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文化財 

久しぶりに文化財関係の仕事に関わることになった。
焼津市の伝建地区である「花沢の里」内にある法華寺修理工事以来だろうか。

一時期、思うことがあり文化財関係の仕事やまちづくり事業といったものに距離をおくことにした。
市役所と関わるのも苦手になった。
(原因は花沢の里ではない別の件だが、今となってはそれはどうでもよい話なので省略したい。)

その後、いろいろな仕事を手がけていく内にそういった意識も減った。
世の中にはいろいろなことがあるし、公務員と呼ばれる人たちにもいろいろな事情があるといったことも素直に受け入れられるようになったからだ。

ようするに「人は人、自分は自分」と素直に割り切って考えられるようになったのだろう。

時間の経過とともに紆余曲折を経て担当することになった法華寺修理工事の報告書も作業も再開できる心境になった。
そのような時期に山梨県のお寺(建造物)を有形文化財に登録したいので手伝ってもらいたいという相談を頂いた。
相談を頂いたとき、素直にうれしかった。
これが4年前とかだったらとてもそういう気持ちにならなかった。

相談して下さった方も気さくで男気のある方だったので、この方の相談を断るわけにはいかないと思った。

山梨のお寺様の住職とも会い、地元の町役場担当とも話を重ねる内に大体この先がどうなるのかもおぼろげにみえてきたりもした。
それもそれもこれまでの経験があればこそである。

有形文化財として登録するにあたり、ネックになる部分も早い段階から分かっていた。
自分で何でも抱えてしまっても仕事が停滞すれば意味がない。
頼りになる方に相談し、ネックになる部分も割と早い段階で解決策を用意することもできた。
私自身も多くの人の助けによって成り立っている。

時というものが解決することは確かにある。
その時は絶望で人間不信や自信喪失に陥ったとしても自分を見失わないで愚直でも真面目に生きていれば時間の経過ともに自分自身も世の中も変わる。
腐らずに頑張ることの大事さを今噛みしめている。
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構造用合板の厚み 現場写真のこと

構造用合板による補強の場合、使用する合板の厚みは12㎜を採用している。
K+BUILD 秋田杉針葉樹構造用合板というもの。

構造用合板は材種がカラマツやヒノキのものもある。
基本的に耐震補強で使用する場合、その性能値に大きな差はない。

厚みも別に12㎜である必要もなく、9㎜を使用している会社もあるらしい。
個人的には、釘がどうしてもめり込むため、12㎜でないと怖くて採用できない。
このあたりも設計者判断による。

正しく構造用合板で補強するためには、いろいろ気をつけるべき点は多い。
大切なのは、計画した設計者がきちんと現場で作業している人に注意できるかどうか。

実はこのあたりが一番大事なのではないかと思う。
そもそも現在の耐震補強への補助金は信じられないほど高額である。
なんと100万、高齢者等世帯なら120万である。2割負担とはいえ破格なのは間違いない。

補助を得るためには補助の条件を満たす必要があり、以前のように不誠実な会社が不正な工事をして、過去の補強工事を洗いざらい再チェックという事態になった際でも動じないくらいきちんとした施工と記録を残す必要がある。

作業で忙しかったから写真を撮影し忘れたなど、本来は通用しないのだ。
また、そういう事態も想定して、補強が認められない箇所があっても十分に評点が1.0以上となる余裕のある計画が望ましい。
写真だけでは伝わらない点もある。
最初に書いた釘のめり込みなどが該当する。釘めり込みすぎていませんか、という一言も大事。

最近はスマホやラインで確認が迅速となった。
昔はデジカメの写真をパソコンで取り込んだら写真が不鮮明だったり、角度が悪かったり、うっかり撮影し忘れて慌てたこともある。
今は、現場作業している弟がスマホですぐに写真が提出され、何かおかしい点があれば即電話して指摘したり、撮影しなおしができるようになった。
ただ、一番大きな点はスマホではなく、意識改革のおかげだと思っている。

口酸っぱく、写真について説明し、市から指摘や指導を受けたら現場にもこの写真について指摘を受けたということを伝え続けた。
写真をきちんと撮影しなければ、補助がもらえないと少々大げさだが脅したこともある。(でも嘘ではない)

きちんと正しく、素晴らしい仕事をするからには、それを記録することも忘れてはならない。
審査する側である焼津市の担当が、マルワさんの提出する資料は審査しやすいと思ってもらえるのが一番の評価だろう。
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耐震補強に対する姿勢

現在の耐震診断では、柱頭柱脚部金物の有無が評点にかなり影響を与える。
構造用合板や筋かいでいくら補強しても本来の耐力をかなり低減されてしまうからだ。
元々鉄筋が入っていないコンクリート基礎に対して強力な金物を設置することに対しても疑問がある。

私が手掛ける耐震補強の場合、柱頭柱脚部への補強はタナカ社のコンパクトコーナーが多い。
耐震診断ではⅡに該当するため、補強した壁の耐力は少し低減されてしまうが、ビスの長さや金物サイズを考えるとこれが使いやすい。

筋かい金物については、昔は厚み3㎝を採用することが多かったため、今の新築で使う筋かい金物は使えない。(今は4.5㎝厚の筋かいだから)
ただ、最近は3㎝厚用の筋かい金物も登場しているため、古い既存の筋かいに対しても金物を取付けられるようになった。

もちろん、貫穴があったり等で取付が出来ない場合もある。
この場合は、補強後の耐震診断結果には反映されない(筋かい金物無し扱いとなる)が受け材等を使って何とか金物を取付けている。

前回説明した制震テープについては、思いのほか手ごたえを感じている。
あまり工期に影響を与えないし、軒高がある建物には特に有効ではないかと思う。



制震テープを貼った状態



制震テープ後に構造用合板による補強を行う。

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耐震補強の場合、工事中に何度か計画変更を行うことも多い。
工事後にいろいろ分かることも多く、予定通り進むことの方が少ないと思った方が良い。

補助金の条件である耐震評点1.0以上を目指すことは当然としてもそれプラスどうしたらより効果の高い補強ができるのかという点を常に意識して取り組むことが大事だと思っている。
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耐震補強 ひと手間の重要性

明日から焼津市内の住宅への耐震補強を行う。
主に構造用合板による補強を行う計画だが、構造用合板による補強前に「制震テープ」を使用することにした。

アイディールブレーン「制震テープ」
https://ibrain.jp/tape_main.html

これまで様々な耐震製品を使用したが、どれも高額であり、耐震補強以外使用できないものが多かった。
結局のところなるべく広範囲に構造用合板で補強した方がよいという結論に達したわけだが、さらにひと手間加えた方がよいと常々思うようになった。

それは能登地震の影響が大きいかもしれない。

制震テープは、新築住宅で使用したことがある。
耐震補強で使用するのは今回がはじめてだったので、当然ながら焼津市にも相談した。

感覚的には構造用合板を釘で固定する前に強力な両面テープで接着したいというものであり、住宅全体に対して高い制震性を与えることはない。
繰り返しの地震の際に構造用合板に打った釘が曲がったり折れたりする可能性を少しでも減らすためのものでしかない。
ほんの少しのひと手間を加える程度。

ただ、それが大事ではないかと思える。
高額な耐震製品も否定しないが、補助金条件である1階の耐震評点1.0以上を2割増の1.2を目標値として補強計画を行った上で補助的に制震テープを使う。
このあたりが長い間、耐震補強に関わってきた身として出した結論だった。

今のところこの方針で2件、補強計画を行ったが、どちらとも180万程度だった。
補助金が100~120万なので60~80万の自己負担となる。

制震テープの使用については、焼津市役所の担当に事前相談している。
日本建築防災協会にも確認してくださったらしく、その内容をいかにそのまま記載する。

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<結論>
制震テープを挟んだ状態で悪影響がないと判断できる場合は構造用合板の性能値(基準耐力)を
そのまま採用することが可能。
注意:仮に別で類似の資材があったとしても、厚みや材質によっては採用できるとは限らないため、
安易に使用できると判断されないようにお願いします。

一般財団法人日本建築防災協会 企画調査部からの回答(以下、原文まま)

 ご照会の件、原則としては、構造用合板(または胴縁)と軸組の間に介在するもの
がない場合の性能値ですが、厚みや材質の程度の問題であり、悪影響がないと判断で
きる場合には、指針で示す性能値をそのまま採用いただいて構いません。
 ご照会のブチルゴム(だったと思いますが)1mm程度であれば、壁の性能を大きく
低下させることはないと思われます。
 介在させる材質や厚みによる性能の影響を全て把握できているわけではありません
ので、以後、適切にご判断いただければと思います。
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ようするに制震テープを私が希望するような使い方をしても構造用合板による補強と認められないわけではないということ。
(テープによる性能を加算もできないが)
私としてはこのテープを使うことで、標準的な補強である構造用合板による補強として認められないのは困るため、焼津市からのこのような判断はむしろありがたい。

具体的にはどのような工事となるのかは、明日からの補強工事で少しずつ紹介したいと思う。
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薪ストーブというもの







今回、新築住宅に薪ストーブを設置した。
あとはペレットマンというメーカーの炉壁を設置するだけである。

お客様の強い希望で煙突は屋根直だし(壁出しNG)で二重煙突を室内もなるべく使うことになった。
薪ストーブ本体はMOKIストーブというメーカー。
煙突はホンマ製作所。
薪ストーブはお客様が検討に検討を重ねて決めた。
焼却炉的な用途として活用したい目的もあったようなので、そういう意味では最適なメーカーだと思う。

薪ストーブについては、薪ストーブ専門店に依頼する方が多いのではないかと思う。
ただ、どうしても煙突問題がある。

屋根であれ壁であれ、煙突を貫通するわけであり、そこには防水及び防火上の問題がある。
正直驚いたのは、この薪ストーブに関して、詳しい納まりの情報がなかなか簡単に入手できない点だった。

インターネットで検索すると薪ストーブ業者が工事の様子を写真で紹介している。
ただ、こんな納まりで大丈夫なのかなと疑問を持つ写真や説明書きが多く、これはもうホンマ製作所のサポートセンサーにがっつりお世話になるしかないと覚悟した。

他者に質問するということは、自分が何を質問したいのかを相手に明確に伝える必要がある。
電話であれこれ必死に状況を説明して正しい情報を得ようとするのは都合が良い話だと思っているので、かなりしっかり住宅の断面図を作成し、自分内にホンマ製作所HPから入手した情報を元に煙突設置図も用意した。
気合が入っていたことは事実だ。

それら資料をメールに添付。
自分が薪ストーブ未経験者であることやネット上の情報で疑問に感じたことなどをなるべく整理して文章化して送信。

するとすぐに電話で回答があった。
電話やメールを駆使して、その後もやり取りを重ねるだけでなく、金属屋根を担当する板金職人にも相談し、これならば問題ないと思える納まりまで到達するまでにかなり時間がかかった。
図面は何度か修正しているが、その都度これで問題ないかホンマ製作所に確認した。
火を扱うわけだから石橋を叩くぐらいでちょうどよい。

詳しくは省略するが、これから薪ストーブを自分で設置しようとする方は、とにかく薪ストーブ本体も大事だが煙突メーカーはさらに重要だと思ってもらいたい。
私はホンマ製作所を選んだが、これは国内最大規模で名前も有名だったから。
ここならサポートも親切だろうと考えた。確かに値段は高かったが、正しい情報を提供して頂けたのだから満足度は高い。

ホンマ製作所のサポートセンター担当から私が作成した資料を褒めて頂いたときには妙な達成感があった。
おかげさまで今のところ雨漏りは一切ない。

どの点をどのように工夫したかを書きたいところだがかなりの長文となるため、煙突のことだけ少し書いて今回は終わりにする。

いきなり初めての薪ストーブでしかも難易度の高い納め方を希望されたが、なんとか上手く納められて良かった。
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最近の仕事

牧之原市内にある寺院の庫裏等工事は今月で完了する。
かなり丁寧に図面を考えたこともあり、ご住職もかなり使いやすいようで高い評価を頂いた。

建物によって、それを利用する方の能力や効率がアップすれば、特に仕事で使う人ほど収益につながる。
単に過ごしやすいとか見た目がおしゃれということだけではなく、いかに仕事しやすいかを追求したいと常々思っている。

それにしても0から1を生み出す仕事はいわば苦痛の連続である。
ポンポンと生み出せる方もいるだろうが、やはり時間もかかるし、何かをきっかけとして生み出せることも多い。
妥協してこれくらいでいいかなという図面を提供することは経験を積めば積むほどできるのかもしれない。
でも頭の中にあるものを絞り出して絞り出して生み出したものではない。

もちろん、それだけ苦労して生み出したものが必ずしも評価されたり、仕事になるとは限らない。
そして、きちんと対価としてお金を頂きにくいところもある。
それは私自身に原因があるのだろうけど、0から1を生み出す仕事をいつまで続けられるのか、続けさせて頂けるのか、ふと考えることも増えた。
でもそういった苦痛の末、最後に依頼者から評価して頂ける瞬間があり、それゆえに続けられる人も多いのだろう。私もその一人。

先週、焼津市内のある工場の違反是正工事が完了し、消防署と焼津市役所からの現場検査も合格した。
焼津消防署曰く、焼津市・藤枝市内に消防法違反の建築物は数多く存在するらしい。

所有者が意図して違反したケースもあるだろうが、知らない内に違反していたこともある。
とはいえ、消防法違反は火事の際に人命にかかわることだし、知らなかったでは済まされないところがある。

一方で急に高額な消防設備を設置しなさいと言われても無い袖は振れない方もいる。
結局のらりくらり時間だけが経過するのだろうが、やり方によってはコストを抑えて適法とすることも可能な選択肢もあるかもしれない。

工事費は気を抜くとすぐに高額となる傾向がある。
既存建築への対応だとなおさらだろうが、設計段階でどこまでそれを抑えられるのかが重要になり、設計者によって工事費が100万も200万も異なる可能性もある。
前にも書いたが、設計者の支払いが100万だったとしてもその設計者の力量によって200万の工事費削減が可能なケースも当然あるわけで、その場合は決して設計者に100万支払うことは損ではない。
このあたりはなかなか可視化できないため、理解されにくいところもある。

工場の違反是正は、難易度としては高く、焼津市役所と消防署から合格通知を頂いた際は、正直安堵した。
最後の最後まで気を抜くことはできないが、依頼者だけでなく消防署からも高い評価を頂いたことは自信になった。

もう一つ、明日向かう予定だが、山梨県の富士川町にある日蓮宗のお寺から登録有形文化財に関する相談を頂き、対応することになっている。
由緒ある寺院であり、文化財に登録することで、今後様々な事業を検討されているようだ。
ご縁を頂き、大変光栄であるし、紹介して下さった地元工務店のためにもきちんと誠実な仕事を心がけたい。

お寺は①檀家寺 ②信者寺 ③観光寺 と運営方法が3つに分類されているとどこかで聞いたことがある。
もちろん①と②のどちらも積極的に運営しているところもあるだろうし、そんな分類は不本意と異を唱えるお寺もあるだろう。

各住職によって考え方、方針は異なるだろうし、地域性やお寺の歴史もあるから私も安易な発言はできない。
今回のお寺のように住職が明確な考え方をもっていて、そのために登録有形文化財としたいということであれば、私は出来るだけ一生懸命対応したいと思う。
まずは、明日の富士川町役場の担当者との協議に力を注ぎたい。
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TOUKAI-0 今の耐震について思うこと

今年度も数件、耐震補強の相談を頂いている。
昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した木造住宅は、今では築43年以上となった。
静岡県の耐震事業であるTOUKAI-0がスタートしたのが平成14年頃(2002年)。
事業開始から21年経過したことになる。

耐震診断や補強法については、2012年に改定があり、それ以降で大きな改訂はない。
様々な耐震補強製品が考案され、いつのまにか消えたものもある。

最近では昭和56年5月31日以前の木造住宅だけでなく、平成12年5月31日以前に着工された木造住宅も耐震補強の対象とすべきという声も耳にしたこともある。
(理由は平成12年6月1日以降に建築基準法の耐震基準大きく変わったから)
このあたりは、今後静岡県も対応を検討しているのだとは思う。

現在のTOUKAI-0における補助制度では、補強後の評点が1.0以上を支給条件としている。
補助申請の流れや支払い方法等、何より補助額がかなり変わった。
良くなったと思う。

一方で、対象としている住宅が築43年以上経過しているという点について、あまり考慮されていない気がしてならない。
構造計算の大前提は、構造体が健全であること。

新築の場合は、当然だがこれがクリアされている。
では古い木造住宅の場合はどうかといえば、実際に健全であるのかどうかを現地調査で把握するのは難しい。
一般診断法では劣化度という項目で評点を低減しているが、どこまでそれが機能しているのか分からない。

基礎が軽微なひび割れなのか、軽微ではないひび割れなのかでも評点は大きく変わるし、劣化度も変わる。
甘く診断すれば容易に1.0以上の耐震補強計画とすることは可能だろうし、厳しく診断すればどんなに補強しても1.0以上にはなかなか到達しないのが現実である。

加えて、1.0以上というのはあくまでも目安であって、個人的には耐震補強への補助金を支給する判断基準でしかないと思っている。
当然のことながら評点という数値にはダイレクトに反映されないが、確実に耐震性を向上させる工事も存在するだろうし、このあたりが担当する建築士の腕の見せ所ではないかと思えてならない。

例えば、1.0以上ではなく、2割増しの1.2以上となる補強計画でなければ安心はできないという基本姿勢で補強計画を立案する方がいたとしても決して間違いではない。
1割増しの1.1以上とし、補助対象の範囲内で補強する壁にひと手間かける方いてもそれも間違いではないと思っている。そのあたりの設計者判断は許されてもよいだろう。
ただし、補助の対象とならないと市に判断されたら大問題であるため、事前相談は必要とは思う。
ルールをきちんと守った上で、建築士としてどうすればより地震に対して有効な補強を提供できるのかを考えるのは悪いことではないと思う。

実際、私自身築年数が40年以上となった木造住宅に対して、いろいろ創意工夫しなければならないと思っているし、最近は計画時の評点は1.2以上となることを心がけている。
構造用合板による補強で制振テープの使用も検討しているのは、やはりそういった考えが元になっているからだ。

同じ評点1.0でも担当する建築士によって、補強計画は異なる可能性は高い。
もちろん所有者の要望もあるだろうが、補強をメインに依頼される方は、建築士としての技量を信頼して任せるわけで、明確に自分の所見と補強方針を伝える必要はある。
依頼者は、マニュアル通りの対応プラスアルファを求めているのではないだろうか。

予算のこともあり、どうしても建築士側が求める十分な補強が実現できない可能性がある。
このあたりもよく話し合う必要がある。1.0以上の補強ならどれも同じ、ということは決してない。
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一区切り

今日で令和5年度も終わります。
3月はとにかく慌ただしい日が続きました。

一級建築士の定期講習を日建学院静岡にて21日受講であることを忘れ欠席。
今年度中に受講しなければならなかったので、慌てて別の会場を探したところERIアカデミーが大阪にて28日に講習を行っていることが分かり、即申込しました。
難しい工事の完了検査も29日に予定していたため、先週はあまり気持ちに余裕がありませんでした。

ただ、以前より落ち着いていろいろ対処できるようになったと思います。

やはり私は一級建築士の製図時代に恩師からたとえ1%でも成功する確率が上がるならその努力は惜しむなという言葉が好きですね。
工事にしても申請業務にしても1%でも成功する確率が上がるならやはり責任ある人間はそれを惜しんだら終わりだと思います。
工事中の事故もそうだと思います。

29日の完了検査も無事スムーズに終わりましたが、そういうことも当たり前ではあるんですが、当たり前にするためにそれ以前の仕事が重要になるわけでして、そのあたりも1%の積み重ね努力が重要と思います。
思えばこの工事もいろいろな方々から協力を頂きました。

今年度は一級建築士事務所としては飛躍的な年度だった気がします。
工務店として長く経営を続け、売上の大半はもちろん建築工事によるものですが、一級建築士事務所を開設してもうすぐ10年という節目が迫った頃に建築士事務所としての方向性と言いますか、スタイルが形になってきた感覚があります。
建築士事務所というのもいろいろなスタイルがあり、特に一級建築士事務所は出来ることが多岐にわたるのですが、その中で何を強みとしてやっていくのかという点を定めるのが難しいのです。

私の場合、高校時代に柔道をやっていた経験が影響しているかもしれません。

例えば、私は背が低かったので、背負い投げを恩師から教えてもらいました。
まずこれを徹底的に練習します。(当時は「させられた」という認識でした。)
背の高い仲間は内股という技でしたね。

技を繰り返す打ち込みという練習がありますが、背負い投げはとにかく運動量が多く、内股がうらやましく思えたものです。
内股も真面目にやれば背負い投げ以上に疲れるのかもしれませんが、当時の私にはうらやましくて仕方がなかった。

で、その背負い投げを活かすために今度は小内刈りという技を教えてもらいます。
背負い投げを警戒する相手に有効な技であり、上達すると一本もしっかり取れる技です。

で、この2つがある程度の域まで上達すると試合に出れるわけです。
正直この2つだけでもかなり上達していれば十分勝ち上がれるらしいのですが、高校生の私からすれば他の技も覚えたいという気持ちになるわけでして、あまり先生には良い顔をされませんでしたが巴投げなども教えてもらいました。
でも巴投げは捨て身技なので先生には試合で使用することは勧められませんでしたね。
それより寝技を練習して上達しなさいと言われた記憶があります。今思えば、本当に素晴らしい指導者から柔道を学べたと思っています。

このように一つの技(技術)を覚えたらその技術を活かせる技術を次に覚える方がよいという感覚が残り、今もそれはあります。
一級建築士事務所もその意味では工務店との相乗効果を狙ったものでした。

相変わらず建築業界に関しては難しいかじ取りが求められます。
少しでも油断するとあっという間に時代遅れ、お客様に求められない存在になります。

どうにかいろいろ毎日工夫して、乗り切りたいと思っています。

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最近の仕事

牧之原市の新築住宅も終盤となり、細かな確認が増えてきました。
お客様と二人三脚で進めてきたので感慨深いものがあります。

昨年ご相談頂いた工場の改修(設計・監理のみ)についても別工務店の工事費がまとまり、お客様に見積を提出できるようになりました。
長い時間をかけ、出来るだけコストを下げられるように何度も内容を検討しました。
コストダウンは設計の初期段階から注意しないと上手くいきません。

当然のことなのですが、この当然のことができていなくて、設計が終わってから各関係業者に見積金額を下げてもらうようにお願いするケースも意外と多いのです。
やはりこのぐらいの工事ならこのぐらいの金額がかかりそうだというイメージできるようになるにはそれ相応の経験が必要なのだなと思います。

ただ、設計者の功績というのは意外と理解されないものでして、例えばAとBの建築士事務所があり、Aの方が設計料が高くても提案する工事計画はBよりも安い工事費となることもあるでしょう。
もし工事のコストダウンより設計料の差額の方が安ければ、トータルで考えた場合、Aに依頼した方が安くなるわけです。

簡単に説明すると以下のような感じです。

A建築士事務所 設計・監理 500万
工事費           2000万

B建築士事務所 設計・監理 300万
工事費           2500万

ただ、上記のような比較は現実では難しいため、どうしてもA建築士事務所の費用が目立つわけです。
このあたり、やはり建築士事務所の役割とかメリットというのをもう少し理解してもらうように努める必要が建築士側にあるのかなと思います。

あとは、工事後に何かあった場合の補償ですね。
これを意外と知らないお客様も多いようで、新築した工場で天井から水が漏れ、保管した材料にも被害があった場合、それを補償する能力が建築士事務所や施工業者にあるのかどうかという確認は必須です。
補償する気持ちがあっても能力やお金がなければそのまま放置となります。

万が一に対する備えの有無についてもきちんと説明して、他との差をアピールすることも重要な気がしています。
ようするに建築士側が一生懸命丁寧に説明し、仕事ぶりで理解してもらうしかないと思っています。

後は事務所の改装に関するご相談やお寺の本堂改修、山門の新築などのご相談を頂いています。
ひとつひとつに時間をかけてしまい、お待たせすることが多いのですが、片手間の仕事はできませんし、ひとつひとつ丁寧に対応するしかないのですが、もう少し要領よく仕事ができないものかなぁと思っています。
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オーダーキッチン天板

ツールボックスという会社からキッチンの天板を発注した。
天板はステンレス。
完全オーダーメイドではないが、かなり自由度が高く、シンクの位置やコンロの位置も自由に設定できる。
(シンクのサイズは種類があり、その中から選択)

正直メーカーのシステムキッチンは本当に安いのか、という疑問はある。
現在のキッチンメーカーのショールームは広くてきらびやかだ。
スタッフの応対もしっかりしているし、人数も多い。

もちろんそれを維持するための経費はキッチンに含まれている。
多分原価は恐ろしいほど安いのかもしれない。

正直、ものすごい安いシステムキッチンならばメーカーの方が安いような気もする。
ただ、こだわるようになったり、豪華さを求めるとびっくりするような金額になる。

このあたり、必ずしもオーダーキッチンが良いとは言えないのだが、年々新築住宅における設備(キッチン・バス・洗面)の費用割合は大きくなっている気がする。
私自身、お客様がショールーム見学する際は同席するわけだが、複雑な心境になることも稀にある。

これからどんどん材料だけでなく人件費も人手不足で高騰するだろう。
建築工事も分業化されることによって、いろいろなメリットが生まれたとは思うが、正直にいうとこれからの時代は分業化されすぎるのも問題な気がしている。

それにしてもオーダーキッチンは面白い。
正直私の仕事は増える。
増えるが、それでもやりがいの方が勝るし、苦になるほどの差はない。

もう少し肩の力を落として、このくらいのキッチンで良いのだといった感覚や住みながらキッチンを自分でカスタマイズすればよいという方もいると思う。
そういう選択肢がありますよということを提示することは良いことだと思えてならない。

お客様も楽しみにしてくださっているし、しばらくはこの造作キッチンの図面を行うことになるだろうが、正直こういう機会を頂いて良かったなと思う。

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