うえぽんの「たぬき鍋」

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うえぽん版「お葬式」・第1話「魂抜けて日が暮れて」

2005-03-15 19:24:37 | 雑記
Xデーは、突然訪れた。

先週の土曜日に見舞いに行った時の祖父は、手足はむくんでいたが顔色は良く意識もあり、まともな会話こそできないものの「痛い?」と聞けば首を横に振り、「大丈夫?」と聞くと「うん」と言うような感じできちんと反応していたのである。日曜に従兄のターちゃんが見舞いに来た時も同じような調子だったという。確かに数日前から面会謝絶の病室に移されてはいたものの、まさか月曜日にこんな事になろうとは、誰も知る由もなかった。

月曜の夕方4時過ぎ、話は急転直下の様相を呈し始める。私の家に、ヒロコおばさん(母の姉)から電話がかかってきた。私が先に電話をとり、すぐ母に取り次いだ。私は、いつものように「今日はこんな感じだったよ」という報告をしているのだと思っていたのだが、ヒロコおばさんの話を聞いていた母の顔色が変わり、声が上ずり始めた。「わかった、すぐ行く!」と言って電話を切るなり「おじいちゃん、危ないって」と支度を始めた。私の家から、祖父が入院している横浜・東戸塚の病院へはどう頑張っても1時間はかかる。それまで頑張ってくれるかどうか。妹にケータイですぐ連絡し、台湾の父へはメールを送った。母と私、道中で半分諦めたような会話をしながらも、内心は二人とも「何とか間に合って!じいちゃん頑張って!あわよくば一山越して!」と思っていた。

こんな時に限って電車の接続が悪い。乗り換えの特急が来るタイミングがワンテンポ早くて間に合わない。普段は「まー、しゃーないしゃーない」とのんびりとしたものだが、こんな時ばかりはダイヤの組み方のまずさを罵る我々。勝手なものだが、この気持ち、きっとわかっていただけるかと思う。
5時前、横浜駅にようやく到着。東戸塚へはここから横須賀線で2駅であるが、またしても目の前で逗子行きの電車に逃げられた。つくづくツイていない。ダメな時は何やったってダメなのだ。こんな時は酒でも飲んで寝るしかない…って、そういう場合じゃねんだよっ!
さっきから、ちょくちょくケータイの着信をチェックしていたのだが、電車待ちの間にパカッと開いたら「着信あり」の表示が出た。て言うか、着信あった時点で気付けよ自分。その瞬間、思わず天を仰ぐ私。

終わった…全て終わったよ…orz

留守電メッセージには「午後4時32分に亡くなりました。病院で待ってます」というヒロコおばさんの涙声が残っていた。我々が家出る頃にはもう亡くなってたって事じゃん。色々な意味で脱力し、魂の抜け殻状態で横須賀線に乗る我々…って、我々が魂抜けてどうすんじゃ!?東戸塚はいつもよりも遠くに感じた。東戸塚駅改札からただでさえ長い歩道橋を歩いて病院に行くのだが、これまたいつまで経ってもたどり着かないんじゃないかと思うぐらい長かった。

(以下次号)

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2 コメント

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・・・・・・。 (風爺ぃ)
2005-03-15 22:49:48
確かに、肝心なときに乗り換えの接続が悪いって、ありますよね。



しかし、これはリアルですね。まさにXデーでしたね。



でも魂が抜ける感覚って、わかる気がします。生きている方も、抜けてしまう気がしますよね。

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Unknown (うえぽん)
2005-03-15 23:28:34
風爺ぃ様

まぁ、どっちにしろ間に合わなかったんですけどね、トホホ。

ちなみに、父方の祖母が危篤になった時は、勤務先からとりあえず駅に出て、電車乗ろうかと思ったんですが、急に気が変わってタクシーで帰ったんです。そうしたら、臨終の10分前に病院に到着して、最期を看取ることができました。普通に電車で帰っていたら間に合いませんでした。あれは「おばあちゃんが、来るのを待ってた」としか思えませんでしたねぇ。
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