WITH白蛇

憂生’s/白蛇 セカンドハウス

擬似・・2

2015年10月08日 | 創作NOTE

実際、なにがきっかけで、そういう話になったのかわからないが、

彼女は自分の苦しい胸のうちを吐露してくれた。

恋人とうまくいってない。

本人たちは真剣だったのだろうけど

恋人の年齢が若すぎたせいで、

実生活にふみこめるだけの資質にかけていたのだろうと思う。

まわりの反対もあったのだろう

自信をもてる根拠をなくして

逃げ腰になってしまう恋人に

彼女も不安で仕方がなかったと思う。

なんどか、そんな、話をきいた。

 

それから、どれだけたったか、覚えていない。

ある日の夕方・・・いや、夜だろうか・・

ひどく胸騒ぎをおぼえた。

そして、彼女が入水自殺すると思わされる。

どこに居る人かしらない。

あったこともない。

見たこともない。

ネットで話をしていた。

それが、入水自殺?

 

それも、今から・・という感じがする。

 

一瞬、狐・狸に化かされてるのかと考えた。

だが、本当だったらどうする?

嘘だったら、化かされちまったよと笑い話ですまされるが・・・。

どうにも、解決できないとおもうと

憂生は彼女の思いを変えるしかないと考え

ただ、ただ、念をおくりつづけた。

「生きろ。死ぬな。生きろ」

その思いに念をこめて彼女に送り続けることしかできなかった。

座禅をくんで、思いはひとつ。

「生きろ」

それだけをおくりつづけた。

 

そして、どれだけたったか、わからない。

30分だったのか、1時間だったのか、10分ほどだったのか。

突然、もう大丈夫・・とおもわされた。

なんというか、ほっとしたように軽くなったというか・・。

霧が晴れたような明るいイメージがながれこんできた。

それで、憂生はパソコンの前にいって

彼女を待っていた。

ところが、なかなか、現れない。

帰っているはずだと思うのも妙なもので

憂生に連絡をしてくるはずとおもうのも妙なものだが

憂生の現実離れがそこにあった。

 

入水して沼(のイメージがあった)からあがってきて

すぐパソコンの前に座るか?

まず、風呂にはいるだろう。

そこにきがついたのが、彼女がパソコンの前にすわり

チャットをかきはじめてからだった。

ー憂生、居る?-

ーおお。待ってた。もっと、はやくかえってきてたんちゃうん?-

ーうん。シャワーあびてたー

ああ、そうだった。当たり前だよな。どぼどぼだもんなと、ここでやっと気がつく

ーちょっと、頭冷やそうと思ってさ・・近くのため池につかっていた・・ー

頭ひやそうと思ったというより、死のうかと考えていたと思えた。

ーどれくらい、つかってたかな。頭冷えてきたし、寒くなって・・-

ーこんなことしてたって、どうにもならないなって思えてー

ーうんー

彼女が死のうとしてなくたって、10月くらいだったと思う。

池の水も冷たくなってくるし

足元・・水底だってどんな状態かわからない。

うっかり、もっと奥にすすんだら、死のほうが彼女をとらまえていたかもしれない。

ーとにかく、元気出せ。いきてりゃいいこともあるってー

あとは、なにをいったか覚えていない。

 



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