「3Great American Voices」 初日の大阪公演。
さてさて、感動的なキャロル・キングの後は、今、ノリに乗っているファーギー。HIPHOPグループ「BLACK EYED PEAS」の紅一点ヴォーカル、ソロ名義で大ヒットした「ロンドン・ブリッジ」・・ぐらいの予備知識しかなく、今回の3人の中で、個人的にはほとんどノーマークでした。
いきなり10人ほどのダンサーを従えて、ド派手に登場。スピーカーからの重低音が、客席までビリビリ伝わる。先ほどまでの雰囲気から一変、まるでクラブイベントのような場内。やはり耐えられないのか、キャロル・キングのファンと思われる中高年のお客さんは、立ち去って行く人も・・。
ライヴのほうは、一曲目から大盛り上がり。今回が世界初の単独ライヴとのことですが、そうは思えないほどの存在感で、客席を引っ張っていく。それに、ダンスも歌も相当上手い。バラードの曲では、個人的には高音が少し耳ざわりな所もありましたが、かなりの熱唱でした。勝手にHIPHOPのイメージを持っていたので、こんな言い方は失礼ですが、思ったより歌が上手くて驚きました。
それにしても、一番感心したのは、彼女のプロ魂。小一時間のステージで、2回も衣装変えしたり、ある曲では、マイクを持って歌いながら、片手で倒立前転を4回も!ジャニーズもビックリです(笑) 勿論、今回のメンバーの中で一番の若手、初めてのソロ・パフォーマンス、ということで、かなり気合いは入っていたと思いますが、お客さんを楽しませようという、その徹底したサービス精神には脱帽です。とにかく、パワフルで勢いのある、楽しいステージでした。
そして、トリに現れたメアリー・J・ブライジ。圧倒的な存在感と貫禄、抜群の安定感。まさに「女王」という感じ。でも実は、私より1歳上なだけなんですよ。意外と若くてビックリですが、何でしょう、この違い・・(笑)
聴く人の心を捉える、有無を言わせない彼女の歌の力は、体感して、改めて素晴らしいと思いましたが、その彼女を支えるバックバンドの演奏が、またカッコいい。個人的に気になる、ということもありますが、特にドラムがカッコ良かったです。ほとんどが打ち込みで作られている曲を、そのまま再現しているようなタイトさも持ちつつ、グルーヴとかノリがガッチリあって、当たり前ですが、さすが世界のトップだなぁと思いました。
一番印象的だったのは、U2のカヴァー曲「One」。“世界は一つ”というメッセージを込めて歌われたのですが、個人的に聴きたかった曲でもあり、ボブ・マーリーの「One Love」を思い出したり・・いろんな思いがあって、心に残りました。
短い時間ではあったけれど、3人それぞれの魅力を、十分に堪能した後、いよいよ待ちに待ったアンコール。期待通り、メアリー・J・ブライジの紹介で、全員がステージへ。しかもファーギーは、また違う衣装で登場。スゴい。
選曲にも興味がありましたが、まず最初はマーサ&バンデラス「Dancin' in the street」。この曲はまた意外でした。ツアー初日ということもあり、床に歌詞カードを並べて、3人ともまだ不慣れな感じで歌っているのが、何だか微笑ましかったです。
そして最後は、私も大好きなキャロル・キングの曲「(You make me feel like) A natural woman」。彼女のステージで、この曲は歌わなかったので、エンディングはこれだろうと楽しみにしていました。キャロル・キングもファーギーも、かなりソウルフルに歌っていましたが、元々アレサ・フランクリンに書いた曲ということもあって、やっぱりメアリー・J・ブライジが圧巻でした。でも、この3人での熱唱は、本当に感動的な終演でした。
初めにも書きましたが、ライヴを観るまでは、何だか異色の取り合わせだと思っていましたが、実際にライヴを観て、特にアンコールで3人が一緒に歌っている姿には、違和感など全然無く、先駆者から今の若い世代へと受け継がれている、何か相通じるものを私は感じました。と同時に、それは幅広い音楽性を持ち、今なお現役であり続ける、キャロル・キングの偉大さでもある、ということを改めて実感しました。
おそらく、もう二度と見る事の出来ない、まさに夢の競演。感無量でした。
3Great American Voices http://www.hipjpn.co.jp/pc/04_art/236.html