人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット+藤村実穂子+天羽明惠+東響コーラス+東京交響楽団でマーラー「交響曲第2番ハ短調”復活”」他を聴く~東響第652回定期演奏会 / 東響へ「休憩」表記で要望を送付

2017年07月17日 08時09分29秒 | 日記

17日(月).うだるような暑さが続いていましたが,今朝 東京は小雨が降っていて少し涼しいです   東京にとっては恵みの雨といったところでしょうか

昨日,千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君から大量の海産物が届きました   毎年送ってくれるのですが,今回は発泡スチロールの箱が2段になっています.蓋を開けてみるとアジ10尾をはじめカレイ,カマス,カワハギ,イカ,サバが合計23尾も入っていました.あまりの多さにビックリしました   早速冷凍庫の中を整理して収容しましたが,これで数か月は魚類は買わずに済みそうです   S君ありがとう   持つべきものは友だちです

 

     

 

ということで,わが家に来てから今日で1020日目を迎え,日本,中国などが参加する北太平洋漁業委員会の年次総会で,サンマの乱獲防止に向けて日本が提案した国別漁獲枠の創設で合意できなかったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       要するに食の大国・中国が巨大な胃袋を満たすために乱獲しているのが背景らしい

 

                                           

 

15日(土)は午後2時からの新日本フィル定期演奏会に次いで,午後6時からミューザ川崎で東京交響楽団の第652回定期演奏会を聴きました   プログラムは①細川俊夫「嘆き~メゾ・ソプラノとオーケストラのための」,②マーラー「交響曲第2番ハ短調”復活”」です   出演は,メゾ・ソプラノ=藤村実穂子,ソプラノ=天羽明惠,合唱=東響コーラス,指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

 

今回でミューザ川崎の2階CB2列22番の指定席ともお別れです.8月末にはサントリーホールの改修工事が終了するので,9月以降はサントリーホールに戻ります

オケの面々がスタンバイします.オケは左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置,ノット・シフトをとります   コンマスはグレブ・二キティンです.オーボエは珍しく荒絵理子,荒木奏美のアラアラ・コンビがスタンバイしています   考えてみたら,2曲目のマーラーが4管編成なのでこの日の管楽器群は全員集合状態なのです

1曲目は細川俊夫「嘆き~メゾ・ソプラノとオーケストラのための(ゲオルク・トラ―クルの詩による)」です   この曲は「2011年3月11日の東日本大震災の津波での犠牲者,特に子供を失った母親たちに捧げられる哀悼歌」で,ザルツブルク音楽祭の委嘱により作曲されました   詩のテキストはザルツブルク出身の詩人ゲオルク・トラ―クル(27歳で自死)のもので,今回演奏されるメゾ・ソプラノのための改訂版は藤村実穂子のために新たに書き下ろされたものとのことです

ローズレッドの衣装を身に着けた藤村実穂子がノットとともに登場します   コントラバスによる重いピッツィカートにより曲が始まります.そして,最初は朗読で,次いで歌唱で,救いようのない悲しみや慟哭を宿した「手紙」と「嘆き」が歌われます

緊張感あふれるノットに指揮で歌われる藤村実穂子の歌は,ドイツ語にも関わらず切々と心に響いてきます   何と表現力豊かな人でしょうか   さすがはバイロイト音楽祭で主役級の役柄も歌った実績のある歌手だと納得します

演奏後,藤村実穂子に促され,会場2階センターブロックの座席にいた作曲者・細川俊夫氏が立ち上がり,オケの面々と聴衆から大きな拍手を受けました

 

     

 

休憩後はマーラー「交響曲第2番ハ短調”復活”」です   オケが拡大します.2階席からステージを見下ろすと,フル・オーケストラは壮観です 

この曲は,第1楽章「アレグロ・マエストーソ」,第2楽章「アンダンテ・モデラート」,第3楽章「穏やかに流れるような動きで」,第4楽章(おおもとの光)「非常に荘重に,しかし素朴に」,第5楽章「スケルツォのテンポで」の5つの楽章から成ります   第1楽章となる「葬礼」と第2楽章は1888年,第3楽章となる「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」は1893年8月,第4楽章となる「おおもとの光」は同年7月に完成,全曲は1894年12月18日に完成しています

ノットのタクトで第1楽章が,緊張感あふれる音楽で開始されます   マーラーの指定した「終始厳粛かつ荘重な表現で」をなぞったかのような重心の低い力強い音楽が展開します

この曲で問題になるのは,どのタイミングでソリストと合唱団を配置に着かせるかです   私が聴いてきた多くの公演では第3楽章が終わった直後が多かったと思います.第4楽章でメゾ・ソプラノが歌うので,その直前に合唱団も含めて舞台に上げようという考えです   この日のノットは,「第1楽章が終わった直後」を選択しました.ソプラノの天羽明惠,メゾ・ソプラノの藤村実穂子がステージ右のヴィオラの後方に,東響コーラスが2階正面P席にスタンバイします

マーラーは,第1楽章のあと「少なくとも5分の休憩を入れるように」と指定しています   彼は第1楽章と第2楽章以降との間に深い対立があると考えたようです

この事実を考慮すると,ノットの考えはマーラーの指示に従ったものと言えます.ただし,歌手陣と合唱団の入場は,長く感じましたが,結局3分でした

第2楽章では,マーラーの「非常にゆっくりと!決して急がずに!」という指示通りの演奏が展開します   弦楽セクションの演奏はソフトです   間を置かずに入った第3楽章では,歌詞を伴わない「聖アントニウス」のメロディーが管楽器を中心に軽快に演奏されます.ここではホルン・セクションのベルアップ奏法が見られました

間を置かずに第4楽章に入り,藤村実穂子が「おおもとに光」を深みのある美しい声で歌います   そして,いきなり激しい総奏で第5楽章に入ります   つまり,ノットは第2楽章から第5楽章まで,間を空けることなく一つの大きな流れと捉えて演奏したことになります

第5楽章では,舞台裏のバンダ(小編成オケ=ホルン4,トランペット4,ティンパニ,トライアングル,シンバル,大太鼓)とステージ上のフルートやピッコロ等との会話が聴きどころになりますが,最初,バンダのホルンがどこで鳴っているのか分かりませんでした   会場右サイドから聴こえてくることは分かりましたが   しばらくすると,バンダの音が大きくなったので右サイドを見ると,2階席の右側の扉が開けられていてホルン奏者の姿が見えました   後ろ向きのノットにはバンダは見えないので,おそらくバンダ側にモニター画面があり,ノットの指揮を映し出した画面を見ながら副指揮者がバンダを指揮していたのだと思います   それにしても,ミューザの場合どこに指揮者を撮影するカメラが設定されているのか,いつも疑問に思っています.たぶんパイプオルガン近くなのではないかと勝手に想像していますが

この楽章では,中盤で打楽器が弱音から最強音までクレッシェンドして爆発する場面がありますが,ノットの指示は,会場の床が抜けるのではないか,と思うほどの大音響で,2階席まで重低音がビシビシ伝わってきました   終盤ではステージを離れていたバンダの面々が席に戻りましたが,ホルン横一列10人態勢は壮観です

プログラム冊子に掲載の山本まり子さんの「プログラム・ノート」によると,今回の演奏はノットの指示により,国際グスタフ・マーラー協会による新全集版(2010年)が使われているとのことです   これは実業家でマーラーの「復活」の研究者でもあるギルバート・キャプランが編纂した楽譜で,マーラーが実際に指揮に用い,書き込みを加えた個人用スコアを採用しているのが特徴だそうです   ただし,音楽上の大きな付加や削除はなく,小節数は従前と変わらないとのことです

「小節数が変わらない」ということを前提に,今回の演奏を,私の愛聴盤であるオットー・クレンペラー指揮バイエルン放送交響楽団によるCD(1965年録音)と比べてみると,次のようになります.(  )内はクレンペラー版.

第1楽章:21分(20分),第2楽章:11分(11分),第3楽章:10分(12分),第4楽章:6分(4分),第5楽章:35分(32分),合計:83分(79分).

これから分かるのは,ノットの方が第4,第5楽章により多くの時間を費やしている(ゆったりしたテンポで演奏している)ということです   ノットの指揮の特徴は,畳みかけるところは圧倒的なスピードで駆け抜け,歌わせるところはたっぷり歌わせるというメリハリの利いた指揮ぶりだと思います

 

     

 

振り返ってみると,この日の演奏は,マーラーの交響曲に寄せるノットの熱い思いがオーケストラの一人一人,二人のソリスト,東響コーラスの全メンバーに乗り移ったような熱気溢れる渾身の演奏でした   何度も繰り返されるカーテンコールにニコニコ顔で応えるノットの表情が印象的でした

 

                                           

 

以前このブログでも書きましたが,東京交響楽団のプログラム冊子「Symphony」には「休憩」の表記がありません   N響も,読響も,新日本フィルも,プログラム冊子にはプログラムの前半と後半の間に「休憩」あるいは「休憩20分」というような表記があります   この点について昨日,東京交響楽団あてに手紙を出しました(どこにも東響のメルアドが明記されていないので).内容は,他のオケのプログラム冊子には書かれているのに なぜ東響だけが「休憩」の表記がないのか,トイレの都合もあるので演奏曲数に限らず「休憩」は表記して欲しい,というものです   私の本名と現住所,メルアドを明示して新宿区の公益財団法人東京交響楽団あてに送付しました   どのような反応があるのか楽しみに待ちたいと思います   東響から何らかの反応があり次第このブログでご紹介します

 

     

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