今日は国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。
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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
去年から今年にかけて、中国が尖閣に侵攻する兆候がでています。
たとえば、
・2020年4月14日から111日間連続で、中国公船が接続水域を航行した。
・2020年10月、中国公船二隻が57時間39分にわたって領海侵犯。
これは、過去最長。
・2021年2月、中国海警の武器使用を認める「海警法」が施行される。
時事2月1日。
<【北京時事】沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海への侵犯を繰り返す中国海警局の船舶による武器使用について明記した「海警法」が1日、中国で施行された。>
これらはすべて、中国が「尖閣侵攻の準備をしている」証拠です。
いえ、尖閣諸島もそうですが、「そこの海域を、自国領海にしてしまう試み」ともいえるでしょう。
中国は、「尖閣は我が国固有の領土で核心的利益だ」と主張している。
だから、彼らにいわせると、尖閣周辺は「中国の領海」なのです。
「海警法」ができた。
これからは、尖閣周辺の海で日本の漁船や海上保安庁の船を見つけたら、
「ここは中国の領海です!すぐに立ち退きなさい!」と警告。
日本の船が指示に従わなければ、「攻撃してもいい」という法律ができている。
現状、抑止力になっているのは、アメリカです。
これまでに、バイデン大統領、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官、サリバン大統領補佐官が、相次いで「尖閣は日米安保の適用範囲」という声明を出しています。
つまり、習近平が「尖閣に侵攻しようか、やめておこうか」と考える時、
「米軍がでてくるよな」というファクターを考えざるを得ない。
しかし、中国軍が尖閣に侵攻したら、速攻で米軍がでてくるわけではないでしょう。
やはり、海上保安庁、そして海上自衛隊、最後に米軍という順番になる。
もし日本政府が、速やかに「戦う」という決断を下さず、
「中国が尖閣に上陸し占拠したのは真に遺憾であり、到底容認することはできません。断固として抗議します」などといっていたら、それで終わりです。
中国は尖閣諸島占拠を完了し、大軍が島を防衛するようになる。
ロシアがウクライナからクリミアをサクッと奪ったような状態になり、ジ・エンドです。
だから、日本側も、尖閣に上陸させない体制、上陸されたら超特急で取りかえす体制をつくる必要がある。
「菅総理の長男があーだこーだ」でウロウロしている日本政府、準備はできているのでしょうか?
ほんの少しですが、動きはあるようです。
<尖閣上陸目的で接近の場合、自衛隊が「危害射撃」可能…岸防衛相が見解 2/26(金) 23:42配信
岸防衛相は26日の閣議後の記者会見で、中国の海上保安機関・海警局などの船が沖縄県の尖閣諸島に上陸する目的で島に接近した場合、「凶悪な罪」だと認定し、自衛隊が、相手を負傷させる可能性のある「危害射撃」を行える場合があるとの見解を示した。>
要するに、むこうが攻撃してくる、いわゆる正当防衛でなくても、上陸目的で尖閣に接近しただけで日本は攻撃できるというのです。
ここの部分、はっきりしてくれないと、現場は困りますね。
私が「尖閣から日中対立が激化する」と書いたのは、08年出版の「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)でした。
さらに、2012年11月、中国がロシアと韓国に「反日統一共同戦線戦略」を提案した時、広義の「日中戦争ははじまった」とみています。
「広義の戦争」とは、「戦闘」だけでなく、「情報戦」「外交戦」「経済戦」「代理戦争」も含むという意味。
そして今、一般的意味での「戦争」(=戦闘)が起ころうとしています。
もちろん、私たちは、それが起こらないように祈るべきなのですが。
祈りだけでなく、備えが必要です。
同盟国アメリカとの関係をますます良くしつつ、自力でも中国を食い止められる、追い出せる準備を早急に行っていく。
中国側に、「攻めたら負ける」と確信させることが、戦争(戦闘)を止める、最高の方法です。
---owari---
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