新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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アフリカ眠り病の新知見で診断も治療も対策も根本からひっくり返りそう

2016-12-20 11:51:32 | アフリカ眠り病

アフリカ眠り病、ツェツェ蝿、というユニークな語感は寄生虫学の教科書でも印象に残りやすく、渡航医学とは無縁の医者人生うん十年でも何となく思い出す方も多いと思います。この、ツェツェ蝿”のみ”で媒介されるというこれまでの常識がひっくり返り、それを前提としてWHO方針もひっくり返りそうな報告。

  • アフリカ眠り病はツェツェ蝿で媒介されるのがこれまで常識だった。しかし今回、グラスゴー大とパスツール研究所の報告で、ヒトの皮膚内で棲息することが明らかになった。
  • 皮膚内でのトリパノゾーマ棲息数は、別の個体に感染を引き起こすに十分な多量であった。さらに、この皮膚内所見はまったく無症状の感染者からも検出された。
  • 現在の血液検査に頼った診断方法では見逃してしまうことが明らかに。皮膚生研を含めた診断方式の見直しが必要。治療方法も、血中だけではなく、皮内をふくめた血管外の病原体に効く新たな治療法を開発する必要がある。
  • 従来、WHO方針では、症状のある例にのみ治療をおこない、血中にトリパノゾーマ検出されない無症候例には治療をおこなわない方針であった。しかしこれでは無症候の皮膚内棲息例は放置することになり、流行も遷延してしまい、見直しが必要である。

いままでやって来たことが、診断も治療も対策も根本から覆りそうな話です。
ともあれ、流行地域に居住する在留邦人に対しては、これまで以上にハエ対策、特に衣類に産卵するハエ対策・・・洗濯物を干したら必ずアイロンを使用人にかけさせるなど・・・が迫られることになります。

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/african-sleeping-sickness-can-also-transmitted-spread-via-skin-glasgow-researchers-10773/

African sleeping sickness can also be transmitted and spread via the skin: Glasgow researchers

Posted by on December 19, 2016

 

 

 

 


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