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新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

リベリアの事態改善報告にMSF猛反論(エボラ出血熱 EVD エボラ)

2014-10-31 08:37:41 | エボラ出血熱・EVD・エボラ・エボラウイルス感染症

昨日、リベリアのEVD感染者発生のペースが落ちてきていることを紹介し、WHOも事態改善を報告しておりますが、その真実をめぐってMSFの反論。

  • WHOも、事態の改善を報告しているが、それは真実ではない可能性もある。「遺体の強制埋葬・緊急の貧弱・搬送システムと紹介システムの貧困」が(見かけ上数字が下がっている)原因ではないか("mandatory cremation of dead bodies and a poor ambulance and referral system" )
  • まだモンロビアの感染者数が減っているというのには早い。MSF運営の隔離施設、250ベッドに対して80人しか入院してはいないが、しかし、感染者の全体像を把握しているわけではない。
  • 現地のエボラホットラインでは、不調をうったえる電話が多数入っているが、救急車の不足のために対応できていない。そして統計から抜け落ちる人も多々いる。
  • いったん減っても、将来またスパイクがある(急増する)可能性。
  • ラボでの陽性率が少し下がったからといって、事態の改善をいうには程遠い。この情報が誤解されて人々が、エボラがかたづきつつあると思い込んでしまうのが怖い("terrified that the information will be misinterpreted and that people will begin to think Ebola is under control".)

さまざまな見解が混じり合い・・・と、これも、2003年のSARS@北京を現地でふれた感覚を思い起こさせるものでもあります。

「事態が改善したことにしたい人々」と「事態は改善していないとみる人々」と、政治的思惑と、経済的思惑と、いろいろなものがせめぎあったSARS Politicsの段階。そして真実は神様しか知らないという現実。いま目の前に展開している歴史をしっかりウォッチして教訓をつかんでゆきましょう。

ソースはChannnel New Asia
http://www.channelnewsasia.com/news/world/msf-warns-liberia-ebola/1444040.html

MSF warns Liberia Ebola 'progress' could be illusory

 

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