como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

龍馬伝 感想再録 第39話

2010-12-11 19:40:08 | 過去作倉庫07~10
 いよいよ9月最終週。9ヶ月の長きにわたりました「龍馬伝」も、今週が最終回でございます。
 えっ…ちゃうんですか? まだあと2ヶ月半あんの?はあぁ……。下関海戦が終わっちゃったら、私のなかではなにも見るべき理由がないんだけど。
 まあ、来週からも見るかどうするかは明日考えるとして、今週ね。私のなかでの最終回は…ええ、もう、大爆笑でございました。いやー面白かった。気持ちよかった。ここ一ヶ月以上にわたってイライラと不完全燃焼だった気持ちを、もー何もかもどうでもいいまでにスッキリ燃え尽きさせて、真っ白な灰にしてくれました。請い願わくば、わたしの灰は関門海峡に撒いておくれ
 というわけで、このドラマの最後の希望の碇だった次郎さんこと伊勢谷友介こと高杉晋作の最初で最後の見せ場を見届けて、思い残すことももうないです。今回、演出じたいはなんの文句もございませんので、次郎さんの出番もっと長くして、45分中40分くらいの配分で戦のシーンにしてくれれば…と思いますが、実質出番が終わった今となっては、露出をもっと多くとか、望んでも仕方ないですからね。もういいや、これで。
 ってなことで、笑いすぎてちょっと脱力気味なところで、ユルユルと初めてみたいと思います

 第39話「馬関の奇跡」

 今週から第4部ということで、タイトルバックもちょっとデザイン変えてますが、もう色合いが変わろうが、福山雅治の金粉ショーが派手になろうがどーしようが、あまりにもどうでもいい。てか、このデザイン変更ってなんか意味あんのかな。
 新シリーズあたまのお約束として、明治16年の弥太郎が出てきます。今週は、「汗血千里駒」を新聞連載中の記者・坂崎紫爛に、「龍馬ばっかカッコよく書きやがって、なんじゃこら!!」と、岩崎邸の庭園で激怒のクレームをつけているところからはじまります。「ワシの話をしたはずが、なんで龍馬が主役になっとんじゃコラ! しかもこのカッコええ男はなんじゃ!」「いやそれは、龍馬さんをカッコよく書かないと読者が食いついてこないからです」と汗拭きながら弁解する記者。これ笑ったわ。ドラマ「龍馬伝」の現状を思いっきり自虐ネタにしてんだもん。
 そこへ、なぜか弥太郎の下僕みたいになっているアラン…いやグラバーが、鷲津サーン、じゃない岩崎サーン、と寄ってきて、子会社の帳簿を見せたりする。かつて日本人を上から目線で見下していたグラバーの凋落と、それを足蹴にするように振舞う弥太郎。「日本でここまでのし上がったのはワシとのほかには豊臣秀吉だけじゃきっっ!!」…ってその豊臣秀吉も、前世で経験しているよね、あなた。んで、そんな悪行がたたってか、ゲホゲホ血を吐く弥太郎。ほらっ、年末のドラマへの伏線が、ここに!
…と、全体的にNHKのセルフパロディっていうか、コネタ大会みたいな、笑いのツボを刺激しまくりの第4部アタマでございました。

 んで、ここからが本編です。龍馬は亀山社中を率いて、長州VS幕府の戦に参戦しますが、みんな仲よーせんとイカンぜよ!ってポリシーの、へーわ主義者の龍馬さんが、どういう心境の変化で参戦する気になったのか。先週、その弁解をするくだりが、あまりにへんな理屈すぎて、ワタシのアタマでは理解できなかったのね。それがたたって、嬉々として海戦に参加してる龍馬が、なんでそこに居るのかわかんないっていうか。ずーっと違和感あってしょーがなかった。いっそ「呼ばれもしねえのにやってくる坂本龍馬でございます~」くらいの自虐的なキメゼリフでもいってくれればよかった。
 先週、あんなに参戦を拒否して龍馬を非難したバカ社中亀山社中の連中も、アッケラカンと喜色満面、「わしらは海軍操練所で訓練したんじゃきー!」かなんかいって、得意そうに船を仕切ったりとかして、まあ…今週は龍馬もバカ社中も露出が少なめだったから、なんとか見なかった・聞かなかったことにして許せますが。
 そうです、今週の主役は、次郎さんこと高杉晋作なのです。次郎さんは、臨戦態勢の本陣でも着流しで、三味線を抱えて歌なんかうたっちゃったりして、このあたりから早くも、嬉し恥ずかしの笑いがこみあげちゃったりするのですが…ゴメン、失礼ながらこの次郎さんのスタイル、消えて久しいギター侍を思い出した
 高杉さんは三味線を、撥を使わない爪弾きで、「ワシとお前は焼山かずら~」という自作の都都逸を歌ってくれたり、サービス満点です。この「焼山かずら」が、「やっきゃまかずら」と訛るところが、なんともいえず色っぽくていいんだ~これが~。
 で、ベタですが、ここで次郎さんはゲホゲホと咳き込み、血を吐くところを龍馬は見てしまうんですね。た、高杉さんそんな体で!…って、ええ、こーゆーのはベタでもちっともかまわないんです。「僕はもう長くはないそうです。どうせ長くない命なら、面白く生きたい。派手な花火を打ち上げて消えていく、それが高杉晋作の生き方ですけえ」
…もう、うきゃーーー!!カッコよいですーーーーーー!!!と言うしかない(壊)。姿形がギター侍でも、もうぜんぜんOKです。
 と、さように今週は、高杉さんの華麗なワンマンショーで全てが相殺される感じで、あまり細かい悪い印象は残ってないのですが…でも言っちゃう。ここで、奇兵隊のメンバーが、百姓町人のワシラでも国のお役に立てる、高杉さんは武士だけで世の中を変えるのは無理だといってくれたんじゃあ、と目をキラキラさせて言うのですが、それをきいた沢村惣之丞ちゃんが「こういう人らのためにワシラが世の中を変えんといかんがじゃ」っつって、龍馬が「そのとーりじゃのう」とか言いますね。これが今週のドボンでした。
 すくなくとも、奇兵隊の人たちは、自分たちのために世の中変えてくれなんて、あなた方にはなんにも期待してないと思いますよね。なんかこう、大事なところでいつも強引に「世のため人のため、政権交代のため」とこじつけて、微妙にいうこと、やることがズレていくのは、亀山社中ってのがなにをやりたい結社なのか、ちゃんと描いてない問題が根底にあると思うんですが。だからバカ社中に見えちゃうのか…。

 さて、弥太郎なんですが、土佐から長崎に出てきた弥太郎は、「土佐商会」という物産会所みたいなのを立ち上げ、そこの所長におさまって、ジョン万次郎を通訳に、溝渕広之丞さんをアシスタントに、日々販路を広げようと努力をしています。
 ま…香川さんも、ほとんど「これはマンガ」と割り切ってやってるように見えますね。ていうか、マンガとでも思わなきゃやってらんないんじゃないですかね。
 だって、弥太郎がいきなり、俗物丸出しで「うわーはははははは!ワシ出世したんじゃあ偉いんじゃあ」みたいなことを言ってのし歩き、行く先々で、「土佐の物販なら坂本龍馬さんを通してくれません?」みたいなこと言われ、さらに「坂本さんはスンバラシー人です、その坂本さんを冷遇する土佐は信用できません」とか言われ、くっそぉおおーーー龍馬の奴めえ!とか行って歯軋りするなんて……
 これまさかマンガじゃなくて真面目なドラマとして見ろゆーのですか? 臆面もない龍馬万歳劇場にグッタリ。さすがに、香川さんの演技も痛々しく感じたなあ今週は…。唯一心を和ませたのは、通訳のジョン万次郎が「イエース」と「オーノー」くらいしか英語話してなくて、ほとんど「アハーン」とかって頷いてる「なんちゃって通訳」状態だったことですかね。

 さて、今週のお楽しみは、長州戦争のクライマックス、小倉口上陸戦なんですけど、ここがもう、嬉し恥ずかしの大爆笑。
 あ、それより、その前哨戦の、関門海峡の夜討ちで幕府の軍艦を同士討ちさせた奇襲作戦(「なーに扇一本で十分です」ってエピソード)はやらないの? あのくだり大好きなのに…。えっ、先週、最後の龍馬の意味不明な演説のあいまにちょこっと流した、海戦ぽい場面、あれがそうだったの?
 うっわー、滅茶苦茶配分間違ってる、このドラマ。キーーー!!…と一瞬キレかかったわたしなのですが、それでも、このあとの小倉口上陸戦でねえ…次郎さんがねえ…。
 なんと、着流しに股引という股旅スタイルで! 三味線弾きつつうたいながら! 戦場を闊歩してくれちゃうわけです。いやー、ありえん。ありえんが面白い。しかもカッコよい。カッコよければ全て許す
 いや、ここでワタシね、「風林火山」の終盤で、ガクト謙信が、上州忍城の門前で、矢玉をものともせずに胡坐をかいて馬上盃で酒を飲んだ名シーンを思い出したんですよ。あれは美しかった。ま、ありえんけどね。しかるに、この高杉晋作もありえんくらい美しかった。できれば、高杉さんにもガクト謙信なみの露出量と、それと「何者なのじゃ!あんなものと我らは闘っておるのか!!!」(by風林火山)と敵方が驚愕して恐れ戦いてひれ伏す、くらいのオーバーさが欲しかったですがねえ…そこは主役のヒトがねえ…むにゃむにゃ…。
 でも、これでも今週は、基本・福山龍馬PVのこのドラマ中では最大限の(武市先生切腹以来の)譲歩といってよいのではないでしょうか。いや、ゴチソーサマでございました。最後に、高杉さんがひらりと馬に飛び乗ってキメポーズで勝どきを上げたあたりで…うははははは。もう、笑いが止まらなくなって困ったわ。

 でも……なんかこー、長州軍の勢いに幕府が一方的に敵前逃亡した、みたいな描き方は、やっぱり変だし乱暴だった。
 そもそも、老中小笠原長行が小倉城に火をつけて撤退したのは、将軍家茂が薨去して、戦争続行が不透明になったからではないの? そこらへんの順番が変じゃない? 慶喜が一方的に「なんだとうー!幕府が負けるはずがないぃーーー!!」とか言って激昂するのも、すげーバカ殿みたいじゃない?
 まあ…幕府関連の描き方がバカみたいなのは、これは初期から一貫しているのですが、今週は、長州戦争あとの戦後処理をめぐる龍馬の発言とかも、あいからわずの意味不明でした。
 戦争ってスゴイ、ガラッと局面が変わる!まあそれはいいけど、流血はコレっきりにして、あとは平和に解決しましょう。幕府に大政奉還をさせるのです!と龍馬は、歴史に残る構想を語りだします。それはいいにしても、「大政奉還をさせるために武力で脅すのです、そのための武器です」とかいうところ、なんだか意味がちっともワカラズ。
 まあねー、こういうことに突っ込んでたらキリがないのですけど。もういいかげん、龍馬に下手な演説させて史実フォローさせるパターン、やめなよ、痛々しいから、とか思っちゃうよね。こんなことならいっそ龍馬は黙らせといて、松平エグゼクティヴアナウンサーにでも語らせたほーが、ずっとわかりやすいんじゃないの。
 でも、ここの場面も「大政奉還などありえない!」と武力倒幕を主張する桂コゴちゃんが、うっとりするような美声で主役を食っていたので、これもまあ許します。谷原さんって、ホンっと声がいいわあ…(顔もいいが)。

 まあ…そんなことより今週いちばん痛かったのは、あの芸者お元が、龍馬を罵る弥太郎にキレて、「坂本さんが闘っているのはみんなが笑って暮せる世の中のためですぶぁい!!」って言い放つとこですけどね。 ああ万年青…じゃないお元…あんたまで……。
 こうして次郎さん退場後、果てしなく龍馬万歳空間になって2ヶ月半続くのか…。それを見るのか……。その苦行の道に、思いをはせるのでありました。 つづく(たぶん)。.