como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

龍馬伝 感想再録 第41話

2010-12-17 20:32:46 | 過去作倉庫07~10
 今週は、高杉晋作@伊勢谷友介、サヨナラ公演グランドフィナーレ。先週もよかったですが、引き続き素晴らしい回でしたね~。こんなに素晴らしいと、あの珍妙無類な薩長同盟は一体何だったんだと思ってしまいますね~。
 慶応3年、幕末劇も最終ステージにはいろうというところで、まあ、大政奉還をのこしておもな大事件はすませてますので、もう安心して見られるというのもあるかもしれません。いままでの粗末な史実フォローで出たボロもだいたい出尽くして、ツッコミどこもそう残ってなく、あとはよくも悪くも強引にでも、フィニッシュ迎えるしかないですから。
 それにしても、安心して見られるようになったのが41話って、やっぱ遅いよな…。中盤くらいまで、福山サンもそのうち見られるようになるっつったって慶応に入ってじゃ困るよね~、とか冗談で言ってたんですけど、よもやそれが、暗殺までカウントダウンにはいった慶応3年になってからだとはねえ~。まあ、それでも見られるようになっただけいいのかしら。いままで辛抱して見てきた労も多少は報われますしね~。
 っとまあ、それはともかく、今週の主役は次郎さん。実は同じ日に、映画「十三人の刺客」(*)を見てしまうという失敗を侵し、折角のサヨナラ公演の感動が壊れたらどうしようかと怯えていました(だって…伊勢谷の役柄があんなだとは思わなかったんだもの)。
 それも心・配・御・無・用!!!(後述。爆笑)。イメージが壊れることなど全くない、素晴らしいサヨナラ公演でした。みごと中村雅俊(って古すぎ?)を上書きした伊勢谷友介に、ビッグアプローズ!!
(*)傑作でした…。時代劇ファンは必見。

 第41話「さらば高杉晋作」

 先週、後藤象二郎ちゃんと手を握り、土佐藩のバックアップを得た亀山社中は、その名も、♪暮れ~なずむ~町の~光と~~…あ、いや、「海援隊」と(すみませんくだらなくて…)改名します。大所帯になり、資金も潤沢になったようなんですが、なんか、空気はあいかわらずのバカ社中じゃのう。なんでこのドラマって、モブの描き方がいつもバカっぽいんじゃろか。
 そのよどんだ空気をブチ破るように、弥太郎が登場。これから海援隊の経理はワシが見るき!!と大見得を切ります。この場面で、おなじみ弥太郎マーチが流れるんですが、それがゴージャスなフルオーケストラ・バージョンにグレードアップしたのが大爆笑。チャルメラみたいだった弥太郎マーチも、当人の成り上がりと一緒に楽器が増えて、とうとうフルオーケストラになったんですね。素晴らしいわ、わかりやすくて。そのうち、サントラとかでまとめて聴いてみたい。
 そんな弥太郎に亀山社中時代の飲み屋のツケとかを押し付け、能天気に「船買ってくれ」とか言ってる龍馬なんですが、弥太郎はいい人で、ちゃんと船を捜してきてるわけですね。大洲藩の持ち船・いろは丸です。大洲藩が持ってたってなんの役にも立たないので、それをリースにしてもらって運用し、リース料を収益のパーセンテージで払っていくという、近代的な運営を企画したわけですね。
 その、いろは丸のたどる運命については、来週また…。

 で、どすこい象二郎は、長崎奉行所にドスドスと登場しています。元土佐藩士の坂本龍馬について、なんか知ってることはないかと、奉行所が任意出頭をもとめたわけですね。
 どすこい象二郎は、どすこいと座って少しも焦らず、「わしの知っておる坂本龍馬はれっきとした土佐藩の藩士でございます、寺田屋で騒ぎを起こしたというのは、坂本の名をかたる別人ですきに」と言って、出されたカステラをバクバク喰らい、ものすごい目力で奉行を金縛りにして去っていきます。あいかわらず象二郎ちゃんのパワーすごい。
 が、とりあえずそれで切り抜けられても、伏見で目を付けられているお龍が長崎に居るのは危ない、ということで、龍馬はお龍を下関の富豪・伊藤助太夫にあずけることにします。
 それで龍馬の下関ゆきが実現するのですが、このあたり、龍馬が高杉晋作の病床を見舞って、なんて話は、まあ無かったでしょうけど、あっても不思議はないと思わせる程度に自然な流れだったと思います。ちなみに龍馬がおりょうを連れて伊藤助太夫方に着いた日付は、慶応3年2月10日と、はっきりしてるので。高杉の見舞いにちょっと行っても、スケジュール的に変ではないし…と、つい妄想してしまったりなんかして。

…とはいっても、ここで龍馬が高杉に、大政奉還の青写真について話すというのも考えにくいですし、だいたい大政奉還という発想について高杉晋作が知ってたか、知ってたなら賛成したかどうなのか、ちょっと裏付けるものがなくて想像できないですよね。
 まあ、遺稿などみるにこの人は、長州戦争が終わった時点で自分の役目は終わったと考えていたし、亡き師吉田松陰の解くところの「道尽き心安んずる、すなわち是れ死に所」という境地をかみ締めていたんじゃないかと想像したりするんですが、それでも、心残りがないかといったら、そんなはずはないですよね。
 だって、自分がやってきたことが、なんか劇的な成果をよんで、世の中がドラマチックに変わるんじゃないかという予感があって、それを前に自分は死んじゃって見届けられないんですから。そのあたりの心残りとも、自嘲とも、なんともいえない心境を、伊勢谷さん非常にうまく形にしてて、ホントの高杉晋作もこんなだったんじゃないか…と思わせるものがあって、すごく良かった。
 つられて龍馬もよく見えたりなんかして(笑)。やっぱり、コゴちゃん次郎さん龍馬さんの三人の場面って惚れ惚れする。眼福眼福でございます。
 下関の高杉さんの寓居にお見舞いにいった龍馬は、そこで木戸さんにも会います。コゴちゃんは、やっぱり、次の時代を切り開くには武力倒幕しかないと考えているわけですね。大政奉還なんか不可能だし、徳川を潰してしまわないと意味が無いと。そこで龍馬と言い争いになるのですが、次郎さんは、ゲホゲホと咳き込んで血を吐きながら、「木戸さん、僕の遺言だと思って聞いてください、坂本さんは長州のために奇跡を起こしてくれた人じゃありませんか。もういちど坂本さんのおこす奇跡に賭けてみてはどうですか」と。
…んー、高杉晋作が大政奉還構想をどう考えたか、ちょっと想像できない以上、このように血い吐きながら龍馬万歳を唱えるのも、どーゆーもんだか評価もできないけど……。そういえば気になるのは、龍馬が「無血革命」という発想にいたった根拠に、そもそもあまり確固としたものがないんですよね。だから、あんまりむやみに高杉が「坂本さんは素晴らしい、坂本さんを信じましょう」と連発するのも、ちょっと説得力が無い気がする。
 逆に説得力があったのが、この場面のコゴちゃんです。無血革命なんかありえないと信じていながら、死にそうな次郎さんにそういわれると…。そしてそこに、奇兵隊メンバーの百姓町人が、高杉さんの回復を祈ってお百度を踏んできました(ちなみにこれは実話です)、とかいってワラワラやってきて、お見舞いの卵なんかを差し出すわけです。
 それへ「高杉はもう奇兵隊の総督じゃないんだ」とキツク言って追い払いながら、卵を抱えて男泣きに泣くコゴちゃん。こっちも泣けちゃうよね。奇兵隊が高杉晋作を偶像視したままでは統制上まずいという現実問題と、友を思う情緒の部分で引き裂かれて、思わず泣いてしまうの。その辛そうなこと、もう、ううう…(泣)

 んで、弥太郎は、船主である大洲藩の重役に会い、接待し、いろは丸のビジネスプランをハッタリ八分くらいにプレゼンします。この大洲藩の重役が、で、出た、大河ドラマ最多出演歴を誇る(確か…)岡本信人!! 
 この人選もウケたけど、弥太郎のプレゼンが大爆笑。心・配・御・無・用!!!って、竹中直人憑依したりなんかして。さいごは土下座。素晴らしいパフォーマンスでしたわ。
 もったいないなあ、このパフォーマンスを、もっと早いうちから沢山みせてくれてたら、このドラマずっと救えたと思うのに。今更いってもしょーがないけどさ…。

 そして龍馬は、高杉さんと一緒に熱海の、じゃない下関の海岸を散歩するのであります。そして未来を語り合うのであります。無血革命の夢を語るのであります…まあ、そーゆーことがあったとか無かったとか、高杉晋作はどう思っただろとか、そんなことはどうでも良い。輝かしい未来というものが、あるにしても、それまで生きていない自分という現実があるだけですからね、彼には。
 そのあたりがすごく繊細に表現されてて、「坂本さん日本を頼みます。僕は夢を託せる人に会った」とかいうありふれたセリフも、ここは素直に良かったと思いますが、なにしろ素敵だったのは、
これで僕の役目は終わりです、あとは酒を飲んで、三味線を弾いて、面白おかしくやりますよ、あの世でね。それが僕という男ですけえ
 これがね~、もう、半分くらいは自嘲がある感じが、すごく切々としてました。違う世の中だったら、ほんとに単なる遊び人で終わったかもしれない高杉晋作って人が、ひょんなことから革命家という役目を負わされ、その役を全うして去っていくという、ドラマチックさや一抹の哀愁もあって。高杉さんって出番そんなに多くなかったけど、この人の生き様をピタッと表現してたと思います。
 この場面で流れる(たぶん初めて聴く)、哀愁漂うバンドネオンのBGMもすごくハマって、しびれました。

 宿に帰った龍馬が、人は何故死んでしまうのだろう…天から与えられた役目を終わったときに死んでいくのであろうか、と「竜馬がゆく」の大ラスみたいな問答をお龍としているところに、中岡慎太郎が訪ねてきます。
 やっぱり慎太郎がでてくると画面がピリッとするよねえ。次郎さん退場したらどーなるかと思ったけど、慎ちゃんがここで、さらなる波乱の種を蒔いていってくれます。
「わしは陸援隊っつーもんを作る。徳川の世を終わらせるには戦しかないぜよ」と、コゴちゃんと同じことをいいきる慎ちゃん。龍馬は、それをあえて説得しようとかせずに、「おまんのやり方でやるがエエぜよ、やり方は違っても目的は一つじゃき」みたいなことを言って、ふたりガッツリ、目が笑ってない状態で手を握る
 いやー面白くなってきましたね。どーなるんだろ。面白くなるのがちょっと遅すぎた気がするけど…ううう。

 そして慶応三年4月、いろは丸は出向し、高杉さんは4月14日に帰らぬ人になるわけです。旧暦の4月14日じゃ桜は終わってるだろとか(むしろ龍馬がお見舞いしたころだよね)、そーゆー突っ込みは入れたくなかったが…。もちょっと季節感には気を使ってもらいたかった。あと、三味線のBGMが津軽三味線ぽいのもいただけません。
 でもまあ、それも、このあとひとりで海に膝まで使って号泣…というか大笑…そのどっちも、というか…なんか感情を爆発させる高杉さんの、最後の表情がすごく良かったので、相殺とします。
 満足や安楽でもあるけど、捨てきれない無念や心残りの切なさをのこして、高杉さん退場。伊勢谷さんホントにお疲れ様でした…。
 来週からは、もうあと何回もないけど、とりあえず、中岡しんちゃんの動向を中心にみてゆけば間が持つかな? また来週!