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有志舎の日々

社長の永滝稔が、 日々の仕事や出版・学問などに関して思ったことを好き勝手に 書いていきます。

『小野梓と自由民権』

2010-02-17 16:37:21 | 出版企画をめぐって

先日、勝田政治先生(国士舘大学教授)から『小野梓と自由民権』の原稿を頂戴しました。小野梓は自由民権運動家で立憲改進党の創設メンバーであり、イギリス流の立憲政治を理想として終生かかげた人です。この原稿を読んでみて、小野梓という人物は意外にも「熱い」男だという事を初めて知りました。不正は絶対に許さない、道理に合わないことには絶対妥協しない、そういう頑固一徹なところに好感が持てます。

自由民権研究が下火になって久しいように思いますが、日本における近代民主主義の始まりとして、今こそきちんと自由民権を考え直さないといけないんじゃないかと思っています。去年は政権交代を果たした事ですし、真の「民主政治」というものを歴史のなかから見直すことが絶対必要なのではないでしょうか。

ちなみに、小野梓は早稲田大学の創設者の一人ですので、早稲田大学の先生・学生さんやOB・OGの方々、6月くらいには出版の予定なので、ぜひ読んでください。どういう志をもって早稲田大学を創設したのかを知れば、ますます愛校心がわくかも!?

それにしても、著者の勝田先生との付き合いは長いのですが、私が単著を出版させていただくのは吉川弘文館にいたとき以来なので、ずいぶん久しぶりとなります。原稿をいただいたあと、打ち合わせに行って一緒に飲んで盛り上がり、翌日はすっかり二日酔いになってしまいました・・・。


田中浩記念「光る風」歴史図書賞 選考・発表会

2010-02-08 15:28:57 | 出版

私は、歴史書の編集者でやっている勉強会「歴史編集者懇談会(略称:歴編懇 れきへんこん)」に参加しているのですが、2月5日に新年会兼「田中浩記念「光る風」歴史図書賞」選考・発表会がありました。この賞は毎年一回、メンバーが前年に編集した本の中から「これぞ!」という本を自薦でエントリーしてプレゼンをし、そのうえでメンバー全員の投票で1位・2位を決めるものです。1位が本賞で、2位が奨励賞と称されています。賞状と記念品は出ますが、仲間内での表彰なので、豪華なものではありません。

もっとも、票を集める理由は様々で、もちろん、「この本は新しい問題を先鋭的に指摘していて素晴らしい」という事から、「よくぞこんな売れない本を出した。偉い!」「そんなに苦労して出したなんて涙もの」など様々です。でも、同じ編集者に認められると言うのは格別に嬉しいものです。

今回の結果は以下のようなものになりました。

本 賞:『「植民地責任」論』(永原陽子編、青木書店)

奨励賞:『西洋中世研究』(西洋中世学会編、知泉書館)、『国際ビジネスマンの誕生』(阪田安雄編著、東京堂出版)

奨励賞は票数が同じだったので2点になりました。

この「歴史図書賞」も今回で16回目になりました(ということは16年間続いているということ)。「歴編懇」自体、25年以上続いている勉強会なのですが、こんなに長くやっている私的な勉強会というのは出版界でも異例なのではないかと思います。

会の創設メンバーである第一世代は還暦を過ぎた人がほとんどですが、一番元気です。私のような次の世代も頑張らねばなりません。それと同時に若手の編集者もリクルート中です。でも、勉強会なのであらかじめ課題図書などを読んで勉強してこないといけないですから、やる気のない人は続かないようですが・・・。