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有志舎の日々

社長の永滝稔が、 日々の仕事や出版・学問などに関して思ったことを好き勝手に 書いていきます。

「ダメなものはダメ」ということ

2014-09-28 12:10:42 | 政治・社会

元・社会党委員長で衆議院議長をつとめた土井たか子さんが亡くなったとのこと。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2014092801001295/1.htm
一番、総理大臣になって欲しい、そして日本の女性総理第一号になって欲しかった方で、私も大好きでした。
彼女の精神を受け継ぐ女性議員が内閣を多く占める事こそが日本の美しい未来だと信じます。安倍内閣に見るような、ただ女性だというだけで、実は「女性の敵」であるような人物が大臣になっていては意味はありません。
憲法学者でもあった土井さんの精神を引き継ぎながら、「ダメなものはダメ」と言い続ける出版人でありたいと私も思います。

最近の、中途半端にリベラル風で、新しいことを言っているように見えて、それでいて結局は自国中心主義的な若手の政治史・思想史研究者の発言を本や論文で読むたび、私は頑固に「それはちがう!」と出版を通して言い続けることが大事だな、と思っているこの頃です。


数々のこと

2014-09-22 12:50:33 | 政治・社会

ここ数日の間、FACEBOOKで教えていただいた記事などについて転載します。

①これこそが本当のイスラーム教徒なのでしょう。なかなか出来ないことです。
在日朝鮮人や生活保護家庭、福島の被災者の人たちが不当な「特権」を得ているかのように批判する、日本に巣くう「貧困なる精神」とは天と地の違いです。
http://whats.be/16430

②池上彰氏が「朝日」叩きに狂奔するマスコミを叱責。まさしく、この通り!
http://lite-ra.com/2014/09/post-482.html

③「吉見裁判」の報告リポート。これまた、その通り。
有志舎・永滝は絶対的に吉見義明さんを支持します。面識はないんですけど、彼の著作は素晴らしいし、何よりも「吉田証言」が虚偽だったから「従軍慰安婦は捏造だ」という捏造を平気でしてくる歴史修正主義者に、歴史学に関係するすべての人が反対すべきだと思っているので。
http://www.yoisshon.net/2014/09/5_16.html

④辺野古問題をめぐって宜野湾市がとった行動。これはひどい。恥を知れと言いたいです。
https://twitter.com/ihayoichi/status/513348599455809536/photo/1


ジャン=リュック・ナンシーの新著『思考の取引-書物と書店と-』

2014-09-16 14:06:44 | 本と雑誌

私の地元・高円寺にある「古本酒場コクテイル」マスターの奥様である西宮かおりさんが翻訳した哲学者ジャン=リュック・ナンシーの新著『思考の取引-書物と書店と-』(岩波書店、本体1900円)が刊行されました。書籍と書店の意味を現代思想から分析した本です。「書物・書店を哲学する」って日本ではちょっとないですよね(あったかな?)。
実は、西宮さんは東大大学院の出身で、哲学・表象文化論の小林康夫さんのお弟子さんなんですよ。「コクテイル」が持つ文化性はこういう所からも醸し出されているのかもしれません。
あ、別に東大だからエライというわけではなく、そんなことご本人はお店では絶対言いませんし。むしろ、そういう風には見せないで、マスターと口喧嘩しながら店をきりもりしている奥さんが(ただ、最近は子育てがいそがしいのか、店にはあまり来られませんが)、普通にフランス現代思想の翻訳家って。少なくとも、私は最初に聞いたとき驚きましたから。

この本の中の一節を引用します(一部、表現を分かりやすく繋いであります)。...
「(書物とは)それ自体完全にして十分な思考であって、情報や表象、あるいは想像の手段などではありえない」
「(書店主・書店員とは)書物の商人ではない。超越論的な読者である。顧客たちは彼(彼女)から購入した書物の読者であると同時に、彼の読書の読者なのだ。彼らの読書は「選択」としての(「選択」という名の)読書なのだ。自ら心に抱くイデアに従い、勧めるべき書物についての考えを選り取り、選り抜き、拾い集めていく行為なのである。」

有志舎も、「完全にして十分な思考」に値する書籍を頑張って出していきたいと思います。
ジャン=リュック・ナンシー著・西宮かおり訳『思考の取引-書物と書店と-』、是非ともお買い求め下さい。

https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/3/0259900.html


日本の国連安保理非常任理事国への立候補に関して

2014-09-08 14:49:41 | 国際・政治

以下の記事は、私の大学の後輩でアフリカ現代史研究者の高林敏之君がFACEBOOKに載せた論評です(丸ごとコピペさせてもらいました)。テーマは、日本の国連安保理非常任理事国への立候補に関してです。
日本外務省はたびたび経済援助をちらつかせて(時には「援助を止めるぞ」と脅して)色々な国の立候補を辞退させているという事を遅まきながら知りました。札束でひっぱたいて言う事をきかせるとは、まるでヤクザかヤミ金ですね。しかも、そのことを誇らしげに宣伝している日本パプアニューギニア協会って・・・?この団体には戦友会も関わっているという事で、太平洋戦争の亡霊が今も徘徊し続けている事に怒りを禁じ得ません。

(以下が高林論評の記事です)

昨日、日本がバングラデシュの国連安保理非常任理事国への立候補を辞退させ「支持」を取り付けたことに関する論評を投稿した。その中で、過去の当選時にもパプアニューギニアやモンゴルを辞退させていたことに言及した。
次のリンクは、パプアニューギニアの辞退に関する舞台裏を毎日新聞が報道したものを、「日本パプアニューギニア協会」の機関誌が転載したものである。後にイラクで武装勢力に射殺された奥克彦・国連政策課長(当時)ら外務省官僚がパプアニューギニア政府を恫喝し辞退させたさまが赤裸々に描かれている。この事件が起こったのは2001年のことである。
   http://www.jpng.or.jp/pdf/bird_of_paradise04.pdf
 太平洋島嶼国で最大の国家パプアニューギニアでさえもが、こうして安保理に席を占めて発言・投票する機会を奪われ、結果、今日に至るも太平洋島嶼国は安保理理事国になった経験がない。かかる現状が果たして望ましい状況だと言えるだろうか?
   改めて念を押すが、かかる強権外交は安倍内閣によって始められたのではない。外務省の一貫した政治姿勢なのである。
 それにしても、毎日の元記事は日本外交のあり方を批判的に検証する記事であるのに、転載した日本パプアニューギニア協会はむしろ誇らしげに取り扱っている。無理もない。この協会は、よくある外務省と財界の関連団体なのであるから。おまけに戦友会まで絡んでいる(役員名簿や法人会員一覧をご覧いただきたい)。
   http://www.jpng.or.jp/archives/010/index.html
 外務官僚出身者が役員に多数名を連ねる団体の機関誌がこうして嬉しげに載せるぐらいだから、記事に記された辞退工作は事実であると認めていることになる。よく恥ずかしくないものだ。