蒼い空の下で

文系男子の何気ない1日を記します。

福井県選抜物語②~「宿命」の曲から過る情景~

2019-11-18 22:50:45 | 県選抜
2019年8月3日-
この日は、貸し切った県営球場での結団式と試合。
期待と不安を抱きながら自宅を出発した。
県内一円から選出された18人。
到着した者から球場に入っていく。

付き添った家族はバックネット裏の別室へと招かれた。
そこでセーレン野球部との試合を観戦し、そして結団式を行う。

温厚そうな1人の男性が保護者を誘導してくれた。
この人こそが県選抜の代表と呼ばれる人。
この活動に尽力してこられた「おじいちゃん的」な存在と言える方だ。
試合が終わると、監督が保護者の前に来てくれた。
直接的な面識はないが、なぜか親近感が湧いてくるようだった。
15年前の7月27日を見ていたからこそなのか。
不思議な縁を感じながらも監督の挨拶を聞き入っていた。

ほぼ別々の学校から集められた18人。
初日の活動を終えた頃には、親しげにする姿も見られた。
野球をしている時は、大人びた様子にも見えるが、それを除けばただの15歳。
まだ子どもである。

帰り際、「バイバイ」の声があちこちから聞こえてくる。
これは親身になった証拠。
何も心配する事はなかった。
8月17~18日にある京都親睦大会。
北信越大会を終えた三国中の4人も選抜チームに専念できるようになった。
こうした中で、それまでのわずかな期間でチームを作り上げていくこととなる。

練習の会場は、中間位置にある南越地区。
南条中のグラウンドを借りて練習は行われる。
official髭男dismの「宿命」を聞きながら高速道路を走行した日々。
今でもこの曲を聞くとあの頃の情景が過ってくる。

「遠方からなので大変ですね」
こうした気遣いの言葉を掛けられた事もしばしばあった。
私は頭が悪いのか、大変や嫌と思った事はなかった。
むしろ楽しかった。
蒼空には、これまで野球を通じてたくさんの経験をさせてもらってきた。
嫌な事など何一つとも見当たらない。
どんなに忙しくても感謝しかなかった。
まだ8月の暑い時期の練習。
グラウンドを正面にした河川敷が懐かしい。
桜並木を木陰にして、達輝の父親や涼平の父親と椅子を並べながら練習風景を眺めていた事を思い出す。
練習中、時には檄が響き渡った事もあった。
こうした時には、その時に何が足りなかったのかという説明も欠かさずにあった。
それを耳を澄ましながら聞いていた事もあった。

年齢の離れた兄貴のような存在-
一歩、野球を離れれば冗談も言い合う仲。
監督と18人の子供達との関係をこのように見て過ごして来たのであった。
                       つづく
コメント (2)
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