新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

令和最初の年、暴れまわった麻疹の年末の様子は

2019-12-29 10:29:21 | 麻疹/はしか/Measles

令和最初の年、話題の絶えなかった麻疹(はしか)騒動でした。NYのユダヤ人コミュニティ、コメディアン大統領誕生のウクライナ、エボラの犠牲者数を麻疹犠牲者数が上回ってしまったコンゴ、フィリピン、渡航医学界隈には味わい深い話題をたびたび提供してくれたこの疾患ですが、年末最後はどんな様子で幕を閉じるのか。ProMEDの12月27日付麻疹アップデート。

あげられている顔ぶれは、

USA
---
[1] Washington State
[2] Texas (Travis County, Austin)
[3] Illinois (Chicago): O'Hare International Airport

Europe
---
[4] Ukraine: IFRC final report

Pacific
---
[5] Australia (Darwin) ex Samoa
[6] New Zealand (Hawke's Bay)
[7] Samoa: Updated measles in Samoa
[8] Samoa: Press release 40
[9] Samoa: 80th death
[10] Papua New Guinea: new cases
[11] Fiji: vaccination

Africa
---
[12] Democratic Republic of Congo

年の瀬は、エボラの犠牲者数を麻疹の犠牲者数の方が上回ってしまったコンゴ、そして太平洋諸国がメインでした。そこで何がどうなるかわからない(=どこで何が起こっても想定内ともいえる)麻疹騒動、2020年はどうなるのでしょうか。日本においても、五輪のマスギャザリングで・・なんて、渡航医学会のシンポジウムそのままの展開なんてのは、遠慮したいところですね。


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麻疹の近況まとめ(サモア緊急救援、CIDRAPまとめ)

2019-12-09 19:25:30 | 麻疹/はしか/Measles

麻疹の話題が引き続き賑やかです。最近は南太平洋諸国が燃えていますが、イスラエルがサモアに緊急人道支援医療チーム派遣。2週間の滞在でワクチン接種、治療など医療支援。現在サモアで4000例報告に加えて毎日数百例発生、犠牲者60例超という数字もどんどん更新中です。
http://outbreaknewstoday.com/israel-medical-experts-prepare-for-deployment-to-samoa-89422/?fbclid=IwAR3SiuTuw05BdPnhFOGHPUBw9IdEyFBns7-B9FL5qQZX2UAyUVmkEkSIPSc

 

CIDRAPには、麻疹現況まとめ。

  • 麻疹の犠牲者数、昨年2018年14万例、2017年11万例。
  • 2018年の感染者数は対前年167%増。
  • 感染者数の半数を、コンゴ民主共和国、ソマリア、ウクライナ、マダガスカル、リベリアの5カ国で占める。
  • 2018-19年に麻疹清浄国認定を取り上げられた欧州の国は、英・ギリシャ・アルバニア・チェコの4カ国。
  • 米国の感染者数はこの25年で最高。
  • 原因は国によって異なり多彩だが、ワクチン接種低下や、国境を越えた移動(UK,米)など。
  • ワクチン接種は停滞中。1回目を受けた子供は世界中で86%、2回目は同70%未満。この数字は2000年よりは改善しているものの、2010年からは停滞している。接種率90%以上の国は2018年61%を占め、対2000年比で86か国増。しかし2012・13年と比べると126か国減。
  • 対2000年比では感染者数66%減、推定死亡例73%減。しかし、2016-18年にかけて再び増加。
  • 2018年に、まったくワクチンが受けられていない子供は世界中で192万人いると推定。特におおいのはナイジェリア、インド、パキスタン、エチオピア、インドネシア、フィリピン。

目標には道遠しという状況。先進国にいれば、反ワクチン団体の妨害ばかりが目につきますが(サモアでは反ワクチンの流言流したカドで逮捕者がでた・・・というニュースは日本語報道にも載った)、より根本的な保健システムの脆弱さ+国際間移動という難題、道険しです。

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/12/global-measles-deaths-rise-140000-young-kids-hit-hard

Global measles deaths rise to 140,000; young kids hit hard


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麻疹清浄国認定取り消しはこの4カ国

2019-09-05 08:53:00 | 麻疹/はしか/Measles

麻疹清浄国、国内に土着の麻疹が無いとWHOから認定されたリストからはずされてしまった先進国。

今回該当は、UK、チェコ。ギリシャ、アルバニアの4カ国です。

UKはEU離脱したら、スコットランドが独立したがる、北アイルランドは、ウェールズは・・・と四分五裂説も囁かれていたりしますが、とりあえず現時点では1カ国とカウント。

アルバニアが先進国といえるかどうかは???ですが、まあ、欧州の一員ということで。

 http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/08/news-scan-aug-29-2019?fbclid=IwAR2PYxMsm1HCGN1zUYDTFmH_Nvy052u1bilmDhHf9HFB3XeynOsxjePhdnY

http://www.euro.who.int/en/media-centre/sections/press-releases/2019/european-region-loses-ground-in-effort-to-eliminate-measles

European Region loses ground in effort to eliminate measles


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WHOから麻疹の新たなサーベイランス、06年以来最高になってしまった今年

2019-08-13 16:47:49 | 麻疹/はしか/Measles

WHOから麻疹の新たなまとめ。

  • 2019年今年は、2006年以来最高に増えている。
  • もっとも炎上したのがコンゴ民主共和国・マダガスカル・ウクライナ。この中でマダガスカルは緊急ワクチン実施計画によってここ数か月、減らすことに成功しており、ワクチン有効が実証されている。
  • その他、大規模流行中はAngola, Cameroon, Chad, Kazakhstan, Nigeria, Philippines, South Sudan, Sudan and Thailand
  • 米国ではこの25年間で最多、欧州では9万例で、すでに2018年1年分を越えている(この2018年の数値も、その時点では”過去最多)。
  • ワクチン接種率が低くなる理由は多彩。医療システムやワクチン接種にアクセスできない、戦乱地や難民、ワクチンに関する誤った情報、必要性に対する意識が低いこと。いくつかの国では、過去に接種もれていた若い世代からの発症が多くなっている。

当時「過去最高」だった2018年一年分の数字を、もうすでに超えてしまった。大炎上の麻疹。マダガスカルのようにワクチン接種さえ確保できれば確実に減るのに ・・・選挙でタレント大統領が勝ってしまったウクライナ、いつも戦乱や混乱のスーダン・南スーダン、といった顔ぶれに、我々に身近なフィリピンとタイが混じっていることは要注意です。持込み麻疹騒動はまたいつ起こってもおかしくない。。。

https://www.who.int/immunization/newsroom/new-measles-data-august-2019/en/

New measles surveillance data from WHO

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/08/global-measles-outbreaks-make-2019-record-setting-year

 


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麻疹のスポット2019.7.31

2019-07-31 11:24:31 | 麻疹/はしか/Measles

最近忘れられがちな麻疹、いまどこで? 久しぶりにProMEDに載ってる顔ぶれはこのとおり。

ウクライナやマダガスカルのような華やかさ?はないけれど、夏休みの旅行先になりがちな場所も含まれていますのでご注意を。

以下コピペ

North America --- [1] USA (New Jersey) [2] USA (New York, Rockland county) [3] USA (multi-state) [4] Canada (Vancouver [Burnaby] ex Philippines)


Europe ---- [5] Turkey [6] Spain


Asia and Pacific ----- [7] Singapore [8] Taiwan [9] New Zealand (Auckland)

http://www.promedmail.org/post/6594543


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米国が麻疹清浄国ではなくなるかもしれない

2019-06-01 09:32:11 | 麻疹/はしか/Measles

麻疹の流行もなかなかおさまらないUSA.974例。1994年以来最高更新中。

NYの2つの大規模流行がさらに夏から秋へと遷延したら、麻疹清浄国ではなくなるかもしれない・・・という、医療関係者公衆衛生関係者なら顔がひきつるような警告まで出てきているようです。

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/05/us-measles-cases-top-record-putting-elimination-status-risk

US measles cases top record, putting elimination status at risk


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この2つの記事を同時に目にする絶望感(麻疹@ウクライナ)

2019-05-21 14:29:14 | 麻疹/はしか/Measles

今朝の通勤電車でパソコン開けるとこの記事が。

当サイトでも再々紹介しておりますウクライナの麻疹、炎上とまらず、5万例って、これから出勤しようとしている赤穂市の人口を上回ってしまいます、麻疹の患者さんだけで。

駅売りの日経新聞を開けるとこの記事が。

この未曾有の麻疹大炎上を迎え撃つべきウクライナのトップが、
「ドラマの大統領役が現実に」
「テレビドラマ「国民のしもべ」で演じたのは、正義感あふれる教師出身の大統領だった」
「政治との「接点」はなかったが、18年の大みそかに大統領選への出馬を宣言すると、現職を終始リードして地滑り的な勝利」

にて、これから議会選を前倒しして政治的侃々諤々をやるそうです。
彼の頭の中に「麻疹対策」の文字はあるんだろうか???

outbreaknewsと日経新聞では読者層が重ならず、なかなか危機感(というか絶望感)に結びつきにくいですが、これ何とかしないと麻疹輸出基地が出現しそうです。イタリアやフランスやNYやは、とりあえず炎上を消すことが出来ましたが、マダガスカルはまだ人の行き来がある程度のレベルにとどまりますが、う~ん、ここは・・・

 http://outbreaknewstoday.com/ukraine-measles-cases-close-50000/

Ukraine measles cases close in on 50,000       

        by                Robert Herriman              
May 20, 2019

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ウクライナの麻疹がついに10万例超え!の実感わく比較

2019-04-29 17:27:38 | 麻疹/はしか/Measles

なかなか収束しない、報道に載り続けるウクライナの麻疹。

とうとう10万例の大台です。10万例!

この10万例とはどんな数字なのか、ちょっと検索してみると、人口10万人の自治体というのが出てきました。とりあえず、ある程度知名度がありそうなところを抜き出してみると・・・

  • 千葉県 鎌ケ谷市 (成田空港からスカイライナーで通過する駅)
  • 大阪府 泉佐野市 (関西空港が所在する、最近ではふるさと納税で有名になった)
  • 兵庫県 芦屋市(お金持ちだけじゃなくて、もちろん庶民もいる10万市)
  • 広島県 三原市
  • 長野県 佐久市(佐久総合病院を思い出す人多いですが、思ったより人口多い)

こういった、それなりに賑やかな場所にいる人々が一人残らず麻疹にかかったような状況ですね。

https://london3.jp/2018/01/jinko2017/

ウクライナの人口は4241万人と日本の1/3だそうですから、これは大変です。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ukraine/data.html

こういう事態になっている背景には、

  • ワクチン接種率の低さ・・・はもちろんナンバー1の原因ですが、それ以外に
  • つい先日まで大統領選のお祭り騒ぎでマスギャザリングがあちこちで
  • 当選したのはコメディアンのタレント候補。政策はバラマキばかりで、さらに今後も効果的な麻疹対策など全然期待できない。ニューズウィークはもっと辛辣で「経験ナシ、政策ナシでも国家元首に。未知の世界へ」と(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-12034.php

ということがあります。

で、現状はといえば、

  • 小児の麻疹感染者20例に1例が肺炎発症
  • 小児の麻疹感染者1000例に1例が脳炎発症
  • 小児の麻疹感染者1000例に1~2例が死亡

ということになっています。

麻疹流行をほぼ放置したら(なおかつ、戦乱地やインフラが無かったら)どうなるのか、大変皮肉ですが、これからその実験場になるのでしょう。

http://outbreaknewstoday.com/measles-ukraine-100000-cases-35-deaths-since-summer-2017/?fbclid=IwAR1Zo00i64mVP-SkwWH5gluWDB2s3wjDuEurARIX61KnEkadsdR9CLBm8uw

Measles in Ukraine: 100,000 cases and 35 deaths since summer of 2017

April 28, 2019

 

 

 

 

 


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麻疹が40000例に迫るウクライナ、タレント大統領選のお祭り騒ぎでさらに盛り上がる?

2019-04-24 09:04:21 | 麻疹/はしか/Measles

ウクライナの麻疹。炎上とまらず40000例へ。この国のワクチン接種率低さなど指摘されてきましたが、今週にはいっての報道でもうひとつの背景が見えてきました。

かなりおかしな大統領選挙をやっていて、タレント候補が現職に「地滑り的勝利」をおさめるというお祭り騒ぎ。月曜日のCNNは、スリランカの悲惨な映像とこのお祭り騒ぎが交互にという感じでした。日本語報道でもそれなりの扱かいに。

こういう事をやっていれば、マスギャザリングで感染拡大はもちろんですが、もうひとつ懸念されるのが、この、とおっちゃったタレント候補。報道によれば、現職が対ロシア強硬姿勢を打ち出したのに対し、当選タレント候補は、バラマキ型の公約連発で実現性??なのだとか。そして、そのバラマキ型ポピュリスト公約には、麻疹ワクチンは入っていません。お金がなくて打てないのではなく、反ワクチン的な空気が流れているところでは、タレントポピュリストは決してそんな事言いません。

というわけで、まだまだ燃えそうなウクライナの麻疹。

http://outbreaknewstoday.com/ukraine-closes-40000-measles-cases-25409/

Ukraine closes in on 40,000 measles cases       

        by                News Desk              
April 20, 2019

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あっちも麻疹、こっちも麻疹、世界どこでも~

2019-04-13 09:28:05 | 麻疹/はしか/Measles

先日、NY市当局が麻疹非常事態宣言を出したのも記憶に新しいところですが、ProMedのmeasles update麻疹アップデートを見たら、あんな国もこんな国も話題にあがっていて、あらためて。。。

顔ぶれをコピペすると・・・

  • いつだか、日本から修学旅行生が持ち込んだとき「Japanは麻疹輸出国だっ」と上から目線で批難したあの国は病院スタッフの感染に悩まされ、、、
  • 関空麻疹のときに、「高リスクの空港スタッフがワクチン打ってないなんて遅れてる(その論自体は管理人も賛成しますが)」論はあれど、世界を代表する大空港でも同じことが起こり
  • 隣国でも。
  • 今年大炎上のフィリピンから、オーストラリアに飛び火して戦々恐々。
  • 泥沼エボラのコンゴは麻疹でも泣き面に蜂。

麻疹の暴れっぷりは本当に派手なまま、令和を迎えます。令和の麻疹、何が起こるのかな。

North America ---

[1] CIDRAP (Center for Infectious Disease Research and Policy): news scan
[2] USA (Indiana)
[3] USA (New Jersey)
[4] USA (New York, Brooklyn): declaration of public health emergency
[5] USA (New York): students without vaccinations barred from school
[6] USA (New York): city cracks down
[7] USA (Michigan, Oakland and Washtenaw County)
[8] Canada (Ottawa]
[9] Canada (Montreal): hospital employee, alert


Asia ---
[10] Hong Kong: airport
[11] Macau
[12] South Korea (Anyang, Daejeon)


Pacific ---
[13] Australia (New South Wales): ex Philippines, alert
[14] Australia (Illawarra): alert


Africa ---
[15] DR Congo
[16] Tunisia


Europe --- [17] UK

http://www.promedmail.org/post/6414559

 


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