は、日本が「日本」になった時の歴史をお話しさせていただきました。世界と言っても、当時は東アジアの中でのことですが、この中で生き延びていくためには、どうしても中国という国の傘下で刺激しないようにしていくことが必要であった、ということなのだと思います。白村江の戦いで、最初の日本対中国朝鮮連合に敗れた以上、それまでの国号は捨てなければならなかったということなのかと思います。

「倭」という国名が、良い名前だとは私も思いませんが、白村江(はくそんこう)の戦いがなければ、日本は、文字を「和」と変えて国号としていたのではないかとも考えます。
現代に置き換えて見るなら、金正恩がどこまで本気なのか信じられないというのが本音ですが、当時の日本からの使者の言うことも同じで、どこまで本当のことを言っているのかは信じてもらえなかったのだろうと思います。なにしろ、唐に対して数万の兵を送り戦争を仕掛けたわけですから。現在の北朝鮮の姿が、1300年前の日本であったのかもしれないのです。

さて、どうやら持統天皇の時、私は701年の大宝律令の発布の時だと考えていますが、国は日本に名前を変えました。では、当時の日本は、なぜ「日本」と言う名前を選んだのかをもう少し別の観点から考えてみたいと思います。

先週のレポートで発表させていただいたように、経緯はどうであれ、旧唐書に記載されているように「その国は日の昇る所にあり。故に『日本』という名をなす」と言うのは事実でしょうし、聖徳太子が出したとされる親書にあった「日出処」と言う表現が念頭になったのも間違い無いと思われます。

ただ、当然のことながら、日本が本当に「日出処」であるわけではなく、中国の視線に立つと東にある日本は、日出る方向になると言うことです。つまり、日本とは、やはり中国を意識して名付けた名前だったのです。

日本には「日の本」と言う表現があります。日の昇る本ということでしょうが、本は物事の根源という意味で使われることが多いのも事実です。そうであるなら、日本には、太陽そのものであるという意味が込められていることとなり、意味合いも少し変わってきます。

日本が太陽信仰をするようになったのは、きっと、原始の時代からだと思われますが、皇祖神として伊勢に天照大神を祀り始めたのは、日本書紀にある垂仁天皇の時ではなく、やはり、壬申の乱の時の天武天皇の祈願が成就した時からだと思います。そう考えると、時期的な背景としても日出処という意味合いよりは、太陽のご加護のある国という意味合いが強かったのかもしれません。

面白いのは、日本書紀の中には「日本」という言葉が、225回も使われています。これは、日本書紀という書物名を除いた数です。これに対して、古事記の中には、なんと一度も出てこないのです。つまり、日本という言い方は、この国号が決められた時以降になって、無理やり使われ出した用語であって、それ以前に単語として存在していた言葉ではなかったのです。

日本書紀の中では、日本と書いてヤマトと呼ばせています。ここにも、中国向けに書かれた書として、倭を消して日本に変えた痕跡が残っているのだと考えます。ただ、無造作に書き換えたのではありません。日本書紀の中に倭は189回登場しています。日本と倭を巧みに使い分けているのです。

そもそも、「日」は古代より太陽を表していましたが、日を使った言葉ではどのようなものが使われていたのでしょうか。

まずは「日向」という単語があります。天孫降臨が行われた場所が、日向の高千穂峰です。現在の宮崎県が日向国と呼ばれました。日本書紀では、景行天皇が「日の出づる方に向けり」と言い日向と名付けたとしています。

一方で、神話の中の日向は、宮崎県の日向を指すものではなく、一般的に日当たりの良い東に向かった場所を日向と言ったと解釈されています。これは、歴史の中に宮崎県の日向でなければならない必然性を誰も見出せないからなのです。従って、天孫降臨が行われたのも、宮崎県の高千穂ではないという意見も多くみられます。

しかしながら、神武東遷の出発地は日向であって、その後の経路を見ると、宇佐を経由して筑紫にいくわけですから、どう考えても日向は宮崎の日向だとしか考えられません。やはり、宮崎県の日向を念頭にして神話の世界が作られたのは間違いないのではないでしょうか。

---owari---
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