建築士伊藤の防災教育・耐震診断・耐震補強実績ブログ
建築士伊藤の耐震ファイルBlog
お彼岸
生前大変お世話になった方がいる。
その方のお墓参りを先日ようやく行うことができた。
その方は焼津市の職員で、大井川町役場時代に特にお世話になった。
私が地元小学校で耐震の授業を実施できたのは、この方の尽力によるものが大きい。
職務に対して真面目で誠実な方だった。
その性格ゆえにご苦労も多々あったのではないか、そう思えてならない。
定年退職後、しばらく後に亡くなられたと知り、私は驚きを禁じ得なかった。
正直にいえば、事実を受け入れることができなかった。
ただ、ようやく自分もきちんとお墓参りしなければという気持ちの整理がつき、お彼岸にお墓参りできたことは良かったと思う。
私の友人が牧之原で住職を務めているが、彼がよく言っていた。
亡くなったことを思い出すことや当時のことを話すということは、何よりの供養であると。
昔はそういうことについて、何も思わなかった。
でも子供を授かり、若いころにお世話になった方々との別れを体験し、人生も折り返しともなると友人が何を言わんとしているのかが分かりかけてきた。
今はコロナでなかなか人が集まれない状況ではあるが、お彼岸は毎年やってくる。
生前お世話になった方への感謝やその方から得たものを活かせているのかどうかを考えることは一人でもできる。
当時のことを思い出すことも決して悪いことではない。
亡くなった方のことを誰か一人でも覚えていれば、生きていることになりはしないだろうかと思うときもある。
最近思うこと
私も45歳、もうすぐ46歳になる。
今の自分は、それほど嫌いではない。むしろ好きである。
そう思うことができるのは、様々な方々との縁のおかげである。
特に妻と子供の功績が大きい。
年齢を重ねると、自分自身の性格や考え方は、これまでにどのような人と関わってきたかで大きく変わるということを理解する。
私の場合、両親の影響が特に大きい。(これはここで何度も書いているが、大事なことなので何度でも書く。)
仕事への姿勢は父から多く学び、経営の姿勢は母から多く学んだ。
どちらかと言えば親の背をみて学んだという表現が正しいが、今にして思えば両親は意図してその背中を見せやすいようにしてくれたのではないかと思う。
その両親という土台の上に今までの人生で出会った方々から頂いたものが乗って私という人間が成り立っているというイメージがある。
代表取締役になって、社寺の仕事が増えたが、そこで出会ったご住職様達からの影響も大きい。
これは本当に私にとって得難いご縁であったと思う。
感謝の気持ちを忘れたことはない。
マルワは、社寺を専門とした工務店ではない。
ただ、これまでに社寺の仕事を小なりとも頂くことができた。
正直、境内地(お寺様の敷地)に建築業者として足を踏み入れ、工事を行うということは、それ相応の覚悟が必要だと思っている。
それと、ご住職様や檀家様がどう考えになっているのか、それは直接言葉として頂くこともあるが、こちらが察して対応したり、提案しなければならないことも多い。
なにより、お客様とはご住職とすべての檀家様を指すということを忘れてはならない。
これは関係業者にも口酸っぱく言っている。
だから檀家様にもきちんと挨拶するのは当たり前だし、感謝の気持ちをもって接するのは当然のことなのだ。
とはいえ、人間というのは馴れてしまうと怠惰となる可能性が高い。
初心を忘れ、仕事を頂くことが当たり前と思うようになる危険性がある。
私自身は、それを防ぐために毎回ご本尊様へ手を合わせるようにしている。
この毎回自分が決めたルールを守ることが、自分が間違った道へ進むのを防ぐような気がする。
関係業者にも工事の内容を指示するだけでなく、どうして今回の工事を行うことになったのかということも丁寧に伝えるようにしている。
これは工事の背景をきちんと伝え、なるべく私と同じ気持ちで工事の臨んで欲しいという気持ちがあるからだ。
それに相手に説明することで、私自身も初心に戻ることができる。
他にも重要な点がある。
例えば、他者に厳しく身内に甘いのでは話にならない。
マルワの人間であっても境内地内での立ち振る舞いにおかしい点があれば厳しく指摘している。
ただ、私を厳しくチェックしてくれる人は限られるため、日々の過ごし方にルールを設けたり、親しい友人になるべく相談するといった防止策を講じる必要がある。
経営者というのはこのあたりが難しい感じる点といえなくもない。
今もありがたいことにいろいろな難しい仕事を信頼して依頼してくださる方が多い。
その期待に応えられていないのではないかという葛藤はあるけれど、それでもこれまで積み重ねてきたものに対して自信をもってしっかりと一つ一つ丁寧に仕事ができればと思う。
そして、いろいろな方々が私のことを思って投げかけてくれる言葉を受け止められる心をいつも持ち合わせていたいと願う。
このブログを書く時間的余裕がなくなりつつあるが、このブログを熱心に読んで頂いている方が関係業者に割と多いと最近になって知った。
ありがたいことであるし、マルワという会社の姿勢に少しでも共感して頂けるのであれば、共存できるよう共に頑張ってもらいたいと願う。
自他共存は高校時代、柔道で学んだ考え方ではあるが、私の根底にある考え方のひとつ。
今の時代は、なかなか自他共栄が難しいのかもしれないが、それ故にその理想は大事にしたいと思っている。