父は四人兄妹だった。叔母二人は私の歳にはすでに亡くなっている。末っ子の叔母は私が生まれた時、まだ嫁いでいなかったので、生まれた日のことをよく話してくれていた。私が幼かった頃はお正月、お盆、お祭りには三人の叔母達がいとこ達を連れて実家に来ていた。その頃は祖父母も元気でにぎやかだったことが思い出される。
兄姉の中で一人残っていた叔母は明るい人で病気になるまでは老人会、ゲートボール、カラオケと楽しく忙しく過ごしていたようだ。盆踊りの時は櫓の上で歌っていたとか・・。野球を見に行った時、大声で応援するので孫が恥ずかしがったとか。内気で人見知りする私の性格は叔母に似ていないが、可愛がってもらった。
その叔母が亡くなった。88歳の誕生日を迎える四日前だった。叔父が拾数年前に亡くなり、二男を32歳の若さで亡くし、辛く悲しいこともいっぱいあったことだろうが、孫、ひ孫に恵まれ、先に逝った叔母たちより20年も長生きだった。安らかな最期だったことが残されたいとこ兄妹のせめてもの慰めだろう。
笑っている遺影から叔母の元気な声が聞こえてくるようだった。眠っているような叔母の棺に花を手向けながら「叔母さん、今までありがとう。安らかに眠ってください、さようなら」と語りかけながら涙があふれた。父方、母方の叔父叔母達は皆お浄土へ帰った。