人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

カール=ハインツ・シュッツ「フルート・リサイタル」を聴く~ブラームスのフルート・ソナタ?

2015年02月05日 07時04分49秒 | 日記

5日(木)。わが家に来てから131日目を迎え、ローリング・ストーンズでノッテるモコタロです 

 

          

                           ペイント イット ブラック! 懐かしか~

           

  閑話休題  

 

昨日の日経・夕刊文化欄に山田和樹「マーラー・ツィクルス第1回」公演が取り上げられていました 山田和樹は3年がかりで日本フィルとマーラーの交響曲を番号順に9曲演奏しますが、すべて武満徹の作品と組み合わせとなっています 1回目は1月24日に渋谷のオーチャードホールで武満徹の「オリオンとプレアデス」とマーラーの「交響曲第1番」が演奏されました。音楽評論家・山浩太郎氏はこの日の演奏について次のように書いています

「(武満の曲は)演奏の抑制が効きすぎて、自然な流れを欠いたように感じた。(マーラーの第1番については)山田は若さにまかせてしまうタイプの音楽家ではないので、ていねいに細やかに、マーラーの青春の音楽を紡ぎ出していった」

私はこのコンサートを聴いていないので何とも言えませんが、もし聴いていたらどんな感想を持っただろうか?昨年、山田+日本フィルの「マーラー・ツィクルス」のチラシを見て、「聴くべきか、聴かざるべきか、それが問題だ」と悩みましたが、どうも食指が動かないのです 大きな理由は彼がまだ若すぎるからではないか、と思います 一言で言えば「あなた、マーラーやるの10年、いや20年早いよ」といった感覚です。極めて個人的な考えですが、マーラーやブルックナーはせめて50歳以上になってから指揮してほしいのです なぜそう思うのかと言えば、マーラーの音楽は人生の縮図であると同時に宇宙を語っているから、ブルックナーの音楽は究極の宗教に達しているからです それだけに、ある程度の人生経験を積んだ人でないと表現できない領域があるように思うからです。もちろん、これには「実力さえあれば、指揮者に年齢は関係ないだろう」という議論は当然あるでしょう。しかし、私にとって理屈ではないのです

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、大手町の日経ホールでカール=ハインツ・シュッツの「フルート・リサイタル」を聴きました これは「日経ミューズサロン」の一環として開かれたものです。プログラムは①ハイドン「フルート・ソナタ」、②ブラームス「フルート・ソナタ第2番」、③プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」、④ブラームス「フルート・ソナタ第1番」。ピアノ伴奏は東京藝大大学院、ウィーン国立音楽大学大学院修了の村田千佳です

 

          

 

シュッツはオーストリアのインスブルック生まれ。シュトゥットガルト・フィル、ウィーン交響楽団の首席フルートを歴任し、2012年からウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フィルの首席ソロ・フルート奏者を務めています

自席はF20番、センターブロック右通路側です。会場は9割方埋まっている感じでしょうか ミューズサロンでウィーンの演奏家が出演するとこういう状態になります

シュッツと黒のシックなステージ衣装の村田千佳が登場します 最初のハイドンの「フルート・ソナタ ハ長調」は弦楽四重奏曲作品74-1を、ライプツィヒでフルート奏者として活躍していたミュラーがフルートのために編曲したものです。編曲にあたりメヌエット楽章を省き3楽章にしています

技巧的にはそれほど複雑とは思えない曲想ですが、それだけに”聴かせる”のは難しいかも知れません しかし、さすがはウィーン・フィルの首席です。黄金のフルートで明るく軽やかにハイドンを演奏します

2曲目はブラームスの「クラリネット・ソナタ第2番」をフルート用に編曲した版による「フルート・ソナタ」です ブラームスはこの曲を自らヴィオラのために編曲しましたが、フルートには編曲していません フルートは音色が明るすぎる、とか、それなりの理由があったのだと思います しかし、実際にシュッツの演奏で聴いてみると何の違和感もありません それは彼が揺るぎない自信を持って演奏しているからだと思います

休憩を挟んで、3曲目はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」組曲です。この日のプログラムはハイドン、ブラームスというドイツ・オーストリア系の音楽が並びます ここで趣向を変えてロシアのプロコフィエフを持ってきたわけですが、プロコフィエフなら名曲「フルート・ソナタ」を選んでも良かったはず しかし、シュッツは目先を変えてバレエ組曲を持ってきてプログラムに多様性を持たせました それは見事に花咲きました。プロコフィエフは全52曲から3種類の組曲を作っていますが、シュッツは全曲の中から10曲ほど選んで演奏しました

速いパッセージの曲では、技巧を凝らしてたたみかける様に演奏し、遅いパッセージでは語りかけるように演奏します この曲は元々フルートで演奏するように作曲されたのではないか、と思われるほどしっくりときます 伴奏の村田千佳はしっかりとシュッツをサポートしていました

最後の曲はブラームスの「クラリネット・ソナタ第1番」をフルート用に編曲した版による「フルート・ソナタ」です クラリネットで聴くこの曲は、クラリネット特有のくぐもった音色を生かした名曲です これをシュッツによりフルートの演奏で聴くと、第2番と同様、違和感を感じません もちろんクラリネットで聴く方がしっくりきますが、フルートも良い演奏で聴くとなかなか説得力があります

会場一杯の拍手に、サン=サーンスの歌劇「アスカニオ」から「アダージョと変奏」を、次いでシューベルトの歌曲集「冬の旅」から「菩提樹」を演奏しクール・ダウンを図りました

 

          

 

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