思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

『山と溪谷』15年1月号の校正の結果

2015-01-30 00:00:00 | 出版・言葉・校正

発売は先月の号だが、『山と溪谷』15年1月号は一昨年の『PEAKS』13年3月号と昨年の『岳人』14年9月号に続いて、のネタ。月刊の山岳専門誌の3つを揃えておかねば、ということで。
『山と溪谷』は1月号に限っては付録の「山の便利帳」が欲しいので20年前から毎年買っているが、その質は年々上がっているか。今号では昨年4月からの「日本の主な山岳標高の改定」の標高変更も反映されているし。
以下、校閲というほどではなく校正というか実質は素読みで気になった点について。疑・改(疑問点)と×・○(明らかに誤字脱字)は『岳人』のときと同様。

まず、特集「100人が選んだ日本の名ルート100」の紹介者の、P29-31略歴とP34-93本文上の肩書きの齟齬について。

●13 大友晃

疑 日本山岳ガイド協会認定ガイド
改 日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、もしくは登山ガイド

※大友氏はP42では「登山ガイド」とあり、「山の風」ウェブサイトの「プロフィール」では登山ガイドステージIIと明記されている。

●21 佐藤佑人

× 山岳ガイド
○ 登山ガイド

※佐藤氏はP47では「山岳ガイド」とあるが、ここ数年の同業他誌(主に『PEAKS』など(えい)出版社の出版物)に頻出する様子では「登山ガイド」だったよなあと思い、引っかかる。ツイッターの更新は一昨年に止めたようなので近況はよくわからないが、ひとまず見つけたGoogle+では「登山ガイドステージ2」とある。

●24 早川輝雄

疑 ネイチャーフォトグラファー
改 山岳カメラマン、もしくは山岳写真家

早川氏はP29では「ネイチャーフォトグラファー」でP47では「山岳カメラマン」とあり、このふたつは同じ自然を撮影することを生業にしていても被写体が微妙に異なる気がする。ちなみに、著書のひとつの『宮城県の山』(山と溪谷社)の著者略歴では「山岳写真家」のようで。改訂版でも同じかどうかは未確認(→後日、改訂版で「フリー山岳写真家」と確認)。

●43 渡辺幸雄
●51 中村成勝

×社団法人JPS、社団法人日本写真家協会
○公益社団法人日本写真家協会、もしくは(公社)日本写真家協会

※「日本写真家協会」でもその略称の「JPS」でもどちらでもかまわないが、どちらにせよ日本写真家協会は現在は「公益社団法人」であるね。

●98 菊池淑廣

疑 フォトグラファー
改 フォトライター

※菊池氏は、P92では「山岳ガイド・フォトグラファー」だが、P31では「山岳ガイド・フォトライター」とあり、屋久島にある広告事務所「屋久島メッセンジャー」では「フォトライター」として写真と執筆の両輪で活動しているようなので、「フォトライター」のほうがよいかと。

写真を生業にしている方の場合、僕も以前から趣味で写真展をよく覗いているので展示内容と会場の雰囲気でなんとなくわかるが、自身の肩書きで「写真家」か「カメラマン」か「フォトグラファー」のいずれかにこだわっていることが多く(雑誌・広告、人物、自然など撮影対象へのこだわりや仕事との絡みにもよるのか)、こだわりの強さから標榜しているもの以外の呼称を充てると(特にベテランは)激怒する、みたいな話も聞いたことがあるので、紹介するさいは要注意か。単に横文字の好き嫌い(カッコつけ?)もあるのかもしれない。
さらに、菊池氏の「フォトライター」や、近年たまに見られる「カメライター(カメラ+ライター)」という造語のように(この分野の大御所の「作家」で例えると藤原新也や椎名誠のように)写真撮影と物書きを両立させていることを肩書きから目立たせている方もちらほらいたりして、肩書きの判別というか取り扱いはさらにややこしくなる……。

また、登山に関するガイド業を営む方の場合の○○ガイドの呼称は、僕も一昨年あたりから注視しているが、現行の有資格の場合は公益社団法人日本山岳ガイド協会の「資格の種類」にある基準をもとに職能範囲に応じて「登山ガイド」や「山岳ガイド」などと厳密に書き分けるべきである。欲を言えば僕の地元の埼玉山岳ガイド協会のように、それぞれステージ(IかII)の別も併記するとなお良い。ヤマケイに限らず、この扱いは伝える媒体側もガイド業を営む本人も、つまり登山業界全体的にまだ曖昧な気がする。
尾瀬・富士山・屋久島のような観光客や登山客が特に多い地域ではその地域限定で通用するガイド組合のような仕組みもあるようだが(顧客を連れ歩く場合は旅行業のいわゆる「旅程管理主任者」のような立場?)、日本山岳ガイド協会の資格を基本とすると無資格の人でも、地域限定ではあるがツアーリーダーのような仕事に就けることもあるようで。だから、上記に挙げた菊池氏はおそらく屋久島専門のガイド業で、厳密には日本山岳ガイド協会の審査が厳しい「山岳ガイド(ステージIもしくはII)」ではないと思われる(後述の「会員名簿」にも名前の記載がないため)。実際にどうなのかはご本人に訊いてみなければわからないところだが、もし無資格の場合は紛らわしいので「山岳ガイド」と書くべきではないと思う。このように近年の各種媒体で資格の有無を混同している事例もままあるので、きちんと書き分けてほしいものだ。
近年、登山に関するガイド業の審査基準と職能範囲が明確に整備されたので、顧客としても社会人山岳会や山岳部に属さずに個人もしくは小人数で登山により真剣に取り組むさいにガイドを利用する場合は、ひとまず日本山岳ガイド協会の会員名簿に名前があるか否かを判断基準にするとよいと思う。ちなみに、この名簿のなかに僕の大学ワンゲルの先輩後輩が3人含まれていたりする。

それからついでに、これまた一昨年から気になっている公益法人制度についても触れておくと、「公益法人information」のトップページにある新パンフレットのPDF「民間が支える社会を目指して」の5ページにもあるとおり、平成25年(2013年)11月末で旧来の社団法人・財団法人は終了で、同年12月1日からは事実上は例えば「公益社団法人」や「一般財団法人」のように○○社団・財団法人という名称に変更されていなければおかしいので(「特例」法人というのもあるらしいがかなり特殊でほとんど見聞きしたことがないので、一般的には「一般」かより公益性のある「公益」かに二分されると思う)、現在もその略称として旧社団法人の(社)や旧財団法人の(財)と書いたままの場合は、校正するさいは情報が古いという理由で赤字(脱字)扱いとなる。例えば現在の略称は、公益社団法人の場合は(公社)で、一般財団法人の場合は(一財)とすべき。いまだに(社)や(財)と書いている人が結構多いのよね……。

ホントは特集に登場している100人全員の肩書きを精査し直したかったが、面倒なので誌面上で違和感のある6人のみ触れておいた。
次に、上記以外の問題点について。

●P42、裏岩手連峰縦走

× 管理人が在中する
○ 管理人が駐在する 

※「在中」は何か入れ物の内部に書類や金品が入った状態なので(例:朱書きの封筒に履歴書)、人に対しては使えないでしょう。これは東北地方の山によく見られる夏場の最盛期のみ避難小屋の管理業務に就く管理人の有無に関する記述なので、人が一定の期間・場所に留まる意味の「駐在」が妥当。

●P95、写真の注釈

疑 現金や貴重品は車に置いていきたい

※クルマ利用のトレイルランニング、のタイアップ記事で、「レースやトレーニング中はできるかぎり身軽でいたい」という理由で「助手席アンダーボックス」にそれらを入れて出かける、という使い方の提案のようで。しかし運転免許なし人間の僕はクルマに乗らないのでこの感覚がよくわからないのだが、マイカー登山の話でたまに耳にすることだがもし車上荒らしに遭って車内の貴重品を根こそぎ盗まれてしまったらどうするのか? と疑問に思う。それに、ここで「座面下収納」と明記したら場所がバレバレで、というかそもそもダッシュボードと同様に隠し場所として目立ちやすいし。
よって、提案すべき改善点もよくわからないので見当たらず。安全性を考えるとこのような提案を書かないほうがよい気もする。僕もマラソンを多少かじっているので大会参加の荷物預けのときの現金、特に小銭の扱いはたしかに重くなって面倒だなあとはよく思うが、硬貨よりも軽い紙幣をジップロックなどの防水対策を施したうえで肌身離さず携行するほうがより安全かもしれない、と思ったりもする。
この記事中の写真のふたりのモデル役ランナーはトレラン用のバックパックを背負って走っているので、ふつうにそこに入れて持ち運べばよいのでは……。

●P105本文上段

× 出版
○ 出版社 

※『ヤマノススメ』の4人のキャラクターたちが見開きで10冊の本を紹介するという体で、『シェルパ斉藤の元祖ワンバーナークッキング』の版元の表記が。これもほかの媒体でもよく見られるが、厳密には(えい)出版社の場合は社名に「社」も付くので、脱字扱い。
それにしても、「」は環境依存文字(JIS+7A48)なので文字化けしやすく、「えい」や「エイ」や「木」「世」などと併記したほうがよいので相変わらず扱い難いなあ。
ちなみにこの本は僕も所有しているので、尚更気になる。

●P123本文下段


充分わかっているつもりなのだけど…
…。つまらない大人になってしまった

分わかっているつもりなのだけど……。
つまらない大人になってしまったのか。

ちょっと専門的なことだが文字組版のルール上、三点リーダー「…」を2字分使ってつなげて(2倍にして)「……」とするときは、なるべく改行時に分割することのないように組むことが求められ(厳密には禁止ではない。ダーシ「―」も同様)、この1行の文字数が17字のところの2行のように分かれた状態では美しくない。というか、これは大概の文書作成ソフトでは自動で禁則処理されると思うのだが、このように残ったままでは出版業界人として恥ずかしい表記だと思う。どうしても分かれてしまいそうな場合は、該当する行の前でなんとか文字数を減らして、もしくは追加して、調整すべき。

●P125本文中段

× ナンガ・バルバット南面
○ ナンガ・パルバット南面

※『垂壁のかなたへ』の紹介のくだりで、単に濁音か半濁音かの違い。世界の山々のなかで比較的有名なヒマラヤ8000m峰14座のひとつで一般的には半濁音「パ」であるし、版元の詳細情報でも「パ」のほうで。濁音と半濁音の誤変換はかな入力の場合はキーボードの配列では隣同士のために僕も私的なメールなどで数回やらかしているので、一般的に結構出やすい誤記である。しかもこういうのは紙で作業するときに印字が潰れていると、判別がより困難になったりとか……。
この本は以前から知人に薦められているが、未読のまま……。追々なんとかしたい。

●P146本文中段

× 僕は41(昭和20)年に三俣蓮華小屋の経営権を買い取りました
○ 僕は45(昭和20)年に三俣蓮華小屋の経営権を買い取りました

※上の写真にも挙げたヤマケイの昨年のヒット作『定本 黒部の山賊』(現在、10刷)にもあるひとネタ。この著者の伊藤正一氏の記述が基になった記事のはずなので、記事の年次が誤り。昭和20年は1945年(の「45年」)、の西暦の換算は終戦の年なので比較的わかりやすいと思うのだが。
ただ、この本を改めて読み返すと、P15に当時の算定価格で2万円の小屋を買った年の厳密な記載はなく、著者略歴も併せて読むと買取った年とは別に譲渡された年が1年後(翌46年)というふうにも読めるのが微妙なところ。しかしそこはまあ本のその前後の文脈とともに、「45年」で信じるしかない。
三俣山荘の公式サイトの「黒部源流の歴史」には、三俣蓮華小屋の経営権買取りは45年とあることですし。

●P148本文下段

疑 槇有恒(まきありつね)
改 槇有恒(まきゆうこう)

※(1956年のマナスル初登頂など日本の登山史を扱うさいに頻出する)槇有恒の名前は「ゆうこう」か「ありつね」かどちらなのか? というのは昔から登山業界の七不思議? のひとつで、僕も数年前から登山関連の媒体での名前(のルビ)の用例を収集しているが、まだ途中ではあるが槇氏の著書『山行』(中公文庫)でも、長野県・大町山岳博物館の12年の催し「スイス山岳観光の黄金期と日本人」(PDF)の資料17ページでも「ゆうこう」のほうで、さらには「Yuko」の直筆サインの写真も数回観たことがあるため、僕としては「ゆうこう」という認識で。
ただ、いくつか収集した用例のなかで過去の『山と溪谷』の記事では以前から「ありつね」のほうを使い続けていて、しかも以前に(この記事を書いた、伊藤正一氏と親交のある)高橋庄太郎氏のトークイベントで高橋氏の私物の『黒部の山賊』実業之日本社版をちらっと拝見したときにこの本でも「ありつね」のルビが振られているのを見たことがあり、著者の伊藤氏は当時から「ありつね」の認識のようで。昨年発売の「定本」のほうには、P84に「ありつね」の表記がある。近年は一般的には「ゆうこう」も「ありつね」も両方とも認められている風潮だが、校正の仕事上では一応は「ゆうこう」のほうでは? と疑問出ししたい気分。

●P151広告

× 新藤原咲子
○ 藤原咲子

※新田次郎の藤原咲子氏の新刊『チャキの償い 新田次郎、藤原ていの娘に生まれて』の広告で、「新」の衍字。これはおそらく、紹介文を「新田次郎、藤原ていの娘」と書き出したかったのがなんらかの理由で「藤原咲子」に変更されて、そのときに「新」のみ削除し忘れで残ってしまった凡ミスだと思う……。

●P151広告

× 新田次郎 山の歳時
○ 新田次郎 山の歳時記

※上と同様に新田次郎関連の本の括りの広告で、ヤマケイ文庫『新田次郎 山の歳時記』の書名の「記」の脱字。広告では誌面の大きさが限られるが、書影付きで思いっきり目立つ書名なので文字を小さくするなりなんなり対処できなかったのだろうか……。

●P157本文

疑 クラックの仮題をこなす
改 クラックの課題をこなす

※奥多摩の登山中、「葉を落とした木」に向かう動作の主は山野井泰史・妙子夫妻だが、以前から岩登り、最近ではクライミングジムのような人工壁でも同様だが、自分が登りたいと決めて完登するまで取り組んでいる最中のルートのことを「課題」と呼ぶが、ここでは木の隙間を岩のクラックに見立てて山野井夫妻が試しに登っているという描写で。しかもこの連載の筆者の橋尾歌子氏のイラスト付きで。
ただ、ここでは本来登るべき岩ではなく樹木に取り付いているので、ある意味、本物の岩「課題」を想定した偽物の木「仮題」をその練習として登っているということなのか? という疑問が湧いて、単に赤字扱いにするのは微妙なところ。深読みしすぎかもしれないが。しかし、「仮題」の意味を文字どおりに考えると何かの「題名」の仮の状態なので、やはりここでは単に同音異字の誤変換の扱いで不適切なのかもしれない……。

●P164広告

× 事実を克明に追及した
○ 事実を克明に追求した

※上の写真にも挙げたヤマケイ新書『ドキュメント 御嶽山大噴火』の紹介文の、これまた同音異字(同音異義語)の誤変換。「追及」は犯罪のような事件・事故や欠点・欠陥のある事象に対して使うべき言葉で(「刑事責任を追及」みたいな)、本を熟読しても思ったが昨年9月の御嶽山噴火は気象庁も火山・地形の専門家でさえも予測は困難というかほぼ不可能な自然現象なので、山頂付近で被害に遭った方々もその救助・捜索にあたった方々も誰一人として他者に責任転嫁できるものではない天災なので、「追及」は人災ならまだしもこのような天災に使うのは明らかに不適切だ。いくら本文とは関連性の低い広告であってもこれは(「サバイバーズ・ギルト」を負う被災者や救助・捜索関係者、そして遺族の神経をも逆撫でしてしまう)倫理的にかなり致命的な誤変換で、今回の投稿でいくつか挙げたなかでも最も出してはいけない誤字である。
この広告の紹介文はおそらく、14年12月1日付のニュースリリースから抜粋したものだと思われるが、そこでは「追求」になっているのよね。どの段階で「追及」に変換されてしまったのだろうか……。おそらく、コピー&ペーストではなく手打ちかと……。
ただ、元の文章の、当事者の証言や救助・捜索活動の実情や噴火の考察を記録した意味合いで使っていると思われる「追求」でもよいのだが、有識者に意見を求めたりもして噴火という事実を深く考える(そして今後も教訓にして考え続ける)ために出版したのであれば「追究」のほうが適しているかもしれない。僕だったら「追究」では? と疑問出ししたいところ。
ちなみにこの本、社会的な意義から昨年中に「緊急出版」と銘打って出版を急いだのはわかるが(発行部数も多めのようで、発売直後からそんなに規模の大きくない書店にも配本されているのを見かけるくらい)、読み進めると中盤以降に誤植が増えてきて、急いだことの弊害もあったように見受けられる……。このような有意義な本を仕事として僕にやらせてくれればなあ、と久々に歯噛みしたりもする。

●P181本文上段

× メガポリス
○ メガロポリス

※(賛否両論ある)リニア中央新幹線が仮に開通すると、東京-名古屋-大阪の3つの大都市圏が実質は帯のように結ばれたようなものになる、という意味合いで地理用語では連結形「megalo」を充てた「megalopolis」を使うのが一般的なので(これは高校地理で学習する範疇)、地理もんの僕としてはこれは脱字扱いにしたいところ。英和辞典でもきちんと「メガロポリス」の語釈はあるし。
ちなみに、地理学習でお馴染みで緑色の表紙の『地理用語集』(山川出版社)での「メガロポリス」の解説は「連続する多くの都市が高速交通・通信機関で結合され、全体が密接な相互関係を持ちながら活動している巨大な都市化地帯」とある。
なお、僕個人的には、この記事「どうなる? リニア新幹線計画と南アルプスの未来」でも指摘されているように、新設工事(大半がトンネル掘削)による赤石山脈南部の自然環境の変化と、大井川中流から下流の減水と、長野県大鹿村の交通動態の変化(ざっくり言うと工事関係のダンプカーの往来が激しくなること)の問題が特に痛いと思っていて、リニア新幹線の新設はどちらかと言うと反対派で。現状の東海道新幹線でも充分に「高速交通」だろうに……。
そういえば昨年の地平線会議で、リニア新幹線問題を1999年から取材し続けていてそれをまとめた本を(JR東海に目をつけられたりとか版元の変更とか紆余曲折はあったものの)昨秋に出版した樫田秀樹氏の話を聴いたが(ブログもあり)、実際に工事が進むと想像以上に周りに悪影響が出そうな印象……。
賛否はともかくこれからこの問題に触れる場合はひとまず、宗像充氏によるこの記事でも樫田氏の話でも出た、YouTubeにある動画「リニア中央新幹線がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」を観てから判断するとよいと思う。

●P202告知右(小口)側

× 地下鉄神宮前駅
○ 地下鉄明治神宮前<原宿>駅

※「Information」のページの常連で、前々から表記を固定し続けていることにずっと違和感があるのであえて名前を出すが、「登山教室TimTam」の登山に関する机上講座の会場である「神宮前隠田区民会館」の最寄り駅を、「神宮前駅」と書いていることでさえ僕は納得いかない。これではどこの神宮前かがわからない。というか、明治神宮は全国的にも有名な観光地だが、それでも東京都内および渋谷区内の地理に明るくない人が初めて原宿界隈へ行く場合にはやや不親切な表記である。(東京メトロ副都心線の開通当初は千代田線と同じ「明治神宮前駅」だったが、現在はJR原宿駅に近いということでやや変更されている)駅名は正しくは「明治神宮前<原宿>駅」なので。僕も普段よく利用している駅なので常に気になる。いいかげん、きちんと書いてほしいものだ。

●P213広告左(小口)側

× 漫画俺たちの頂 復刻版  堀内夏子
○ おれたちの頂 復刻版  塀内夏子

※書名の漢字のとじ・ひらきと著者名で誤字。書名は原作も「おれ」とかな表記。講談社版の底本も大学時代に読んでいるし、この復刻版も所有しているので、やはり気になる。また、名字の「堀」と「塀」の違いも、たしかに字のつくりは似ているが、同じページに書影もあるので比較的わかりやすい……。というか、塀内夏子(へいうち・なつこ)氏は本誌連載「なつこの日本百名山奮登記」もあるので、ここで漫画家だとわかるから「漫画」の追加も不要だろう。とにかく、この誤りはとても失礼……。

このP213のヤマケイ文庫広告は、上の誤字があったせいでなんか全体的に怪しいなあと疑い、試しにウェブサイトと照らし合わせてみると案の定、誤字がいくつかあった。

× 畔地梅太郎
○ 畦地梅太郎

× 関根英樹
○ 関根秀樹

× 植村直巳
○ 植村直己

× ヶネス・ブラウワー
○ ケネス・ブラウワー

× 大イワナ滝壺
○ 大イワナの滝壺

ちなみに、その流れで『宇宙船とカヌー』に限ってはサイトの「ケネス・ブラウアー」が誤りであることも見つけてしまった。正しくは「ケネス・ブラウワー」で。

●P228本文上段

疑 確認してビニールに入れ
改 確認してビニール袋に入れ

※テンの死体を入れる、というくだり。「ビニール」はビニル樹脂(合成繊維)のことだが、辞書によってはビニル樹脂の加工品という意味もある。ただ、ここでは猫とほぼ同等の体長の動物が入るものということでふつうに読むとその入れ物は袋と思われるため、「ビニール袋」では? と疑問出ししたい。


今回はこんな感じ。登山業界的に老舗の月刊誌で校正担当も3人いる状態であっても、いろいろ精査すると思ったよりも多く出てきて、つい長くなってしまった。
それで今回特に目立った、というか前々から特に気になっていたのが広告の誤植で、この号に限らず数年前から何かおかしいぞ、と疑いたくなるヤマケイの媒体に掲載された広告は結構多い。
今回も雑誌編集と広告は別の部署でそれぞれ作っていることが透けて見えてしまう頻出ぶりだが、ひょっとして全社的な体制は一枚岩ではないのかな? と勘繰りながら落胆もしてしまう。いくら部署違いといっても同じ会社内で一丸となって販売してゆくべきモノなのだから、足並みは揃えてほしいものだ。それができていないから、「追及」と「追求」の同音異字のような大問題が発生してしまう。
ちなみに、「追及」はさすがに気付いたようで、今月発行の『ワンダーフォーゲル』15年2月号以降の雑誌広告では「追求」に修正されている。

ここ1、2年のヤマケイの出版物を見ていると(僕は興味が浅くて買わないモノであっても、書店へ行くたびにほとんどの新刊を手に取って造本をひととおりチェックしている)、昨年後半には新たにヤマケイ新書を立ち上げた影響もあってさらに増えた出版点数の多さから、雑誌も書籍も制作の現場は自転車操業的な体制になりつつあるような印象だが、老舗は老舗らしく、会社側も読者側もお互いに誇りを持てる専門的で末永く役立つ出版物をじっくり作ってほしいものだ。
そういえばヤマケイは今月上旬に市ケ谷から神保町に引っ越したそうだが、それによって出版物の作り方も「あっさり」ではなく「じっくり」になることを期待したい。


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