思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

『PEAKS』13年3月号の校正の結果

2013-03-10 00:00:00 | 出版・言葉・校正
先月、特別付録の件で触れた『PEAKS』13年3月号を、先週に風邪というよりはインフルエンザ? にやられて久々に体温が最高で38度4分まで上がったせいでしばらく臥せっていたりしながらも、昨日ようやく読み終わった。

これまでの校正ネタと同様に、「×」は赤字指摘レベルの箇所で(業界的には赤字は未だに古風に「朱字」と書くところもあるが)、「○」がその訂正例。
それとともに、赤字で指摘するほどではないけどたぶん違うんでないの? と問い質したい場合は疑問出しとし、その箇所は「疑」とする。

ちなみに僕の普段の校正の仕事上の基準では、赤字はどこからどう考えても間違っている、と資料を時折添えたりしながらも確証のある場合のみ出していて、それが得られない、決定的な根拠を示すことができない場合は疑問出しにとどめている。だから逆に言うと、なぜそこが誤りだと判定できるのか? と自分の口から断言できない場合は赤字指摘すべきではないので(これは多くの校正者がそうしていると思うけど、どうなんだろうなあ)、僕は基本的にあまり赤字は出さないように努めて、赤字扱いにする自信が100%はない場合や、わざと曖昧さを残しつつ再考を促すための選択肢を増やすために、あえて疑問出しに切り替えることもある。



その最近のわかりやすい一例を、『山と溪谷』13年1月号の(毎年恒例の)特別付録「山の便利帳2013」を軽く校正したときの一部を写真で見せると、「トムラウシ山遭難事故」は2009年のことなので2010年のままではおかしい、という感じ(この写真の青字は内容とは無関係の極私的な疑問なので、無視してちょ。左の赤字のみ)。ちなみに今年からは購入者限定の特典としてPDFでも覗けるようになった? この本の(直ちに修正すべき)問題点のいくつかは、すでに『山と溪谷』編集部に指摘済み。

とかいう屁理屈はここまでにして、『PEAKS』の結果を以下に。


P005、007、009
疑 TRAIL HEAD
※P019目次では「Trail Head」。

P019目次
× /035 WiFi利用可の山小屋、現わる
※P019目次で抜け、「/035 山小屋ビフォーアフター」の後ろに要追加。

P019目次
× Beacause
○ Because
※P105の連載タイトルは正しいが、目次では中学生レベルの英単語の綴りを……。(※1)

P043
疑 シーズン前にひと遊び。山のイベントカレンダー
※P019目次では「シーズン前のひと遊び 山のイベントカレンダー」。

P043
× アイスキャンディ
○ アイスキャンディー
ミレーのウェブサイト参照。

P045
× 同ユースB優勝。
○ 同ユースB優勝
※「Biography」では文末に句点「。」を入れていないため、統一。

P050
疑 2012年、“売れた”ギア
※P019目次では「2012年“売れた”ギア」。

P051
× 2000円代
○ 2000円台
※一般的に価格・数値などのおよその値や目安を示す場合は「台」のため(「代」は年齢や年月のときに使用)。

P052
× SOD‐301
○ SOD‐310
※僕も喉から手が出るほど欲しい新富士バーナーの「SOTO」ブランドの来月発売の新商品の解説で、同ページ内に頻出。やはり4本ゴトクのほうが良いでしょう。

P053
疑 厳寒地で
※P019目次では「極寒地で」。

P053
× 1512kcal/h
○ 1,512kcal/h
※ P052のように、火器の4桁の出力の数値は標高・価格・重量と同様にカンマ(コンマ)で3桁のところで位取りしているため。

P054
疑 183,200cm
○ 183cm,200cm
※(寝袋の)サイズ展開が183cmと200cmの2つであることを示しているが、この場合に限ってはカンマの区切りの位置から、6桁の「じゅうはちまんさんぜんにひゃくセンチ」という(寝袋としては)あり得ないサイズにも読めなくはないため、分類するために両方のサイズに「cm」という単位をそれぞれ入れるほうがよい気がする。(※2)

P055
疑 10万円オーバーのスペシャルギア
※P019目次では「10万円オーバースペシャルギア」。

P056
× 1500g
○ 1,500g
※全体的に、横組で4桁以上の標高・価格・重量の値はカンマ(コンマ)で3桁ごとに位取りしているため、統一。

P057
× 99,750、22,050~31,290
○ \99,750、\22,050~31,290
※全体的に、価格には円マーク(\)が入っているため、統一。

P061
疑 雪山でも、エアバッグで
※P019目次では「雪山でもエアバッグで」。

P061
× エアバック
○ エアバッグ
※同ページ内に頻出。

P062
疑 スタッキング自慢
※P019目次では「スタッキング自慢!」。

P062
疑 辿りついた
※同ページ内に「たどり着いた」と混在。

P062
疑 外径86mm、内径86mm 外径76mm、内径71mm 
※P063のように「外径86mm/内径86mm 外径76mm/内径71mm」に統一?
(カタログ的な校正仕事では、肝心の型番・価格・寸法・重量のような記号・数値以外の、端から見るとどうでもよさそうな? このくらいの区切りの表記の細かい差異と整合性を視ることもある)。

P064
× キューベンファイーバー
○ キューベンファイバー
※P096にもあるように、一般的には「ファイバー」。

P068
疑 再検証!
※P019目次では「再検証」。

P073
× 柔らかな履き心地
○ 柔らかな穿き心地
※一般的に、下半身に身に着ける衣類は「穿き」(媒体の分野を問わず、よくある誤植。靴下や靴は「履き」)。

P078
疑 エベレスト写真を発見!
※P019目次では「エベレスト写真を発見」。

P082
× PAGO WORKS
○ PaaGo WORKS(PAAGO WORKS)
「サイトウデザイン」のウェブサイト参照。

P083
× ポートレード
○ ポートレート(もしくはポートレイト)
※綴りは「portrait」なので、一般的には「ト」で終わる、と思う。

P085
疑 絶対のオススメです
※P019目次では「絶対オススメです」。

P088
× 里いも煮
○ 里芋煮
※写真の商品名は「里芋煮」で、写真と活字の表記が揃っていないため。商品名を勝手に「いも」に変えてはいけません。(※3)

P089
疑 喜ばれるか、どつかれるか……
※網囲みの説明の文末で、「食べ比べてみるのもいいかも。」と同様に句点で終わらせるか否か、不明。

P089
疑 写真はブナのドングリ
※網囲みの説明の文末で、「食べ比べてみるのもいいかも。」と同様に句点で終わらせるか否か、不明。

P093
疑 ホームグランド
※ホームグラウンド? 本ブログの過去ネタの観点からも疑問出し。

P094
疑 山映画必見ベスト5
※P019目次では「山映画ベスト5」。

P097
× みずかららPCTハイカーで
○ みずからPCTハイカーで
※誤字。

P099
× \5,0000
○ \50,000
※全体的に、4桁以上の金額のカンマの位取りは3桁ごとのため、統一。

P100
× 昨年は雨天にも関わらず
○ 昨年は雨天にも拘(わ)らず
※一般的に「AにもかかわらずB」というAの打ち消しを伴う表現の場合の漢字は「拘」で、迷う場合は「かかわらず」とかな表記にするのが安心だが、もし漢字にする場合は「関」のほうでは誤り(これも媒体の分野を問わず、よくある誤植)。

P103
疑 マウンテンブラウジング
※P019目次では「マウンテンブラウンジング」。

P108
疑 請求書には1%も乗ってない
※載ってない? ただこの場合の漢字の使い分けでは、本来の金額に上乗せするという意味では「乗」のままでよいし、単に金額の記載の有無を指す場合は「載」で、その両方の意味を含むようにも読み取れるため(どちらか一方には判別し難い)、疑問出し扱い。

P113
疑 Mountain CULTURE CATALOG
※P019目次では「MOUNTAIN CULTURE CATALOG」。

P113
疑 PICK UP
※P019目次では「Pick up!」。

P119
疑 ライチョウ
※雷鳥? カナ表記でも間違いではないが、その下の例文集で「雷鳥」を使っているため、統一すべき?

P121
× ロジャース
○ ロヂャース
※これは偶然だが最近フェイスブックでも、特に埼玉県民には馴染み深いこの店名をネタにしたばかり。ウェブサイト参照。店名の誤認識が目立つのはやはり県民としては許せない。ちなみに、ホーボージュン氏がこの連載記事(「道なき道のケルン」)で触れていた吉祥寺店にも数回行ったことはある。ロヂャースの支店のなかで最も狭い店内だけど。

P127
× サイトウデザイン、サタケ、サニーエモーション、ザ・ノース・フェイス3(マーチ)、サーモスお客様相談室
○ サーモスお客様相談室、サイトウデザイン、サタケ、サニーエモーション、ザ・ノース・フェイス3(マーチ)
※一般的に五十音順リストの場合、「ー」(長音、オンビキ)は母音で発音するため、「サーモス」の場合は「あ」。

P127
× ジオサーフ、シダスジャパン、シック・ジャパン、シナノ、シリオ、新富士バーナー、GPSDGPS.COM、秀岳荘
○ GPSDGPS.COM、ジオサーフ、シダスジャパン、シック・ジャパン、シナノ、秀岳荘、シリオ、新富士バーナー
※一般的に五十音順リストの場合、「ー」(長音、オンビキ)は母音で発音するため、「GPS」で「ジーピーエス」の場合は「い」(ただ、媒体によっては、かな・カナの五十音順とアルファベットのAからZの順番をそれぞれ別々に考えることもある)。また、(北海道の)「秀岳荘」で「しゅうがくそう」は単に順番違い。

P127
× DECEMBER、チャムス表参道、ティムコ、ティンバーランド ジャパン、DKSHジャパン、ティートンブロス
○ チャムス表参道、DKSHジャパン、ティートンブロス、DECEMBER、ティムコ、ティンバーランド ジャパン
※一般的に五十音順リストの場合、「ー」(長音、オンビキ)は母音で発音するため、「DKSH」で「ディーケーエスエイチ」の場合は「い」。ただ、読みが「ディー」ではなく「デー」の場合は母音は「え」で、また順番が異なる。「DECEMBER」で「ディッセンバー」は単に順番違い。読みが「ディセンバー」か「ディッセンバー」かでも、また微妙に順番が変わる(いちいち細かい)。

P127
× ホグロフスジャパン、ボルテージデザイン、ホールドオール
○ ホールドオール、ホグロフスジャパン、ボルテージデザイン
※一般的に五十音順リストの場合、「ー」(長音、オンビキ)は母音で発音するため、「ホールド」の場合は「お」。

P127
× ムトーエンタープライズ、ムーンライトギア
○ ムーンライトギア、ムトーエンタープライズ
※一般的に五十音順リストの場合、「ー」(長音、オンビキ)は母音で発音するため、「ムーン」の場合は「う」。

P134
疑 シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記
※P019目次では「シェルパ斎藤の山小屋24時間滞在記」。(※4)

P138
疑 ディテイル
※P138からP140で「ディテール」と混在。

P138
× エアテック
○ エアーテック
※グリベルのクランポン(アイゼン)を掲載するマジックマウンテンの毎冬の商品カタログでは、日本向け商品名は正しくは「エアーテック」。P140にもあり。

P140
× 1080g
○ 1,080g
※全体的に、横組で4桁の重量の値は3桁で位取りのカンマを入れているため。

P140
疑 行なわれる
※同ページ内で「行われる」と混在。

P143
疑 ネギ
※2の料理「長ネギとササミの生姜塩ラーメン」の料理名と材料では「長ネギ」のため、「作り方」でも「長ネギ」に統一するほうがよいと思う。写真を見れば長ネギであることはわかるが、それでも「ネギ」のみではタマネギも連想してしまうため。

P143
× 仕上げにネギを加え、
○ 仕上げにネギを加え(写真3)、
※写真番号の括弧書きが抜け。この上下の別の料理の「作り方」では写真番号をすべて付記しているため、統一。

P144
× ハイブリット
○ ハイブリッド
※綴りは「hybrid」なので、一般的にはカナ表記は「ド」で終わる、はず。

P144
疑 ヘッドライト
※同ページ内に「ヘッドランプ」と混在。

P144
疑 2300mAh
※金額・標高などと同様に、4桁の消費電力もカンマで3桁の位取り(2,300mAh)?

P148
× アルパインクラミング
○ アルパインクライミング
※単なる脱字。

P149
× キャノン
○ キヤノン
※「ヤ」の大文字の扱いについては、ウェブサイトにも掲載されている。「シヤチハタ」や「キユーピー」などの社名と同様に(大概は社名の登記のさいに小文字が使えなかった名残だそうだが)、読み・小文字→書き・大文字、の差異も媒体の分野を問わず頻出する誤り。キヤノンの場合は特にデジタルカメラを紹介するときに多く見られる。

P155
× 108g、104g
○ 105g
※日本では今月後半から発売らしいアメリカのメーカー・GSIの「パックキッチン8」の紹介で、重量がおかしい。ただ本家のウェブサイトの「スペック」では重量は3.7ozとあり、オンス(oz)をグラム(g)に換算するときに仮に1オンスを28.35グラムで計算すると、104.895グラムとなる(ウィキペディアには28.349523125グラムとあるね。こちらで計算すると104.8932355625グラムだが、実際に扱う場合はこんなに細かすぎる数字は要らないと思う)。
となると、小数点第一位で四捨五入すると105グラムである。と僕は思うのだが、小数点第一位で切り捨てると104グラムとなるし、同業他誌でもこの商品を紹介しているのを先日読むと「104g」だったので、ひょっとしたらGSIの商品を輸入販売するエイアンドエフが提供する今年のカタログデータで「104g」としていて各媒体もそれに倣った、ということなのかもしれない。
だからこれは、赤字扱いではなく疑問出しにしたほうがよいか。いちいち細かいが104グラムと105グラムという1グラムの違いでも妥協してはならない。まあこの場合、「108g」のほうは完全に誤字だけどねー。(※5)

P160
疑 いじっくって
※いじくって? 「いじる(弄る)」の変化形は「いじくって」だと思うのだが。「っ」を入れるのは方言か何かなのかなあ。僕には「っ」を入れる意図が全然わからない。

P160
疑 山シーズン到来前
※「山シーズン」とはいつからいつまでの時季・時期のことか? という疑問が発生する。この表現ではおそらく登山するのは無雪期のみに限定している(つまり、この号の発売時期はちょうどオフシーズンの)読者を想定しているのだろうが、登山の頃合いには個人差があって積雪期の山にも行きたがる、つまり1年間の365日すべてが登山適期と捉えている僕のような読者も近年の登山人口とその動向を考えると少数派? ながら当然いるだろう。だから、このような冬から春への移り変わりの時期を「山シーズン」の「前」と断定する書き方は改めるべきだ。


ほかにも、横組で重量の単位が「グラム(g)」ではなくアルファベット小文字の「ジー」と混在しているところも多々ある。全体的な統一感ではグラムのようだけど。

創刊からもうすぐ3年の『PEAKS』、今回こんなに深く突っ込んで丁寧に視たのは創刊以来初めてだったが、思ったよりも酷かった……。でも、これでいつもよりも少ない、まだましなほうかもしれない。
同業他誌で、常任の校正者が居る『山と溪谷』や『岳人』や『ワンダーフォーゲル』では疑問点はもっと少なくて比較的引っかかることなくちゃんと読むことができる(ちゃんと読むことが、ってなんだ……)。ただ、『ランドネ』や『TRAMPIN'』や『GO OUT』は今回と同じくらいの分量のツッコミどころは毎号ある印象ですな。

ああそういえば、『ランドネ』13年4月号も結局は特別付録が目当てで買ってしまった……(〇TL)。こちらも後日それなりに精読するが、今回のような洗い出しはやめておく。『PEAKS』だけでも疲れたから。趣味でやり続けるには労力が……(これが仕事であれば話は違うのだがなあ……)。



●2013年4月10日(水)の補足

※1
4月号で「Because」に修正を確認。

※2
4月号の山道具特集や、最近の別冊(特別編集)のムックを眺めると、2つのサイズの違いはカンマではなく読点「、」で区切っているところが多く、これでもよいと思う。カンマで区切ると紛らわしいから。
だから、ここを修正する場合は「183、200cm」となるか。おお、このほうが断然良いではないか。

※3
「里芋煮」だが、本家のローソンのウェブサイト(ローソンセレクト)を覗くと、そこでは「里いも煮」になっている……。となると、この元データどおりに誌面に反映させたのであれば誤りではないのだろうか。うーむ。でも僕としてはこの本家の「いも」の表記がそもそも誤りだと思うなあ、だって商品パッケージは……(しつこい)。

※4
4月号で「斉藤」に修正を確認。

※5
最近、エイアンドエフのウェブサイトでGSIの日本語版のカタログも更新されたが、そこでは104gであった。
先週に入手した、紙のカタログのほうでも同様に確認した。ということで、104g(小数点で切り捨て)で解決。



しっかし、数年ぶりに触ったエイアンドエフのカタログは相変わらず分厚いよなあ。厚さを測ったら1.3cmもあったわ。まあ前々から扱っているメーカー・ブランドが多い、そして年々増えているからなあ(ここの取り扱いの特に人気で筆頭メーカーであったグレゴリーの商品は「グレゴリージャパン」の設立によって今年からは完全に除外しても、この厚さですし)。


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