人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「秋山和慶のスポーツと音楽」公演を聴く~サティ「スポーツと気晴らし」,マルティヌー「ハーフ・タイム」,オネゲル「ラグビー」ほか~東響オペラシティシリーズ第101回定期演奏会

2017年11月26日 07時55分50秒 | 日記

26日(日).わが家に来てから今日で1152日目を迎え,イメージ悪化で集客難航という理由で トランプ米大統領の名前を冠したホテルやマンションから「トランプ」の文字を外す動きが広がっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これほど国の内外から嫌われた大統領も珍しいね それでも支持率は下がらない!

 

                                           

 

昨日,初台の東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティシリーズ第101回演奏会「秋山和慶の『スポーツと音楽』」を聴きました ホールロビーでは恒例の 假屋崎省吾氏製作によるクリスマスツリーがお出迎えです

 

     

 

コンサートのプログラムは①ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲,②シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,③オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲,④サティ「スポーツと気晴らし」,⑤マルティヌー「ハーフ・タイム」,⑥オネゲル:交響的運動第2番「ラグビー」です  ②のヴァイオリン独奏は佐藤玲果,指揮は秋山和慶です

 

     

 

オケはいつもの編成で,ヴァイオリン・セクションが左サイドに固まります.コンマスは今や東響の顔となった水谷晃です

1曲目はロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲です このオペラはロッシーニが1829年に作曲した最後の歌劇で,1307年オーストリアの圧政下にあったスイスの独立運動を巡り,ウィリアム・テルや仲間たちの奮闘を描いたものです 序曲は「プレリュード」「嵐」「静寂」「フィナーレ:スイス軍の行進」の4部から成ります

ロマンス・グレイの秋山和慶氏が登場,さっそく演奏に入ります.冒頭,チェロの独奏から入りますが,首席の伊藤文嗣氏の演奏が素晴らしく,少し遅れて加わった川井真由美さんとのコンビネーションがまた素晴らしかった 「スイス軍の行進」は金管楽器の勇ましいファンファーレで開始され,勝利のうちに曲が閉じられます

2曲目はシベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」です この曲はシベリウス(1865-1957)が1903から1904年にかけて作曲した唯一のヴァイオリン協奏曲です シベリウスはヘルシンキ音楽院時代にヴァイオリンを専攻していたこともあり,ヴァイオリンの演奏効果を知り尽くした技巧的でシンフォニックな曲想が特徴です 第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アダージョ・ディ・モルト」,第3楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏は,ミューザ・ソリストオーディション合格者で東京藝大付属音楽高校3年在学中の佐藤玲果さんです 水色の鮮やかな衣装の佐藤さんが登場するとステージが一気に華やかになります 秋山氏のタクトで演奏が開始されます.第3楽章冒頭をはじめ,引っかかりを感じた部分も何カ所かありましたが,全体的には慎重な演奏で,聴かせどころはきちんと歌わせていました まだまだこれからです.頑張って欲しいと思います


     


プログラム後半の1曲目はオッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲です この曲はジャック・オッフェンバック(1819-1880)が1858年に作曲したオペレッタ(喜歌劇)の序曲,分かり易く言うと,「カステラ1番,電話は2番」で有名なあの曲ですが,滅多に聴く機会がありません 正式には「地獄のオルフェ」という題名で,当時人気のあったギリシア神話「オルフェウスとエウリディーチェ」の物語を題材としています

曲の前半は穏やかな曲想の音楽ですが,中盤からガラッと変わりお祭り騒ぎになります 冒頭,吉野亜希菜さんのクラリネット・ソロ,次いで荒木奏美さんのオーボエ・ソロが印象的なフレーズを奏でますが,これが素晴らしい 次いで,伊藤文嗣氏のチェロのソロがまたまた素晴らしい.極めつけはコンマス・水谷晃氏による流麗なソロです

中盤の「フレンチ・カンカン・ミュージック」に入ってからは,管楽器も弦楽器も打楽器も「イケイケ・ドンドン」で,会場はパリの「にわかムーランルージュ」に変貌しました

後半2曲目はサティ「スポーツと気晴らし」です エリック・サティ(1866-1925)の作品には変わったタイトルの音楽が多いことで知られています この作品は,装飾画家シャルル・マルタンの20枚の絵に添えられたピアノ小曲集で,序曲を入れて全21曲から成りますが,サティの死後,トーマス・ケネディが14曲を抜粋し,順番を入れ替えてオーケストラ用に編曲しました

演奏されるのは順番に①序(食欲をそそらないコラール) ②狩り ③カーニバル ④ゴルフ ⑤競馬 ⑥海水浴 ⑦イタリア喜劇 ⑧目隠し鬼 ⑨ヨット遊び ⑩ウォーター・シュート ⑪タンゴ ⑫いちゃつき ⑬魚釣り ⑭ピクニックです ほとんど1曲が1分にも満たない短さです

曲を聴く限り,題名からは想像できない音楽ばかりです 14曲をシャッフルして,もう一度聴いて曲名を当てるというクイズがあったら,当たるのは「タンゴ」ぐらいなものでしょう 面白かったのは,4番目に演奏した「ゴルフ」です.打楽器奏者がステージ左後方で,ゴルフクラブに見立てた長い棒を持ってスウィングし,どうやら池ポチャでもやったらしく 曲の終わりに棒を真っ二つに折って悔しがるというパフォーマンスを見せ,笑いを誘いました 人をおちょくったようなサティの音楽に相応しい演出でした

次はマルティヌー「ハーフ・タイム」です この曲はサッカー・ファンだったチェコの作曲家ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959)が1924年に作曲した作品です サッカーのハーフ・タイム中の観衆の喧騒やサッカー選手の身体の動き,陣形の美しさなどを表現しようとしたものと言われています

管弦楽総動員のこの曲を聴く限り,当時パリの気鋭の作曲家・ストラヴィンスキーの影響をもろに受けています  三大バレエの「ペトルーシュカ」や「春の祭典」によく似たリズム,和音がそこかしこに現れます  その意味では賑やかで面白い曲でしたが,「ハーフ・タイム」はどこへ,といった感じがしないでもありませんでした

最後の曲はオネゲルの「交響的運動第2番『ラグビー』」です  この曲はアルテュール・オネゲル(1892-1955)が1928年に作曲した作品です オネゲルというと機関車をテーマにした「パシフィック2.3.1」を思い起こしますが,これは「交響的運動第1番『パシフィック2.3.1』」で,その第2番が『ラグビー』なのです しかし,この曲はラグビーの試合の様子を描いたものではなく,楕円形ボールの描く予想外の軌跡や,プレイヤーたちのぶつかり合う力や活気などに着目し,その動きを音楽で表現しようとしたものだと言われています

そういう風に解説に書かれてあっても,聴いている限り「ラグビー」を思い起こすことが出来ません 聴く側はどうしても標題に囚われて「ラグビー」の観戦を思い描いてしまうからでしょう いずれにしても,金管楽器炸裂の賑やかな作品でした

アンコールは「ただいまから,紅白玉入れを始めます 紅組も白組も用意はいいですかぁ~」のアナウンスとともに運動会で流される曲としてお馴染みのカバレフスキーの組曲「道化師」から「ギャロップ」でした

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