有志舎の日々

社長の永滝稔が、 日々の仕事や出版・学問などに関して思ったことを好き勝手に 書いていきます。

学術書出版社のコネ採用?

2012-02-13 14:55:47 | インポート

雑誌『アエラ』最新号の記事に、岩波書店の社員募集に関する記事が載っていました。何でも、応募資格に「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」という項目があって、これが「コネ採用ではないのか」と話題になったというものです。

でも、この程度のことはどこの学術書出版社でも昔からあるんじゃないですか?それにあくまでも応募資格なのであって、試験なしのコネだけで採用するなどと言っていないわけで、これは一般で言う「コネ採用」の範疇には入らないでしょう。なぜ『アエラ』ともあろう雑誌が、こんなネット右翼の2ちゃんねるみたいな記事を出すのか、まあ今の朝日新聞社はその程度なのでしょうが(こういう事を書くと、当社の本は新聞書評で取り上げてくれなくなるかもしれませんが)。

私が二十数年前に吉川弘文館を受けたときも、大半の学生は指導教官の紹介状を持ってきていて、それが当たり前でした。もっとも、私は紹介状が必要だなどという事は知らずに就職試験と面接を受けにいったので、会社の人から「紹介状は?」と言われて驚き、「もらって来ていませんが、ダメですか」といったら、「まあ、いいです」と受けさせてくれて、結局、採用されました。紹介状なんて採用・不採用を左右するものではなかったということでしょう。

この年の大卒採用は私を含め2人でしたが、今でも一般的に学術書出版社は小さな会社が多くて新規採用は欠員募集の1人か2人です。だから採用に失敗は許されないわけで、大手企業のように何十人・何百人も採って優秀な人間だけ残れば良いなどという悠長な事は言ってられないのです。採用に失敗したら、それが直接会社の浮沈に関わるわけで、しかも学術書を作るわけだから大学できちんと勉強している学生でないと使えません。それには指導教官が責任を持って紹介できるような学生じゃないと安心できないという事はあるでしょう(一回や二回の試験・面接では本当に勉強している学生かどうかは分かりませんからね)。

でも、岩波の場合は一般的な「指導教官の紹介」ではなく、「岩波書店の著者の紹介」というところが気位の高さを示していて、さすが「岩波帝国主義・帝国意識」というところでしょうか(こういうイヤミを書くとまた怒られそうですが・・・)。

今日は、ブラック永滝でした。


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