「新たな世界秩序」などというと、「戦後派」の政治家や官僚、学者たちは、「戦後の日本はとてもそんな大それたことはできない」とか、「戦前の反省を忘れたのか。日本はおとなしくしているほうがよい」などといって首を横に振るが、そんなことはない。これまで述べてきたように、日本の実力をもってすれば、日本人も新しい世界秩序を打ち立てられるのである。
世界中に「勤勉と努力こそがいちばんの美徳である」と思わせ、和の精神や日本人の美意識などを伝える。「そこには普遍性がある」「これこそがグローバル・スタンダード」などという必要はない。世界が勝手に真似を始めるような“美しく強い日本”を示せばよい。日本がめざす“美しく強い国”は他国を脅(おびや)かさない。相手が理不尽なことを仕掛け続けてくれば、日本はそれにしかるべきレベルで対応するが、そうでないかぎりはきわめて安心な国である。実は、帝国主義時代の日本もそうだった。
経済的な豊かさはすでに獲得しているし、歴史の蓄積に裏打ちされた教養もある。お金持ちで技術力もあるから他所から何かを盗んだり、毟(むし)り取ったりする必要がない。世界中の人々が日本人の価値観や美意識に感動を覚えれば、日本が語る世界秩序は受け入れられやすくなる。
これがすでに実行されつつあることは、先に述べたアニメーションや漫画などを通じて世界の人々、とくに子供たちの多くに日本人の価値観やモノの考え方、仕事の仕方が伝わり、共感を呼んでいることでも明らかである。「反日」中国でも「反日」韓国でも、日本のアニメーションや漫画は大人気、かの国の政府がいくらそれを規制しようとしても止められない。
(日下公人著書「『超先進国』日本が世界を導く」より転載)
---owari---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます