como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

篤姫 第37話「友情と決別」

2008-09-15 21:55:03 | 過去作倉庫07~10
 先週、寺田屋事件の扱いがあまりにもまっかなウソだったんで、つい熱くなっていろいろ調べたりしてしまったもので、あたまの中がすっかり幕末モード。舞台が大奥中心で、ヒロインが悩んでホロホロ泣いているようなのばっかだと、なんかタルく感じてイラつくワタシになってしまいました。
 いや、それは本来このドラマの基本トーンなんですけども。大奥から出ないヒロインを歴史と絡めようとすると、どうしても無理がでてくるし、無理がなければタルくなる。構造的なもんですな。まあ、主人公を筋違いなことにからめてケッタイなことになるのは、去年もあったし。幕末は戦国とちがって、やっぱ自由行動の余白は圧倒的に少なく、迷走しようがないのは安心です。
 とかいいつつも、今週も微妙なツッコミどころはあったりして。なかなか安心して見せてくれない「篤姫」第37回です。今週もご一緒に見てまいりましょう。

 先週、京都でブイブイ言わせた島津久光は、ついに勅書をもぎとり、勅書を幕府に運ぶ「勅使の護衛」という名目で江戸にやってきます。
 ついに人生初の江戸デビューということで、顔、輝いちゃってます。充実してます。島津久光・スーパースター!!!
…てな本人の自覚とあからさまなギャップがあるのが江戸城側で、天璋院は「久光が何しにきたの!」と、いのししが山から迷い出てきて駅前を走り回っているみたいな驚き方。いのししのくせに、天皇の後光を借りた勅使の後光を借りて輝いちゃってるし。身内ながら他人のふりをしたい天璋院ですが、その件について一言いいに和宮の部屋を訪れます。
 が、和宮と観行院、妖怪メイコたちは、干菓子でお茶を飲みながら上機嫌で(どうでもいけどこのお菓子が異様に量が多い気がしたな…ひとりひと鉢)、「誤解せんといておくれやす、うちら薩摩さんには感謝してますのえ~~」と。バカにされた天璋院は、ケンカを売らずに引きあげることはできない体質で、「幕府は幕府のやり方を通します。そこんとこヨロシク!」と捨てゼリフして戻ってくるのでした。

 この勅使の大原重徳ってのが、久光の建白どおりの「外様雄藩の幕政参加、松平春嶽を政治総裁・一橋慶喜を将軍後見に」という内容の勅書をかかげ、幕府の老中達をおどしますが、今回はホームの江戸で、老中達は亡き堀田ちゃんがかつて京都でやられたことを、そっくりそのままお返しします。つまり、オホホホホと笑ってはぐらかし、ダラダラいつまでも返事をしない、という。
 こういう洗練されたやりかたに、田舎者のファントムは慣れてないので、一瞬でブチ切れてしまい、「どんな手をつかってもよい、幕府に返事をさせよ!」と大久保さんに命じるんですね。
 大久保さんも、このころはまだやることがストレートです。勅使と老中達の談判の席で、襖いちまい後ろに刺客をしのばせ、シャキーン!と音をたてて鯉口を切らせて、「五体満足でおかえりになりたいでしょ?」とか言って脅すわけです。老中達もダメダメで、こんなもんで腰砕け、「はい了解です」と勅書を受け容れてしまう。…てか、この段で受け容れちゃうんだ。上様の決裁とか無いんだ。驚きのショートカット。こうしてファントムの暴力は幕府を圧倒、一橋ヨッシーと松平春嶽ちゃんの出世が決まったのでした。

 このひとが納得してもしなくても歴史に影響はないんですけど、それでも納得できないでいる小松帯刀。まあ、この人は悩むのが仕事だからいいけど、あんなに張り切って「出兵しましょう!」とかいって久光を煽り立てたことに自己批判はないのだろうか。よくわかりませんが、「こんなことでいいのだろうか…」と、ずっとブツブツ言ってます。
 その点はフッ切れている大久保さんは「天命のため、鬼にならなきゃいかんっちゅうことです!」とか言ってますが、天命ねえ…。その一言で、全てが正当にフォーマットされんだな、このドラマ(笑)。でも、そんな簡単にフォーマットしちゃっていいものなの?とまだ悩んでいる帯刀を、大久保さんは「おいどんと小松さんの天命は違いもすね」と、サッサと見放してしまうのでした。きっと鬱陶しかったんでしょう。

 怒った天璋院は、「久光とサシで話をする!」と、呼び出しをかけようとしますが、久光は官位もなく、登城資格が無いので江戸城には呼べません。が、「もうすぐ先代上様のご命日ですねえ…」との滝山の呟きで(グッジョブだ滝山!)、展望が開けます。
 天璋院は、大御台様としてほぼ唯一の外出が許される「お墓参り」を利用して、久光と会うんですね。上野寛永寺に呼び出された久光は、活躍しすぎてお疲れなのか、かなり待たされたのか、ウトウト鼻ちょうちんで居眠りしてました。
 かつては藩主の弟様として平伏し、息子の嫁にと望まれたこともあったファントムに、天璋院は最初から、上から目線をゆるさない高慢な態度。「挨拶はしない。前置きもいい。はっきり言うけど官位もないそのほうが朝廷の威を借りて幕府を脅すとはどういうつもりじゃ」とガツンとやります。
 が、ファントムも小物にみえて、ある意味怖いものがないというか、腹がすわっているのですね。無理とわかっている攘夷をエサに帝を抱きこんで…と責められても、「それは幕府もおなじでしょ?」。薩摩には間違った道を進んで欲しくないと泣き落としにかけられても、「恐れながら、間違っているとは思いませんが」。ぜんぜん平行線の話に、ついに天璋院が「二度と会うことはないであろう」と言い捨てて席をたつという物別れにおわります。
 そこに同席していた小松帯刀は、数年ぶりにあう元カノの姿に、胸がいっぱい。シェリー、あのころは夢だった。夢のままに生きてきた俺だけどシェリーお前の言うとおり、金か夢かわからない暮らしさ…♪と、シェリーならぬ天璋院さまに忸怩たる思いを抱くのでした。…がっ!
 帯刀頭が高いよ!! 平伏している主君の久光のうしろで、ボーっと放心したまま頭を上げて座っているのはなんですか。後ろに直参の家来がいたら間違いなく無礼討ちされているよね。まあ…この人はかつて於一時代の篤姫がお城入りする日も、江戸入りする日も、こうだった。いまだに生きているのは強運としかいえません。 

 ファントムと物別れに終わって、お城に帰り、放心して泣いている天璋院のところに、和宮が訪ねてきます。勅使がきて幕府に無理を押し付けたことを申し訳なく思っているんですね。可愛いです。「わたしは故郷を捨てることなどできません。天璋院さんも同じかと…」という言葉に、なにか思うところあった天璋院。
 いっぽう、ファントムに「天璋院様とは昔つきあってたんだってな。もう会うこともないだろう」と言わんでいいようなことを言われて落ち込む帯刀ですが、政治総裁になった春嶽ちゃんのところを訪問し、そこで勝麟太郎を紹介されます。
「言っちゃわるいけど薩摩のやり方は下の下の下だ。上等な人間てえものは、力で人を動かさねえもんです。心で動かすんですよ」…と、この言葉に、「今のお言葉、胸に突き刺さりましたっっ!」とド感動する帯刀。
 あまりにストレートなリアクションに、勝のほうが意表をつかれ「なんと!こいつぁ面白え~~!」と。けっこう無責任です。

 和宮の優しい言葉で再浮上した天璋院は、リトル上様にお願いし、薩摩の小松帯刀を江戸城に呼び出す書状を書いてもらうことにしました。ファントムは登城資格がないですが、上級家臣の帯刀は、招待されれば登城することができるようです。
 何年ぶり?このまえ会ったのは、安政の大地震の前だから、あしかけ7年前ですね(そんなになるのか)。「尚五郎さん♪」と、尚さんが改名したこともしらず、その点では時が止まっている天璋院なのでした。
「もうコソコソしているのはイヤにやったので、堂々とあなたに会うことにしました。大奥にいるのはみんなわたしの家族だから、なんでも話してね」と余裕たっぷりの天璋院。
 そして…お約束の碁盤が持ち込まれます。二人きりです。対局しながら、「あなたは…まだお一人ってことはありませんよね」なんていわれた帯刀は、男として傷ついていいとおもう(笑)。あきらかに「わたしのせいで一人だったりしたらどうしようかしら」みたいな、微妙に気まずい間が流れてます。
 でも、「いえ、結婚しました。相手は近です」ってカミングアウトしたときの沈黙のほうが微妙だった…。お近ちゃんと結婚してること、知らなかったんでしたっけ。
「わたしは、故郷を捨てたつもりでいたけど、それは自分の心にウソをついているのだとある人に気づかされました」「わたしも、上等な人間てえものは力でなく心で人を動かすんですよと、ある方に教わったのです」と、和宮と勝のお言葉を披露しあい、「そうですか…」「そうですよね」と感動しあうふたり。
「尚五郎さん、わたしは幕府とこの国を守り抜きます。あなたは愛する薩摩を守ってくださいね」と結論も出て、とりあえずの悩みがふっ切れます。また会えますか、会えますよね、と誓い合い、さて次に会うのはいつになるでしょう。幕府崩壊・江戸開城の後かな。そうすると…あら、意外とそんなに先の話じゃないわ。

 久光一行は2ヶ月ほど江戸を騒がせたあと、やっと帰路につきました。
 が、さあ皆さん今日のそのときがやってまいります。文久2年8月21日。神奈川宿ちかくの生麦村で、駕籠の中の久光がお疲れモードでウトウト寝ていたところ、とつぜん、大名行列の行く手をさえぎる男2・女1の馬にのった外国人が現れます。
 何人であろうと、大名行列の通行を妨害するのは死に値する行為。激昂した薩摩藩士・海江田武次(もと有村俊斉)が、チェストオーーーーーーッッと気合い一発、馬上の外人をぶった切ったからたまらない!
 これが開国日本最初の大規模な国際紛争を呼ぶことになる「生麦事件」なのですが、はたしてその顛末は?

 今週のなおくん
 今週はとにかく、「頭が高い」。これにつきます。お近ちゃんとの結婚を篤姫に話してなかったことは忘れても、篤姫の行列にひとり頭を高々と上げていた貴方の姿は、視聴者は忘れていませんよ。来週からは京都のようですが、こんどは初上京の上様の行列になんかやらかすんじゃない?と、ある意味楽しみだったりして。

 今週のファントム久光
 実は今週の主役はこの人だったのではないか…と思うほど。渋い演技力が冴え渡っておりました。なおすけ亡き後、大人の黒いミリョクをひとりじめ。なにしろ声がよく、押さえて籠もった声からキンキラの罵声まで自由自在なのがすごい。寛永寺会見の黒さは絶品でした。だから~~、もう半端な善人キャラにはならないでって言いたいの(笑)。

 今週の上様
 元カレを呼び出す手紙をカノジョに書かされる今カレの気持ちって、どうなんですか?

 次週、いよいよ嫁姑の深刻なバトルが発生する…ようですが、それより尚さんの浮気?のほうが気になりますね。玉木龍馬も登場するようですし。ドラマはあらたな局面にむかうか?
 また来週!


10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今カレ・元カレ・将来カレ (SFurrow)
2008-09-15 22:39:45
リトル上様はやっぱり「今カレ」ですかね?
そういえば、帯刀と勝海舟が同席、期せずして篤姫の元カレと将来カレのご対面になったのが面白かったです。そして、この二人をバッティングさせて密かにほくそえんでいる復活春嶽さんの表情も。ファンサイト「矢島健一研究会」に元気を貰っているのか、春嶽さんが何気にパワーアップしたみたい。慶喜の復活も見逃せませんね。
こんばんはです (ikasama4)
2008-09-15 23:39:11
「今カレ」って・・・・・奥さんいるんですけどヽ(;´Д`)ノ

それだったら・・・・・・愛ジ(o ̄∇ ̄)=◯)`ν゜)・;'

どちらにしても帯刀君は偉くなっても
抜けてるとこは相変わらずですねぇ。

今回は久光が光ってましたねぇ。
帯刀が天璋院と幼馴染と知っていて
寛永寺にわざわざ連れてくるあたり流石です。

あのしてやったりの顔がたまらんですね( ̄ー ̄)b

仰るように後はこのまま突き進んで欲しいです。


ちなみに来年の大河「天地人」で
直江景綱役に宍戸錠さんが決まったそうです。
おやつの時間 (hiro)
2008-09-15 23:42:39
いつも楽しく拝見しています。今週のお話の中で、主従打ち揃ってのおやつはおかしくありませんか、宮様との陪食ですよね。今回の大河はホームドラマと思って見るべきでしょうか。
研究会! (庵主)
2008-09-16 21:53:55
SFurrowさん

>ファンサイト「矢島健一研究会」に元気を貰っているのか

いやー、思わず検索しちゃいましたよ。そんな熱いサイトが!びっくりした(笑)。
矢島賢一さんて、「新選組!」のとき会津藩の京都藩邸用人だったのが、松平春嶽に大出世ね!とか思ってましたら、「徳川慶喜」で酒井若狭守も演じてらっしゃるのね。それより「功名が辻」で直江兼続だったって、知らなかったぞ~~!と、ついついフィルモグラフィをじっくり見ちゃいました。
たしかにこのごろ、すごい嬉しそうで溌剌としている春嶽ちゃんです。

将来カレ…ってたしかに!
久光ラブ (庵主)
2008-09-16 22:04:46
ikasama4さん

>それだったら・・・・・・愛ジ(o ̄∇ ̄)=◯)`ν゜)・;'

いや~~、なんというか、だんだん上様が天璋院を弄んでいるように見えてくるのは、気のせいでしょうか(爆)。

>帯刀が天璋院と幼馴染と知っていて
寛永寺にわざわざ連れてくるあたり流石

あれはやっぱりわざとですよね?
「二度と会うことはないだろう」って帯刀にいうところが、なんともいえない複雑な影があって素敵でした。
でも、ヤツが江戸城に行ったって知ったときのリアクションはどうだったんでしょうね。そこまでうつして欲しかったです(笑)。

>直江景綱役に宍戸錠さんが

それって、それって去年のあのひと(=実綱)ですよね!
なんか、因縁の配役(笑)。川中島に置き去りにされたきりの息子さんは何処に…。
おやつ問題。 (庵主)
2008-09-16 22:15:51
>hiroさん

いらっしゃいませ。コメントありがとうございます♪

>主従打ち揃ってのおやつはおかしくありませんか

うーん、前には天璋院サイドで、ひなまつりの日に主従そろってお饅頭とか食べていましたけどね。
このドラマに限っては、女子高的な、うちとけた大奥の雰囲気を出すのに「あり」ってことなんでしょうか。

そういえば、有吉佐和子「和宮様御留」に、和宮のような宮様は、人に頭を下げるということがあり得ないので、茶道の稽古ができない、だから茶席の作法というのは御所の貴人には無縁のものであった、と書いてあって、なるほどなーと思いました。
そういう意味では、宮様の周りには、茶の湯のような整然とした雰囲気はなく、奥に入ってしまえばある意味、「無礼講」みたいなところは、あったのかもしれませんね。
Unknown (くまま)
2008-09-18 10:18:20
来月、生麦に行ってきます。生麦事件の参考館を拝見したり。・・・メインはその後のビール工場の見学、というか、試飲ですが(笑)。
松平容保 (ブガッティ)
2008-09-18 21:14:39
大奥のように、外部から隔絶された世界の住人を主役に据えた場合、現場と絡みづらいという弊害は確かにありますよね。

主人公が現場に馳せ参じるわけにはいきませんからねぇ…。

フジテレビの『大奥』みたいに、大奥内部でストーリーが完結していれば別ですが。

帯刀と天璋院の囲碁シーン(実に7分あまり!)を見ていると、とても幕末の激動期だとは思えなません。
まるで、そこだけ違う時間が流れているかのようです。

今週もあれやこれやと思い悩む帯刀。
この帯刀を演じる瑛太さん、前から思っていたのですが、どうしても薩摩隼人には見えません。

薩摩隼人というよりも、会津藩主 松平容保に見えませんか?

陣羽織を羽織った若き日の容保の写真に、驚くほど似てると思うんですよ!

もうすぐ登場する容保と、どちらが実物に似てるか、較べてみるつもりです(笑)
事件を肴に? (庵主)
2008-09-19 23:15:45
くままさん

生麦事件の参考館なんてあるんですか!知りませんでした。それは、ぜひぜひご覧になった感想などお寄せくださいね。
ビール工場の試飲ツアーっていいらしいですね。レストランも充実していて、おいしそう。いいなあ。
楽しんでいらしてください。
いろいろ楽しみ☆ (庵主)
2008-09-19 23:23:03
ブガッティさん

>主人公が現場に馳せ参じるわけにはいきませんからねぇ…。

たしかに!(笑)。
いや、そのかわりにに小松帯刀がいるんだと思うんですけど、どうもね。視点をニュートラルに保つためなのかもしれないですが、何だか立ち位置のハッキリしない男に(今のところ)なってしまっているのが残念。

>薩摩隼人というよりも、会津藩主 松平容保に見えませんか

似てます!写真。
でも、小松帯刀にも似てます。…ってことは、小松帯刀と松平容保が似ているの?(笑)。
どっちにしても、茫洋とした品のよい顔立ちですよね。

松平容保登場するんですか!
誰が演じるのでしょう。チェックチェック…。
松平容保は、いまのところ、4年前の筒井道隆さんが不動の鉄板で頭のなかに居座っているのですが(笑)。
久坂玄瑞などの長州勢も登場するらしく、楽しみです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。