人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでビゼー「カルメン」を観る~存在感を示したジョルダーノのドン・ホセ,ブレッツのエスカミーリョ,砂川涼子のミカエラ

2017年01月20日 08時03分25秒 | 日記

20日(金).わが家に来てから今日で843日目を迎え,今日トランプ米大統領が就任するのを前に感想を述べるモコタロです

 

          

            ご主人さまは昨夕 トランプ占いが出てくるオペラ「カルメン」を観てきたようだ

 

          

            トランプ占いと言えば  今日アメリカでトランプ大統領が就任するんだったな

 

          

                               トランプ占いでは アメリカはどうなるんだろう? 隔靴掻痒だな ああ痒い!

 

  閑話休題  

 

昨夕,初台の新国立劇場でビゼーの歌劇「カルメン」を観ました キャストは,カルメン=エレーナ・マクシモワ,ドン・ホセ=マッシモ・ジョルダーノ,エスカミーリョ=ガボール・ブレッツ,ミカエラ=砂川涼子,ス二ガ=妻屋秀和,モラレス=星野淳,フラスキータ=日比野幸(鷲尾麻衣の代役)ほか.指揮=イヴ・アベル,管弦楽=東京交響楽団,合唱=新国立劇場合唱団,児童合唱=TOKYO FM 少年合唱団,ダンサー=新国立劇場バレエ団,演出=鵜山仁です 新国立オペラのピットに東京交響楽団が入るのは珍しいことですが,いつもの東京フィルは海外公演の関係で今回は降りたのでしょう

 

          

 

新国立劇場が「カルメン」を取り上げるのは今回で7回目ですが,鵜山仁の演出では2007年,2010年,2014年に次いで4回目です 前回=2014年のケモクリーゼの歌うカルメンが良かったので,今回マクシモワのカルメンはどうかな,と楽しみにして出かけました

カナダ・トロント出身のイヴ・アベルは新国立オペラではすっかりお馴染みの指揮者です 11年「蝶々夫人」,13年「コジ・ファン・トゥッテ」,15年「椿姫」,同年「ファルスタッフ」に次いで今回が5回目です 満場の拍手の中,オーケストラ・ピットに現れた彼は,会場に向かって一礼したかと思うと,振り向きざまにタクトを下ろし 勇ましい「前奏曲」に入ります.演奏は軽快そのものと言ってよいでしょう

第1幕の冒頭で,タバコ工場の女工たちが昼休みになって外に出てくるシーンがありますが,女工たちは手に手にタバコを持っています 今まで3回の公演ではスルーしていましたが,「タバコ工場の女工だからと言って,皆が皆タバコを持って出てくるのだろうか?」と疑問に思いました.この演出では 返ってリアルさが無いように思いました

さて,問題のカルメンです.ロシア出身のエレーナ・マクシモワは新国立オペラの「ウェルテル」でシャルロットを歌ったメゾソプラノですが,歌は抜群に上手く演技も上々なのですが,私のイメージするカルメンとはかけ離れていました 私のカルメン像は,一昔前で言えばアグネス・バルツァ,今ではエリーナ・ガランチャのような動物的,あるいは野性的な魅力を備えた一見”危ない”女性です それから比べると,マクシモワのカルメンはロシアの上流階級のカルメンといった感じで上品過ぎます 彼女の場合はミカエラに近いシャルロットの方が合っているような気がします しかし,誤解のないように繰り返しますが,「ハバネラ」も「セギディーリャ」も「ジプシーの歌」も,歌は抜群に上手いのです こればかりは個人の好みの問題かも知れません

ドン・ホセを歌ったマッシモ・ジョルダーノはイタリア出身のテノールですが,新国立オペラでは2002年の「椿姫」でアルフレードを歌っています 第1幕でミカエラと歌う二重唱は抒情的で,ビゼーは何と美しい音楽を書いたのだろうと,あらためて感心させられました また,第2幕でカルメンを想って歌う「花の歌」は真に迫っていました この人は歌はもちろん,演技力も優れていると思いました

エスカミーリョを歌ったガボール・ブレッツはハンガリー・ブタペスト出身のバリトンですが,最初に登場した時から”華”があり,態度も堂々としており いかにも”花形闘牛士”といった雰囲気を持った人で,魅力のあるバリトンが強く印象に残りました

 

          

 

ミカエラを歌った砂川涼子は,新国立オペラの「カルメン」では2002年(今から15年前)にミカエラを歌って以来ですが,この役柄は彼女に合っていると思いました 第1幕でホセと歌う二重唱はもちろんのこと,第3幕でホセに会うために山にやってきて歌う「アリア」はフランス・オペラの美しさをあらためて認識させてくれました この曲でも,ビゼーは良い曲を作っているんだなあ,とつくづく思いました

さて,ここで思うのは,この「カルメン」というオペラにミカエラが居なかったらどんなオペラになっていただろうか,ということです このオペラは「自由奔放なカルメン+エスカミーリョ」 対 「真面目で純真なミカエラ+ドン・ホセ」という構図があると思います 純真なミカエラが居るからこそカルメンの奔放さが際立つのだと思います.もしこの対立軸がなかったら,特にミカエラが居なかったら「カルメン」は今ほど人々に受け入れられなかったのではないかと思います

最後に歌手陣を支えたイヴ・アベル+東京交響楽団の演奏に拍手を送ります 勇ましい「前奏曲」をはじめ,第2幕を前にした「間奏曲」,第3幕への「間奏曲」,第3幕第2場を前にした「間奏曲」など,歌手陣に負けずに これから起こるであろうことを暗示しながらオケがしっかり歌っていました

18時半に始まった公演でしたが,カーテンコールを終えて会場を後にしたのは22時15分を過ぎていました

 

          

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2 コメント

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オペラ『カルメン』 (dezire)
2017-02-02 14:48:21
こんにちは、
私もオペラ『カルメン』を見てきましたので、詳しい鑑賞レポートを読ませていただき、『カルメン』の舞台の感動が甦って来ました。オペラ『カルメン』は、「ハバネラ」、「闘牛士の歌」、ミカエラのアリア「何が出ても恐くない」を始め魅力あるアリアがたくさんあり、スペイン的な異国情緒あふれる音楽や舞台の雰囲気が素敵でした。

私はオペラ『カルメン』の舞台を観て、このオペラの音楽的な魅力と登場する人物像も含めてにレポートしてみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。
オペラの魅力 (tora)
2017-02-02 16:19:34
dezireさん,コメントありがとうございました.
何だかんだ言ってもカルメンは名作だと思います.
dezireさんの写真が豊富な立派なブログは拝見しております.
これからもよろしくお願い致します

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