ELのズボン

ベテラン看護婦さんが
新しい診察用のズボンを出してきてくれました。
「裾上げしておきましたから」って、
はて、裾上げ？と思ったら
ズボンのサイズは脅威の「EL」。
EL...。
ベテラン看護婦さんは
「今の、もうキツいんちゃいます？」とニッコリ。
確かにずっと使っていたズボンは
これ以上お腹が大きくなったらキビシいなぁと
思っていたところだったけど、
でもだからって、ELとは。
ああそれでも履いてみると、
悲しいことにお腹はすごく楽チンです。
さすがにお尻周りとか太腿がダブダブだけど
白衣を着れば分からないし、診察中の立ったり座ったりは
この方が断然いい。

最近は、
座って話をしている時は何も言われなくても、
エコーや検査をしようと立ち上がると
患者さんに「あれ、先生妊娠してるんですか」と
言われるようになりました。
たいていびっくりされるところをみると、
病院の医者は妊娠しないと思ってるのかな。
今日診察した若い女の子には
「お医者さんしながらお腹で赤ちゃんも育てて
　スゴいですね」と言われました。
いや、別にスゴくないぞ。
別に毎日エサをやってるわけでもないし
プクプクポンプで空気を送っているわけでもない。
お腹の中で赤ちゃんは
私が食べたものを必要なだけ取り込んで、
私が寝てようが働いてようが、
自分で寝て起きて動き回って勝手に育っているんだから。
ペットや草花を育てるよりも
よっぽど手がかからないよ。
ただ段々お腹が重くなってくるのと、
お酒とレバ刺しを我慢しないといけないくらい。
これがひとたびお腹から出てくると
一人じゃ何も出来なくなるというのだから
赤ちゃんておかしな生き物です。


まぁもうしばらくはそこにいて
自分で好きに育っててよ。
栄養がいくようにちゃんとしたものを食べるし、
窮屈じゃないように仕事の時は
そろそろELのズボンを履くようにするからさ。