<うそごと>はお好き?

管理人・葉山羽魚(ハヤマ ウナ)の人生は読書演劇妄想人形美酒シゴト。

ファンファンファン

2005-09-28 | エッセイ
●最近の個人的な体験(by健三郎)を1つ。
 8年9ヶ月続いた西川貴教(T.M.Revolution)のラジオ、
オールナイトニッポンが終わってしまった。
 今週の月曜日深夜25時は、まるまる2時間聞いていた。
 久々の仕事でどろどろに疲れてたけど、目覚ましかけて起きた。
 深夜に関わらず、長年のファンがどんどんメッセージを寄せている。
(でもみんな若いし!まだ学生なんだよねー。)
 キー局ニッポン放送のスタジオをファンが訪れたりもしているらしく、
ガラス越しに泣くファンにタカノリさんは笑いながら「泣くなお前らあ!!」と
言っていたのだが、寄せられたメールやらを読んでいるうち、ついに泣いてしまった。
●私はぼんやり夜食のおやつを食べたり、
ラルクのパンフレットを見たり(この前の里帰りで買ってきた)、
マニキュアしたりしながらそれを聞いた。
 私は微妙にその熱気にはついていけなかった。
●なぜなら私はこのラジオ番組の「真面目な」ファンではなかったからだ。
 今年四月ニート時代から聞き始めただけで、
寝過ごして聞けなかったりはしょっちゅう、
大体2時(1時から3時までの番組)には寝てたし
(次の日仕事あるから)。
●そんでも「最終回」に立ち会ってしまったのは、1つには、
他のリスナーには私の不真面目態度がバレないからである。
誰からもそれで非難されることはない。
みんなが1つの番組を聞いているけど、他人の視聴態度は分からない。
●深夜ラジオは、声だけであるがために、直接語りかけられているような、
私だけがそれを聞いているような、そんな気分になっていた。
 久々にこの感覚を思い出した。
 数々のコーナーは意味不明だったが(笑)、
タカノリさんが笑ってたのが面白かった。
テレビよりも雑誌よりも本音が出てるような気がした。
「うーん、それだけで充分じゃないか?」と私は思ったのである。
それだけで、私がこの番組のファンだった、というには充分じゃないかと。
 つうのは、おこがましいか・・・ディープリスナーの方すいません。

●ファンてなんなんだろう。と私は最近考えてるのだ。
 ファンの基準とは。恋愛との違いは。ファンの「横のつながり」の是非。
●ファンの定義は主観だとも思うが客観もゼッタイ必要だとも思う。
 線引きは誰がするんだろう。
 「○○が好き」ってなんだろう。
 愛って何なんでしょう。
 ってアンタ及川光博か(ミッチーのライフテーマなんですよ>愛って何)

 でも愛って何なんでしょうね。

 ともかくオールナイトが無くなるのは寂しいけど、
一番寂しいのはタカノリさんに決まってるからなあ。
 
 内田春菊の名言。

「愛ってなんだか言えないけれど
 それでも私は愛してる」 

本好きにつけるクスリなし。

2005-09-18 | エッセイ
作家・三浦しをんに言わせると、彼女の好きな物は
3位 美しい男
2位 服
1位 本
だそうであるが、私もほぼ同じだ。
2位が美しい男女、3位が可愛い画と、ポップス(音楽)かな。
芝居は物じゃないので別だす。

唐突に、私家版★本好き血中濃度チェック!!!

1.本屋(書店)に行き、或いは図書館などで大量の本を見ると
  血圧が上がる、というかエクスタシーを感じる(笑)
2.本の帯や、中吊り広告に載っているコピーをつい暗記している
3.本屋にいるとアッという間に2時間は過ぎる
4.本を衝動買い、ジャケ買いしたことがある
5.文庫本を「解説がいいから」という理由で買ったことがある
6.読書日記をつけている
7.文庫本の活字を見ればそれがどこの出版社のものか大体わかる
8.むしろ本の内容からでもどこの出版社かわかる
9.望む死に方は「本による圧死」だ
10.人生を本で変えられたことがある

10個全部当てはまった方は立派な本フェチです(断言)
私は、「8」以外は当てはまりますが何か?
しかしこの趣味だけは「キモい」とは思われない。
むしろ、いい子とかインテリとか思われるだけでしょう。
フィギュアやアニメの愛好家と
何ら変わらない思いなんですけどね。
世間てヤツは・・・・・・。

で、今日も本屋に行きました。

本好きといっても私は
小説至上主義(の“現代小説やや過激派”)なので、
とりあえず文庫と新刊からチェーック。

そうそう、私、古本はまったくわかりません。
古本屋でも新古書店でもあまり小説は買いません。
新しい本(新品、現代小説)が好き。
友人の中には「死んだ作家の作品しか読まない」
という過激派もいます。すげえ・・・。

ぎゃー村上春樹が新刊出してるし!! 知らなかった・・・。
やっぱ金原ひとみが欲しい。
しかし、こんな過激な小説を読んでいる場合なのか。
もうちょっと女らしい本を読んだ方がいいのか。
レンアイ小説とかー。

ということで「美輪明宏様特集」など組まれた棚を横目に、
恋愛力を高めようと買ったのは

山田詠美「熱血ポンちゃんが来たりて笛を吹く」(エッセイ)
舞城王太郎「阿修羅ガール」

恋愛小説家の女王ポンちゃん(山田詠美の愛称)はともかく
・・・舞城王太郎はラブじゃないやんけ。


フツーは、よしもとばななとか、江國香織とかだろう!

う~ん、だって読みたかったんだもーん。


◇舞城王太郎(まいじょう おうたろう)
→福井県の覆面作家。「メフィスト」などで活躍。三島賞など受賞。
純文学なのにめっちゃエンタ。理屈抜きに面白いのにちゃんとブンガク。
今、35歳くらいまでの若手のライトノベル作家がアツい、
ということになってるらしいのですが、
その「ゼロ年代作家」のトップランナー。
暴力・シニカル・ふざけた言葉遊びとリズムに満ちた、
圧倒的に魅力的な文体で「愛」を描く実力派。
最初読みにくいけど一度読んだら病みつき、
ってヴィレバンの手書きポップにあって
「ウッソだー」て思ってたけど、ホントでした。
無頼のライター・豊崎由美(大森望と仲良し・笑)氏も
超・買ってます。ぜひ舞城体験をしてみて下さい。

あと、「メガネ男子」って本があったな。
メガネの男の写真とインタビューばっかり集めた本。
一瞬何かと思った(爆)
私、本フェチと同じくらい、
メガネ(で格好良い男)フェチなのですが、
しかしながら、「おぎやはぎ」と「春風亭昇太」を
そこに含めちゃいかんだろ! 
あれは単にメガネ本体が目立ってるだけで、
メガネと顔のコラボレーションとしては微妙だろ!

マンガキャラも載ってるのはいいとして、
とりあえず福山雅治を入れろ!
それから、街で見かけたイケメガネ男子の写真を載せてくれ!
(ノンノの街の可愛い着こなし特集みたいに。)
メガネの男のことならずっと語ってられる。
ああ、メガネ男子本の編集やりたい。(もはやアブない領域に)

ああ、そうやって出版社の試験受ければよかったんだ!!!

・・・・・・。

プレゼントは図書カードが一番嬉しい葉山ですv
(そんなオチかい)

卑小な国の9・11ショック

2005-09-12 | エッセイ
あーあ。

小泉自民党勝った。大勝。
マスコミは選挙前に全然自民圧勝とか言ってなかったじゃーん。
ほんとに分かってなかったのか、
あるいは中立をアピールするために黙ってのか。

でも結局私は、なんで小泉NOなのかははっきり言えない。
なんとなく嫌なのだ。
なんとなく嫌っていうのは
なんとなく好きになりやすいともいえる。
印象先行だ。

私は靖国参拝すること自体には基本的に賛成。

無駄な出費は抑えた方がいいから、
もし本当に効率がよくなり、さらに今までのメリット
(効率を考えないからこそ出来ること、例えば
 文化を守ったり赤字だけど郵便局置いたりとか)
が守られるなら、民営化にも賛成。
(一番いいのは、それでちゃんと利益でるようにすることだとは思うが。
 やっぱ儲かるって大事。励みになるから。)

アメリカにはあまり頼らないようにしたいから
日米安保条約の見直しに賛成。

今までのオジサマたちのよくわかんない熱血は美しくないから、
自民党の陋習をぶっこわすのには大いに賛成。

ね。なのに私は今の小泉さんは好きじゃない。
彼がファシスト的だから?
彼がタカ派(本当のタカ派てなに?)っぽいから?
違う。私も彼の考え方に賛同するところも多いのだ。

では一体、何が私に彼を「なんとなくキライ」にさせるのか。
彼は今までの政治家のように脂ぎってないし(顔が)、
スレンダーで、オペラや音楽が好きで、
某首相経験者ほどには舌禍もないし。

私も、保守のオジサマたちのように怖いのだろうか、小泉さんが。
その合理的でアメリカ的な考え方が怖いのか。

「わたしたち弱者を誰が守ってくれるの?」とは言いたくない。
私は弱者じゃないからね。

ならば上に立つ人が誰であろうと、
自分の人生を生きられるように自分を持たねばならないのであろう。

小泉さんは古館伊知郎に似てる、というのが私の結論であります。
彼は「盛り上げる」のが仕事。
でも何かを一からは作らないし決定はしない。
それは彼の仕事じゃない。

せいぜい小泉首相の周りに
素晴らしい人材が集まることを祈るしかないのであります。

100-72:ああ

2005-09-03 | エッセイ
☆シリアス小説100タイトル★第72話:ああ
(第1話は04年7月1日にあります)

ナルミは、男性の容姿・身長・学歴・血液型などには拘らぬ気質で、
ただ一つ、その声色が気に入ると、
その男を好きになってしまうことがよくある。
そんなだからナルミの好みは、
<深みのあるバリトン>とか
<アナウンサーのように通りのいい声>
という単純なものではもちろんなく、
<男にしてはちょっと高めで、掠れず、
 少しくぐもった発音で優しい話し方をする>
というものだ。
ラジオから音楽番組が流れていると、一目惚れならぬ一耳惚れも多い。
長ずるに従い、彼女のその性癖はさらに特化され、
一番耳に心地よく響くのがどの単語なのかまで
選び取れるようになっていった。

犬尾は彼女の友人(男)の友人であったが、
初めて会って声を聞いたときから、ナルミは
この男の声に魅入られることを予感した。
酒の席の雰囲気を壊さぬ程度の集中と沈黙をもって、
彼女は犬尾と友人らの会話を耳にひたすら流し込み、
三十分ほどそれを続けた後には、彼の

「ああ」

という間投詞にもっとも耳が反応することを悟っていた。
犬尾はそれが口癖であるらしく、
「ああ、そのときはね、ああ。
 でも普段はそうじゃないよ。ああっと、ああ・・・・・・
 ああやっぱり上手く表現できないけど」
というように喋り、ナルミはにこにこ話を聞きながら、
内に欲望がごうごうと音を立てて渦巻くのをひしひし感じた。
この声は完璧に近い。
高めで、掠れず、くぐもって、優しい。
高めで、掠れず、くぐもって、優しい・・・・・・

◆◇◇

携帯のMDプレーヤーのヘッドセットを耳に装着する。
家の中でわざわざそうするのは、より耳元で直に聞こえるようにだ。
(ただいま。)
『ああ』
(バイトでいつも厳しいマネジャーに、今日は褒められたよ。)
『ああ』
(お腹空いたね。)
『ああ』
(でも先にこの散らかった部屋片づけないとね。)
『ああ』
(でもやっぱりご飯が先!)
『ああ』
(ほんとに何を言っても同じ答えをするんだね。)
『ああ』
(そりゃそうよね。所詮、あなたは声だけで、
 口だけなら何とでも言えるでしょ、ねえ?)
『ああ・・・・・・』
(でも私はそれでいい。その声で私が肯定されるなら、
 いや、否定されなければそれでいい。)

学生劇団で音響を受け持つ悪友(女)に
「あんたもいい加減、変態だよね」と言われながら、
ファミリーレストランで山ほど奢る代わりに、作らせるディスク。
常備しているICレコーダーで録音した会話から、
雑音を取り除き、
ついでに携帯電話のデータフォルダにも登録させた。
これでいい。これだけでいい。
『ああ』
(電子記録に閉じこめられて、あなたは私の物よ)

ナルミは犬尾、
いやサンプルナンバー:05-5821-162の、
いや、全ての男の、
容姿も身長も学歴も、プレゼントも、電話番号も、
他一切は要らないのだ。
ただ、声だけが、愛しい。



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