初めは、ご近所に住む誰かのアラームだと思った。
夜8時くらいから、早朝まで、ピッピッとアラームのような機械音が延々鳴り続けている。
さすがに、迷惑だなと頭に来て、アパート更新の際、不動産に相談した。
そして、この騒音問題の部屋だろうと思われる住居人に苦情を入れてもらった。
だが、騒音の犯人はそこではなかったのである(本当にごめんなさい)。
それで、チラシを近隣に配ることに・・。
30枚をプリントして近隣の家々にぐるりとポスティングしてまわった。
もしかしたらこれで何とかなるかも?と思っていたが、翌晩もそれは聴こえてくる。
相変わらず、夜から朝までの長時間、ピッピッピッとなり続けている。
翌日の夜、弓の稽古から帰ってきたら、その音がしっかり聞こえてくる。
頭に来てたので、リュックを背負ったまま、今夜こそ音の出どころを確かめてやる!!と歩き出した。
耳を澄まして、一歩一歩歩いていくと、なんと堤防の上からだった。
そうか!今、堤防工事中だから、そこの装置の音なのか・・!!
そして、堤防の上に行くと、通行止めの看板があるのだが、実はそこからではなく、
その規則正しい機械音は、多摩川の雑木林から聞こえてくるではないか!!
そういえば、あのあたりも以前工事していて、ダンプやショベルがあったような・・おのれ~~!!
そこで、一度アパートに帰り、懐中電灯を持って、堤防の向こうの雑木林へ入り込んだ!!
そのあたりは、人一人がやっと通れるような小道が迷路のように入り組んでいる。
懐中電灯をつけて、音源を探して、その小道を分け入っていくと、
段々、音が大きく聞こえてくるのではないか!!
ようーーし、いよいよだぞ!!こっちからだ!!
だが、10メートル以内に近づいたと思ったら、その音が急に小さくなり、聞こえなくなった。
「ええっ?まさか、人が近づくと音が消えるセンサーでも付いているのか!?」そう思ったが、
この時点で、ある重大な事に気付いていなかったのである。
一度その場所を離れて、堤防沿いの道から改めて静かになった雑木林を眺める。
そうしたら、また、あの音が聴こえ始めたのだった!!
ピッピッというあまりに規則正しい音なので、100%機械音だと思っていたが、
その音の正体は・・・実は、それは多摩川の「生き物!!」だったのである。
いろいろ調べたが、そんな鳴き声のする鳥は見つからなかった。
もしかしたら、誰かが、飼っていた鳥がうるさくなって多摩川に放したのかもしれない・・。
今夜も鳴いているので、さっきは散歩のついでに、鳴き声のする雑木林に石ころを投げてみた。
すると、その鳴き声が止んで静かになった。間違いなく「生き物」なのだ。
多摩川には、ガマやタヌキや大鷺などいろんな生き物がいるが、
あんな大きな甲高い鳴き声で、しかも一晩中規則正しく鳴いてる生き物なんか知らない。
これを書いてる今だって、そやつは鳴き続けているのだが、
未だに、正体不明の謎の生き物なのである。しかし、一晩中ウルサイ。
正直、夜中、静かに絵を描きたい自分からしたら、迷惑この上ない奴である。
はっきり言って、フン掴まえてどこかに放つか、ブチ殺したいくらいに思っている(笑)
自然の傍で静かに絵を描きたいと思って、家賃のそれなりに高い住居に引っ越したわけだが、
今度は、都会の生活音や騒音ではなく、多摩川の謎の生き物が邪魔をする。
正体は生き物だとは判明したが、まったく困ったものだ。