うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#273 【選抜開幕】

2010-02-19 | #11 湘北 選抜編
湘北高校は、選抜優勝大会の会場となる福岡総合体育館から、5キロほど離れた小さな旅館にいた。

こじんまりとしたその旅館は、近くに小川が流れ、看板には温泉の文字が、掲げられている。

部屋は、6部屋ほどで、湘北バスケ部25名が宿泊すると、めいっぱいな状態。

湘北高校の貸切温泉旅館となっていた。

古びたソファーに腰をかける湘北選手たち。

午前中に行われた開幕式について、話をしていた。



「結局、沢北はいなかったじゃねぇか。」

「どうなってるんだろう?」

「彦一さんの情報だと、全国大会から出場という話でしたが、
今日の開幕式には、その姿はなかった。」

「寂しいだろうな、流川さんは。」


流川は一人、外を走っている。


「俺は、やっぱりあの加藤の唇が気に入らねぇ。」

と宮城。

加藤に対して、異常な反応を見せる。



昨年優勝した山王工業。

キャプテン加藤が、優勝カップを返還し、選手宣誓を行っていた。



「そういえば、あいつら、態度悪かったですね。」

と白田が、開幕式を思い出しながらいった。

「あーあ、あいつらか。」

「バスケットマンにあるまじき行為だ!」

「お前がいうな!」

宮城に突っ込まれる桜木。


「だが、バイエルンはいいやつだった。」

桜木がしみじみいった。



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<<回想>>

第39回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会

開幕式。


各都道府県47校の代表校プラス開催地福岡の北九州第一高校が、綺麗に整列している。


「うまいじゃねぇか。夏輝。」

「緊張したダス。」

声をかけたのは、SG烏山彰隆。

山王のピュアシューターであり、ムードメーカーである。


「来年は、敏君があれをやるのかな?」

『ブルブル。』

美紀男が、柳葉に尋ねると、柳葉は激しく首を左右に振った。



整列している一番端の列。

沖縄県代表。


『クチャクチャ。』

列の後ろのほうで、ガムを噛んでいる3人の男がいた。

容姿からいって、ハーフ、またはクォーターにみえた。


「だりーな。」

「早く、バスケさせろや!」

「なんで、こんなのでなくちゃいけねぇんだよ!」

「だから、日本人はバカまじめなんていわれるんだよ!」


彼らは、沖縄県代表神海のインサイド陣。

自由奔放な生活をし、ストリートバスケで、腕を鳴らしてきた彼らにとって、開幕式など、なんの価値もない。


「早くおわんねぇかな。」

「俺らはバスケをしにきたんだ!!」


『クチャクチャ。』



整列する選手の中でも、頭一つ分以上跳び出ている河田は、その光景をよく見ることができた。


「なんか、柄の悪い人がいるね。」

柳葉に話しかけるも、180cmの柳葉は神海を見ることはできない。

「・・・。」


「ソウダネ!」


「!!」


右後方から、英語訛りのある声が聞こえた。

河田が振り向くと、褐色で、眼のギョロっとし、口の大きな、男が笑っていた。


「カマタ!」


「やぁ、パウエル。」


秋田県代表山王工業の隣は、青森県代表青森酒田高校。

この陽気な青年は、セネガルからの留学生バリス・パウエルであった。


「オヒスブリ。」

「お久しぶり。」


「アノヒトタチ、ワルイ。ノースポーツマン。」

「うん。」


河田とパウエルは、東北大会で対戦、マッチアップしたのを機に、またお互いが人懐こい性格もあり、
すぐに打ち解け、親友となっていた。


「コンカイモ、ヴィクトリー!」

「僕たちも負けないから。」


「カマタ。」

(河田だけど・・・。まぁいいか。)

「アソコニ、レッドヘア。」

「あっ、あれは桜木君だよ。凄く巧いの。」

「オッオー。クレイジーヘア。オモロシイネ。」

「面白いだよ・・・。」



そんな光景に気付いた桜木。


「む!丸男の隣にいるのは、バイエルンか。」

「違いますよ。パウエルです。」

小声で訂正する白田。


「どっちでもいい。うむ、面白そうなやつだな。あとで挨拶にでもいってやるか!」

「なんか、いやな予感が・・・。」



「以上、第39回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会、開幕式を閉幕します。
これより、第1回戦、第1試合を行いますので、速やかな移動をお願いします。」 



「さぁ、少し観戦していくか!ぬっ、白田。花道は?」

白田がだまって指を差す。

その方向に、湘北選手らが眼をやると。


「ぬあ!」

「なぁ!」


そこには、桜木、河田、パウエルが楽しそうに笑っている光景が映った。



3分前。

開幕式がもうすぐで終わりそうな状況。



『ブス!』


「ブヒィィィ!!」

「ハッハッハ!丸男、久しぶりだな。」

「さっ桜木君、なんでここに!しかも、いきなりカンチョーって・・・。いっいたいよ・・・。」


桜木は、こっそり山王の列に並んでいた。

河田の後ろ、柳葉の前に陣取った。


「ダメだよ。桜木君、怒られちゃうよ。」

「かまわん。」

「カマタ。オモロシイヒト、キタネ。」

「ぬっ。貴様が、バイエルンか!」

「ボクハ、パウエル。コレガ、カマタ。」

「俺は、天才桜木。こいつが、丸男。」

「僕は、河田。こっちが桜木君。こっちがパウエル。」

「サムラギとカマタ。」

「バイエルンと丸男。」

「桜木君とパウエル。」


正しいことをいっていたのは、河田だけだった。


「サムラギ。クレイジーヘア。」

「ぬっ。この天才を侮辱しおったな。」

「ダメだよ。桜木君。」

「丸男はだまっておけ。バイエルン!」

「パウエルデス。」

「俺は、天才バスケットマン桜木だ!よーくおぼておけよ!」

「テンサイバスケットマン、サムラギ。オボエマスタ!」

「俺は誰だ?」

「テンサイバスケットマン、サムラギ。」

「おっ、覚えが早いな。」

「テンサイ、サムラギ。」

「そうだ、うむ、いいスジしているぞ。」

「スジ?スシスキ。」

「寿司好きか!よし、今度スシくわせてやる!丸男のおごりで。ハッハッハ!」

「なんで、僕が・・・。」

「ハッハッハ!」

「ハッハッハ!」


その光景が湘北選手たちの眼に映ったのであった。



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続く。