やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】110 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その10:おまけ「東京書籍:琉球処分記述の劇的改善の謎」>

2017年03月05日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-31年度使用)

■東京書籍:琉球処分記述の劇的改善の謎

 4年前(h25)、育鵬社と東京書籍のh25年度本を比べた記事を書いた。

【歴史教科書】32 育鵬社・東京書籍の比較  8.琉球・沖縄 ~東書:「清はこれを認めませんでした。」???~>(h25.6.6掲載) 

 

 私はその記事で「東京書籍本への疑問」として、琉球の領有権の問題をとりあげたが、h28年度本では劇的に改善されている。そこで、新旧の表現を並べてみると…

【25年度本】

「政府は・・・日本の領土であるとしましたが、清はこれを認めませんでした。」

(※以後現代に至るまで清国と中華人民共和国の領有権認識についての記述なし。中学生が《琉球・沖縄領有権問題はまだ解決していない》と誤解する可能性が高い、《現在の学び舎の記述》と同じ。)

【28年度見本本】

「・・・清は日本に強く抗議しました。琉球をめぐる日清間の対立は、日清戦争で台湾が清から日本へゆずりわたされることで自然消滅するまで続きました。琉球処分で沖縄は日本領に編入されましたが、・・・」

 

 清が文書などによって正式に日本領と認めたわけではない(と思う)ので、《歴史上の国際的慣例にしたがって《武力征服~実効支配~領有権争いの自然消滅》という展開で現在に至っている、という事情を正しく伝えている。

 したがって、ウィキペディアを基準とするかぎり、東京書籍は百点満点と言えるほどの改善をした思う。

 

 ~他の項目では前回とあまり変わっていないのに、この項目の劇的改善現象がおきたのはなぜだろうか?~

  その理由の詳細を確実に知っているのは、東京書籍編集部とその部分の「(原)著者」、および、文科省の教科書検定担当官だけだろう。そこで、推理するしかないのだが、ここでは逐一、推論の過程を記録してみることにする。

1 他の項目が変わっていないので内部要因とは考えにくい。

2 だから、この項目特有の理由=外的要因(圧力?)があったのだろう。

3 h26年1月に文科省の「中学校学習指導要領解説」が改定された。その「社会編」の「公民的分野」で、領土問題の適切な記述が求められるようになったことが効いている可能性が高い。<資料:下記>

4 h28.4.1から、「教科書検定基準」が改定・実施され、より厳密になった。 そのなかの[社会科(地図を除く)]の ⑵~⑷の項目が効いている可能性が高い。<資料:下記>

 つまり、少なくともこの項目では、もう、いい加減な記述は認められなくなりつつある(=検定で不合格になる)ということなのだろう。
 (※学び舎はなぜ合格?)

 

■政治家の責任は重大

・ほとんどの教員(←「蔑視語」ではなく、法律・公式用語です)は、教科書どおりに教える。

・その教科書は、教育基本法を元に文科省が作成した学習指導要領、その解説書、検定基準を元にして教科書会社が作る。

 だから、(主に公立)学校教育の教育内容について、直接的には、文科省の国家公務員がすべて権限をもち、当然ながら責任もある、という制度になっている。

 おおまかに言えば、将来の日本人の知識やものの見方・考え方にかなりの直接的影響力をもっているのは、文科省の役人ということになる。

 そして、その舵取りは政治家しかできない制度になっている。

 だから、政治家の責任はきわめて重大なのだ。

 

~以下は参考資料~

<参考資料1「文科省HP:中学校指導要領解説 社会編」公民的分野>より

※効果→h28年度からの中学公民教科書では、どの社もそれなりに書いている。

 

 

<参考資料2「文科省HP:「義務教育諸学校教科書図書検定基準」[社会科(地図を除く)>より

1 基本的条件

(1) 中学校学習指導要領第2章第2節の第3「指導計画の作成と内容の取扱い」の1の(3)に示す「適切な課題を設けて行う学習」は、取り上げなくても差し支えないこと。

2 選択・扱い及び構成・排列

(1)  小学校学習指導要領第2章第2節の第2「各学年の目標及び内容」の[第6学年]の3「内容の取扱い」の(3)のアについては、選択して学習することができるよう配慮がされていること。

(2)  未確定な時事的事象について断定的に記述していたり、特定の事柄を強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないこと。

(3)  近現代の歴史的事象のうち、通説的な見解がない数字などの事項について記述する場合には、通説的な見解がないことが明示されているとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。

(4)  閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること。

(5)  近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。

(6)  著作物、史料などを引用する場合には、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であること。また、法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。

(7)  日本の歴史の紀年について、重要なものには元号及び西暦を併記していること。

 

 

<参考資料3 ウィキペディア:台湾出兵 2017.3.3>より 

台湾出兵(たいわんしゅっぺい)は、台湾に漂着した琉球島民54人が殺害された事件の犯罪捜査などについて、政府が「台湾人は化外の民で清政府の責任範囲でない事件(清政府が実効支配してない管轄地域外での事件)」として責任回避したので、1874年(明治7年)に明治政府が行った台湾への犯罪捜査などのための出兵である。54人が殺害されたという大規模な殺戮事件であるから、警察ではなく軍を派遣した。日本軍が行った最初の海外派兵である。牡丹社事件(ぼたんしゃじけん)、征台の役(せいたいのえき)、台湾事件(たいわんじけん)とも呼ばれる。」

清国が日本軍の行動を承認したため、琉球民は日本人ということになり、琉球の日本帰属が国際的に承認されるかたちとなった。」

「日本と清国との間で帰属がはっきりしなかった琉球だったが、この事件の処理を通じて日本に有利に働き、明治政府は翌1875年(明治8年)、琉球に対し清との冊封朝貢関係の廃止と明治年号の使用などを命令した。しかし琉球は清との関係存続を嘆願、清が琉球の朝貢禁止に抗議するなど外交上の決着はつかなかった。」

 

<参考資料4 ウィキペディア:琉球王国 2017.3.3>より

・「外交交渉の過程で、清国への先島分島問題が提案され、アメリカ合衆国大統領グラントの熱心な調停もあって調印の段階まで進展したが、最終段階で清国が調印を拒否して分島問題は流産、のちの日清戦争における日本側の完勝をもって琉球全域に対する日本の領有権が確定した。」

 

~次回から現代、「沖縄戦」~

<全リンク⇒> 琉球・沖縄<101102103104105106107108109110 /現代111~>

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