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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「地図」について 後編

2024-05-08 23:47:11 | 信州・信濃・長野県

「地図」について 前編より

 『地図中心』(一般財団法人日本地図センター)の最新号である620号(令和6年5月10日発行)の特集は“「小谷村」は「おたりむら」と読む!”である。難読地名というと県内では泰阜村に多いという印象があるが、実は小谷村に最も多いのかもしれない。今回の『地図中心』ではそうした難読地名の地を紹介しており、次のような地名である。

大網
李平
阿原
強清水
土沢
埋橋
神久
藤島
大草連
葛草連
押立
上手村
奉納
下里瀬
虫尾
雨中
𡈽倉
千国
穴ノ当

以上19例のうち、わたしが読めなかったのは強清水、土沢、神久、藤島、押立、穴ノ当の6例だったので、読めている方だ。というか、もともと知っている地名が含まれているため読めたわけだが、答えは上から、おあみ、すももだいら、あわら、こわしょうず、つんざわ、うずはし、かんきゅう、ぶんじま、おおぞうれ、くんぞうれ、おったて、わでむら、ぶのう、くだりせ、むしょう、うちゅう、ひじくら、ちくに、あなんとう、となる。

 さて、『地図中心』の副題にもあるように「小谷」も難読地名だから「おたりむら」とふり仮名をしたタイトルにしている。難読地名のひとつ「葛草連」については、かつて「廃村をゆく人⑥」「廃村をゆく人⑦」で触れた。いわゆる「融通大念仏供養塔」に関して触れたわけであるが、『地図中心』620号ではこの葛草連について次のように説明している。

前出の大草連の上部にあった集落です。昔は10戸の人家がありましたが、役場の援助により一斉に転出し、昭和40年前後に廃村となりました。現在では道は藪に閉ざされ、草連(崩れやすい場所の意)という地名通り、大規模な地すべりによる崩落があるため現地でま赴くことができません。

 小谷温泉の熱湯から等高線に沿って西へ狭い道を進むと葛草連へ続く。以前にも触れたが、葛草連を集落内まで2回、入り口まで2回ほど足を踏み入れている。最初に訪れたのは『小谷民俗誌』(昭和54年)が刊行されて数年後のことだったと思う。当時はまだ家屋が残っていて、記憶では住んでいる方が1軒はあったように思うのだが…。その際には「融通大念仏供養塔」は葛草連の内にまだ祀られていた。「廃村をゆく人⑦」に掲載した碑の写真は現地で撮影したもの。現在は中土の神宮寺に移されている。その後何度か訪れたが、地滑りの工事が盛んに行われていて、当初の光景は消滅していた。

 今回の『地図中心』では長野県内の低標高の地を探っていて、これを読んでわたしも知ったことだが、長野県内で最も標高が低いところは小谷村の大糸線第5下姫川橋梁付近で172.4メートルだという。

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