新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

発災直後のいま、合言葉は「ド・レ・ス」

2019-10-14 23:59:26 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

このたびの被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

さて、被災された皆様も、これからボランティアをと意気込んでおられる皆様も、ボランティアのアレンジにあたる皆様も、まずは発災直後のいま、認識いただきたいことです。

管理人の西日本豪雨(真備町)医療ボランティア経験、アフリカ在勤経験から。

合言葉は ド・レ・ス

:冠水・浸水した泥水。見えないところに石やコンクリ片でケガをします。裸足やサンダル避けてください。ケガしたら破傷風トキソイドのブースター、必ず受診を。

これはミャンマーの雨季の写真。ここを歩けと言われたら、最大防備をするはず。これと同じ条件なのですよ・・・と説明・説得用に

:冷蔵庫。停電中に中身は冷えず変質しているかもしれませんが、復電したら一見冷えてるので食べてしまうリスク(セネガル勤務経験から、それでお腹こわす人を見てきました。管理人だって・・以下略)。停電のある途上国の経験。

:スイーツ。甘い物忘れずに。被災地ボランティアセンターへ支援物資も、ボランティア自身のリュックも、水と塩分ばかり目がゆき、甘い物を体が欲したときに無い! ということが、西日本豪雨のボラセンターテントで痛感しました。生真面目な人は水と塩分ばかりに目がゆきますが、作業して疲れた体が、本能が糖分を欲したときにはなかった。差し入れ物資は、(国会のマーク入りの水だとかポカリだとか山のような塩飴だとか)。

 

 

 

 

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

”あの日”から約半年経った被災地で考えた

2018-12-16 18:20:52 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

倉敷豪雨災害から約5か月半。被災地にて徒然なるままに。

いつもと同じ倉敷市社協の医療ボランティア。前日までにHPからカチャカチャと若干の個人情報を入れて手軽に登録できます。出来る手技を細かく聞かれたりは一切ありませんから管理人みたく本職文系大学の先生でも入れます。ボランティアセンターは10月に移転して駅のド真ん前、便利になりました(井原鉄道川辺宿駅)。
https://peraichi.com/landing_pages/view/kuravol

【概況】
被災当初~秋にかけての「熱中症と砂塵との闘い」「蚊との闘い」から一転、「ストーブの世界」です。しかし日中は車の温度計で9℃、インフルエンザもようやく定点あたり1を超えたところで注意報や警報の色はついていなくてまだ嵐の前の静けさです。輸送ボランティアさんの運転で被災者宅をまわりますが呼吸器症状も見かけず、また、ノロの流行もないのはご同慶の至り。
レジオネラとかマイコプラズマとかSFTSとか、専門家がメディアで懸念を表明してきたものも(まったく無いわけでもないのでしょうが)とりあえずお会いした皆さんおよびその近所の人・知人や噂話の範囲内では聞こえてこないようです。

【みなし仮設住宅は有効だった】
被災者宅の多くでは、転居せずとどまる選択をされた方も、週末に戻ってきてボランティアとともに運び出しや清掃にあたる方々が多数。では普段どこにいるかといえば、さほど遠くない倉敷市中心部~水島までのあたり。みなし仮設住宅です。集合住宅の空室などを行政が借り上げて、そこに住むもの。すでに存在する物件に入るので、新たに仮設住宅を建設するよりも圧倒的に早く入居することができます。これが良かったと話してくれる被災者のみなさん。

【メンタルヘルスを分けるもの】
感染症が何も流行っていませんということになると、次なる関心はメンタルヘルス。ちょっと興味深いことを話してくれた被災者さんがおられました。自分はOKですと。それは息子が友達からのSNSで情報を得て、水が入ってくる前に自宅を出て避難できたからだと(水を見なかったからと表現された)。でも、水が入ってきてから2階にあがって命からがらの知人有人は、夜にうなされたりフラッシュバックとかありますと。当日に水を見たか見なかったかが大きな分かれ目のようです。

そしてペットロスの有無。自分はたまたま、大型犬を他所に預けていたから良かった。でもペットが流された知人は・・・と。

【歯科は難題】
メンタルヘルスとも関連しますが、夜間に悪夢や歯ぎしりで、歯からくることが多いと複数から証言。歯からくる人が多いのに、(歯科機器は高価なもの多く)歯科医院はなかなか再開できない。実際、半年近く経った本日現在も閉まったままの処を多く目にしました。

【慢性疾患はおおむね医療とつながれている】
高齢者はほとんどが、糖尿病だ高血圧だということになりますが、聞いた範囲ではその全員が「先週受診してきた」「次の受診は〇曜日だ」という具合。病院の方は(さすがに歯科医院よりも)経済力もあり診療を提供できているようです。そして医療ボランティアの巡回も医師・保健師・看護師といろいろやってきて、普段以上に目が届いています。生活習慣病のコントロールはかえって良好!

【流言・デマが生まれる瞬間を目撃した】
道へだてた処に大阪観光神戸支社と書いた観光バスが停まっています。ボラセンのおばちゃんたちが、なにやらテンション上がっています。聞くと「灘高校がボランティアにやって来たバスだ。すごい優秀な子たちが、こんな事してくれるんじゃあ・・・」と。???天下の灘高校が、このインフルかつ期末試験の時期に修学旅行みたくバス連ねて半年も経った被災地に来るもんかねと、どうも腑に落ちないので、わざわざバスのところまで行ってみました。本当に「灘高校御一行様」と書いてあるのかと。結果はこの通り。


神戸の高校生有志の集まりがやって来ていて(KOBE高校生ですから、神戸高校ということでもなく、神戸の高校各校からの有志。実際にこれで検索したら出てくる https://activo.jp/articles/72080)、そのうちの一人におばちゃんが聞いてみたら(自分は)灘高校生だと答えたので「灘高校がバス仕立ててやってきた」となって、それを皆が疑いなく信じてその場で確信になっていったと。

流言が広がる要素に「身近さ」「もっともらしさ」があります。これが無いと、たとえば開成だラサールだという話なら「(地理的に考えて)もっともらしさ」がありませんから、こういう展開にはならないでしょう。真実とはちょっとだけ違う話、その危険性というお話。

【ボランティアは良い雰囲気】
全国からほんわか集まって、細かい事いわずに入れてもらえて、無理なく頑張りすぎず活動する場は良い雰囲気が持続しています。寄せ書きもいくつかあって、出色はこれでしょう。トラック1台まるごとそのまま寄せ書き! 管理人もとっさにひとこと(笑)

【支援物資のミスマッチ(ボランティア対象も)】
被災者だけでなく、全国から集まったボランティアに対して何かしようと考える人々もおられます。今回は近くの川でとれたフナめしをふるまっていただいた方がおられ、お心遣い感謝でした。でも、?なものも。突然、2019年5月に期限が切れる(つまり、来夏までもたない)OS-1が1000本送られてきてボラセンの倉庫に積んであるそうです。冬を迎える今、ストーブの前でOS-1を飲んでうまい訳もなく、いや、それどころか、血圧をあげてしまうので、(それでも多少はご自由におとりくださいと並べているけれど、基本的に)苦慮されています。
 これは前回の件ですが、作業から戻ってきたボランティアに、にこやかに何か手渡してくれる人がいました。管理人もうっかり受け取ってしまいました。首からかけて空間除菌するというアレ。何とも情けない気持ちになって、管理人の不覚です。ニコニコ配ってる人は、いかにも悪気なさそうでしたが(本人自身が本気で信じて首からぶらさげているんだろなあ・・・)。

 

【ボランティアを騙るケシカラヌ輩】
こんな人もいますご注意と。朝集合時間に軽トラでやって来て、ビニールシートを受け取る。そのままドロン(ビニールシート泥棒)が一番単純なパターン。もうちょっと込み入ると、ビニールシートを受け取り活動しにゆくような顔して走り去るけれど、終了時間近くに戻ってくる。その荷台には自分とこの(プラスα)ゴミが。ボラセンのゴミ捨て場にちゃっかりタダで捨ててゆく。。。orz

まあ、色々な人々の色々なお話をうかがうだけでも行った甲斐あるかもしれません。

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

被災から2か月経った現地で考えたこと

2018-09-16 23:20:30 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

西日本豪雨(平成30年7月豪雨)から約2か月ちょっと。前回からひと月ぶりに被災地に行ってきました。前回同様、倉敷市社協(社会福祉協議会)のボランティア医療職のポジションで居場所確保。今回も考察はいろいろと。配置された場所はまび記念病院のすぐ隣(写真の右側が病院敷地)川辺サテライト。病院が水没して屋上から患者さんがヘリで救出映像が繰り返し放映された、あの病院です。

1.気候が少々よくなると蚊が出現!
今年のあまりの酷暑で、蚊の活動は抑えられていました。普段あまり蚊を見かけず、アース製薬やフマキラーの株価が下がるなんて事象も。ところが、当日ミーティングで、少し奥に入った神社にサテライトのさらに支店?みたいな拠点があって、そこに行く人は蚊がとても多いから注意なんて喚起されてました。ええっ!と吃驚。目の前のドラッグストアが再開してたので、アースの30%DEETを急遽買ってチームの看護師さんにプレゼント(DEETの薄い12.5%の製品が支給品に入ってるのを知ったのは後でしたが、まあ、予算都合もありましょうから、薄いの支給で2時間おき塗りなおせと情報つければ次善の策にはなりましょう)

写真:再開したドラッグストアZAGZAGに並ぶ虫よけ

2.ボランティア輸送用借り上げバスのシートがビニールで覆われ感染症予防
 ボランティアの駅送迎やサテライト、現場へ輸送するのに数多くの観光バス借り上げ。その座席すべてにゴミ袋みたいなビニールかかってました。作業終了で泥だらけの人も多いですから、このゴミ袋座席カバーを取り換えれば、色々なものが接触感染防げますね。


3.避難所にくらべ自宅にいる被災者は情報とりにくい(リスクコミュニケーションの課題)
ボランティアセンター、サテライトが近所にあっても知らない被災者がいるとの報告。サテライトのレベル(バスが出入り)になればさすがに誰でもわかりますが、サテライトのさらに支店?拠点になると、知らない人も。家庭訪問したら、こんな近所にボランティアさんいるなんて知らなかったと言われたナースも。避難所なら口コミで何でも伝わりますが、自宅にこもるとわからない。泥かきの御用がなくても巡回訪問して何かあればご利用くださいと案内してまわる必要があるようです。

4.ボランティアにサービスするボランティア
ボランティアにサービスするボランティアの方々。ボランティアセンター(本部)に戻ると、無料かき氷をせっせとサービスするテントが。現場の空気を読めば、さすがに保健所届け出は?なんてこととても聞けない管理人、それどころか、この氷も、どこからか差し入れられたマスカットも、無防備にいろいろ堪能しちゃいました。感謝。

5.可視化される「支援継続してくださる所、2か月経ったら関心終了の所」
 被災から2か月たつと可視化される話。
1)ポカリスエットとデカく記された青いサーバーはあれど粉末は無し。中に入ってるのはCO-OP提供のジェネリック。
2)ペットボトル飲料の供給はあれど、前回アップした国会限定、国会ラベルの水(議員さん提供、多分)は影も形もなし。
3)個人ボラは別として、組織名の入ったの着てる人、宗教系政治系(前回はキリスト系、法輪功、ピースボートなどなど)は消滅。代わりに目立つのが関西中のあらゆる社協(社会福祉協議会)、京阪神そろうが、滋賀勢が目立って存在感。

6.2か月経ったら、わーっと吐き出す需要あり(メンタルヘルス)

チームの看護師さん、被災者からわーっと出てきて支えるのに力の要ったケースも。傾聴のボランティアも本格的に必要になってくる2か月。

いくつか現地の写真です。

供給されるのはウーロン茶と濃いお茶と麦茶と塩飴ばかりなり。甘いものが望まれるのですが、この組み合わせ変わらず。あるスタッフは、「甘いものは嗜好品にあたるからダメと聞いた」と言われるのですが、よく聞くと何人か伝言ゲームになってる感も。真偽のほどがまったくわからんので、コメントは控えます。

まび記念病院、再建に向けて工事中


サテライトに置いてゆかれたうちわを見ると、誰が来たかわかりますね。東北勢の足跡も確かに。

病院となりの喫茶店もこの通り

再開したところと再開していないところ(赤丸がサテライトの場所)

再開してるもの:ZAGZAG(大手ドラッグストア)、コメリ(ホームセンター)、井原鉄道、病院の門前薬局
再開していないもの:まび記念病院、ダイソー、地元薬局、喫茶店、セブンイレブン、パチンコ店(北海道地震では停電なのにパチンコ屋が開いてて腹立ちツイート目立ったが、こちらではそんな事なし。台も撤去されがらんどう)

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北海道地震で「復電しつつある今」伝えたいこと

2018-09-07 13:27:54 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

 このたびの北海道地震被災者のみなさまにお見舞い申し上げます。
今回は、大規模停電が発生し、「自宅自体は損壊しなかったけれど、冷蔵庫が動かなかった。その後復電して元通り動きだした」というシチュエーションの方々が非常に多数発生しました。これは、泥水につかった豪雨災害や損壊した震災ではあまりなかった事象です。

 当管理人は、電気の足りない国々、94~95年のスーダン、00~03年のセネガルと、合計5年間、「停電と復電」に親しみ(?)つきあってきました。そんなアフリカ生活の知恵(もっと正直に言えば、”痛い目”)から、北海道の皆さまに知っていただきたいことを記します。

1.冷蔵庫の中のものには特に注意を。デリケートなものは廃棄も

 私が外務省医務官として在勤したスーダン(ほぼ毎日4時間以上の計画停電。最高は20時間停電して4時間しか電気が来なかった)、セネガル(1日おきぐらいに数分~数時間の停電)では、停電⇒復電⇒停電⇒復電の繰り返しによる冷蔵冷凍庫内の食品の傷みによる下痢罹患が頻発しました。原因はさまざまで、アフリカにあって毎回原因特定はとても出来ませんが、一度、仲良し奥様4人組集団り患のときは調べて、結果サルモネラでした。

ところで、これは少々意外かもしれませんが、その発生頻度はスーダンよりも、(アフリカの中では比較的)状況のましなセネガルでの方がよく発生しました。気温40℃のなか毎日停電するスーダンでは、在留邦人はみな警戒感維持し、停電になると冷蔵冷凍庫(商店にあるような巨大冷凍庫を各家庭備えていた)の開閉を最小限にするというアフリカ生活の知恵を徹底していました。

しかし状況がましなセネガルでは、そこまではピリピリしていません。意識があがっていません。結果、停電で庫内温度上昇して溶けたり常温化したものが復電で再び冷えるので、表面上警戒せず口にしてしまうことがあります。あるいは我々邦人自身が警戒しても、現地人の(自家発電も不十分な)個人飲食店が警戒しないで食材として使ってしまうので結果的にやられてしまうことも再々ありました。

 今回北海道では、これまで停電に接するという経験値があまりなく、停電でいったん溶けたものを復電後に食べてしまう人が多発するのではと懸念しております。いたみやすい生ものは廃棄した方が良いでしょうし、野菜室の根菜ぐらいは大丈夫かもしれません。要は、意識レベルをあげてくださいと啓発が求められます。

 

2.復電に注意、精密機器

通常、電気コンセントからは一定の電圧の電気が流れます。先進国では間違いなくそう。日本の平時はもちろんそう。しかし、それは世界共通未来永劫の事象ではありません。200Vという約束になっていても250Vや150Vとなる国が世界中にはいくらでもあります。管理人は、電圧安定機なる電気製品を赴任荷物にいつも入れていました。では、そういう”約束と違う電圧”は特に流れやすいのはいつか。「復電の瞬間」です。パソコンなど精密機器が一瞬でおしゃかになってしまうという悲劇が起こるのは、(全部とはいいませんが)比較的多いのが復電の瞬間。

途上国の日本人社会では必ず耳にする話ですが、管理人は日本に戻ってもあの恐怖はどうしてもこびりついています。家電量販店で「雷サージ」のコンセントやテーブルタップを買い込み、大学はもとより、産業医先やバイト病院など立ち回る先々に置いておきパソコンだけは必ず、異状電圧が来ても守れるようにしております。コンセントの1個は持ち歩くリュックに入っていて、たとえばN700系新幹線などで電源つなぐ時には使用しています。

まあ、そこまでしなくても、停電した家庭では、いったん精密機器のコンセントは抜いておき、復電して少したってからさすのが良いかと思います。

以上、スーダン・セネガル生活経験からでした。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1か月経った豪雨被災地で考えた

2018-08-13 10:13:32 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

西日本豪雨災害から1か月ちょっと、現地はどうなって、どんな情報が求められているのか。当管理人も、災害関連ではTVラジオその他でさまざまにコメント・リスコミに微力をつくしてきましたが、自分がしゃべっていることが現場で求められている情報からズレていないか確認もいたしたく、現地で「関与しながらの観察」してきました。ここは医師免許のありがたいところで、災害ボランティアの席は割と簡単に見つかります。倉敷市社会福祉協議会、倉敷市災害ボランティアセンターのサイトから若干の個人情報をカチカチと入力してボランティア登録は10分あまりで完了。
https://peraichi.com/landing_pages/view/kuravol
ヘリから颯爽と降りてくるカッコイイ先生じゃなくても、当管理人みたく少々たよりない医者でもボランティアの席用意してくれる社協に感謝。

当日は、箭田サテライトの救護所テントに配置となりまして(最初、箭田の読み方わからなくて、ヤタに行ってくださいと言われても真備町ど真ん中に行ける幸運に気が付かなかった)おもいきり被災地中心で活動できました。以下、考察。

1.医療者の、マスメディア各位の努力もこれあり、「熱中症は怖い」「水分と塩分を摂らなければならない」とは、ほぼ「洗脳レベル」でインプットされている。結果、この日ボランティアが1469名集結(社協発表)したなかで、熱中症関連で私が緊急出動したのはわずか1例(+歩いて来られた1例)。

2.一方で、この”洗脳”の裏表で起こっていることは・・・
*救護所で渡せるよう供給される飴類は「塩飴」ばかり。甘いもの求めて来られる方々の要望に応えられず。
*各所から大量に寄進いただいたものと思われる飲料はポカリスエット、OS-1、ミネラルウォーターばかりなり(国会の写真と国会議事堂限定表示のボトルウォーター多数はご愛嬌だけれど糖分なし)。一部ジュース類が見受けられたものの、あっと言う間に尽きてしまい。
*疲労し本能が糖分を求めても、お金があっても現地で購入不可(自販機もコンビニも泥泥、復活はいつの日か・・)
*ボランティア各自のリュックに入ってる自分用も、水・ポカリ・塩飴系・・・ 

「国会議事堂限定」表示とともにデカデカ国会ラベルのお水はご愛嬌。しかしこれも糖分なし。

飲料を無料提供はありましたが、”甘いもの”は早々に底をついてしまい、空き缶入れはこんな風に。初期にいかに甘いもの集中的に持ってゆかれたか明らかですね。

水分塩分補給だけじゃなくて、甘いものも持ってゆきましょう(甘いものを供給できるようにしましょう)というメッセージは絶対必要と痛感しました。

3.感染症予防の基本、手洗い。しかし手洗い場に置く薬品の見せ方には工夫必要。
まずダメな例。
大瓶で消毒液を買ってきて、100円ショップで売ってる容器に入れるのは経済的ですが、誰も使いません。炎天下、ほとんど減ることもなく放置。
何が入ってるのかわからんものには手を出さないのです、ふつうの人は(と、わかったような事を言っておりますが、当管理人とて今回初めて学んだことを告白しておきます)。

 

こちらも案外イマイチ。センサーで消毒液がピュッと出てくるすぐれもの・・・のはずですが、やはりラベルが見えなくて何が入ってるかわからない。まともな人は躊躇する(と、わかったような事言っておりますが、以下略)。


 結局、ちゃんと使ってもらえるのは「いつも見慣れてるやつ」ということに落ち着きます。


なお、その他で好評なのは「氷嚢」でした。ビニール袋に氷(コンビニで売ってるような、口に入れても大丈夫な氷)を入れてものを配ってまわる。体や頭を冷やしても良し、口に入れても良し。 管理人の診療以外の仕事はボランティアのナースたちと雑談しながらの氷嚢つくり、そしてボランティアさんの間を歩いて氷嚢とポカリの配布でした。

以下、若干の現状写真

依然片付かづ大量に堆積するガレキ類。当初管理人は、これに雨水がたまって蚊の大発生→そこにデング罹患者でも入ろうものなら・・・という懸念をいくつかのメディアでも語りましたが、幸か不幸かここは晴れの国岡山、毎日毎日カンカン照りが続いてその気配はありません(まったく水なぞたまっていない)。ミヤネ屋スタジオでご一緒させていただいた専門家は、こうした堆積ゴミの発酵(畳がまっさきに発酵)⇒自然発火を懸念しておられましたが、こちらも岡山の強烈な太陽がカラカラ乾燥して懸念後退してくれました。

報道では「ふつうの家」に見える、構造物が残った建物。しかし中はとみればこの通り。細かい砂塵が舞います。1か月経っても、やはりマスクは必要。作業によってゴーグルも。

なお、破傷風の問題は、ボランティアセンターのオリエンテーションでかなりやかましく強調されていました。



インバウンド外国人は、ボランティアセンターにも集結するという現実。
青い目のみなさん。

最初のオリエンテーション

また気が付いたらレポートしたいと思います。

本管理人がいくらかしゃべったうち、東京FM(書き起こし)とTBSラジオ(クラウド)がいつでもアクセス可能です。よろしければ。
東京FM Love&Hope
アーカイブ
https://www.tfm.co.jp/lh/index.php?blogid=179&archive=2018-08
感染症/ボランティア編
https://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=140730
https://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=140731
https://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=140734
こころのケア編
https://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=140735

TBSラジオ 荻上チキのSS22
https://www.tbsradio.jp/270756

 

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月10日(火)のつぶやき

2018-07-11 06:52:10 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

合言葉は「ダ・ゲ・キ 持ち込むな!」。被災地支援のキーワード

2018-07-10 23:49:27 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

水害後の情報提供。刺さるキーワード考案。

ダ・ゲ・キ もちこむな!

ッスイ:水分摂取、現地は本来“晴れの国”。 スポーツ飲料や塩飴。
全身脱力感でてきたら危険、OS-1を。なければスポーツ飲料にプラス塩分

飲めなきゃ点滴→受診

:消化器感染症。食中毒・カンピロバクター・サルモネラ・黄色ブドウ球菌・大腸菌・ノロ・・ 多くは口から感染。きれいな水分のみ口に。井戸水×。濁っていなくても危険。手洗いの徹底。(口から入る疾患)

:特に怖いのが嫌気性菌。破傷風やガス壊疽。土や砂が傷口から入った汚い傷。
肌露出しない、手袋。受診。破傷風ワクチン

モチコムナ:体調不良ならボランティアに入らないで! 不調感じたら速やかに離脱。

2010年ハイチの震災後、PKOで入ったスリランカ軍の兵士からコレラ。80万人、死者1万人弱。

少し余裕が出た被災地では、「たまり水対策」を。デングやジカなど蚊媒介疾患を見据えた対策。2015年ミャンマー洪水後に16000例デング熱。

まずはTBSラジオ出演で紹介しました。
https://www.tbsradio.jp/270756

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

派手な先例に学ぶ、洪水・水害で要注意な疾患(ハイチの教訓、ミャンマーの教訓)

2018-07-10 18:40:08 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

西日本大水害。管理人も今回はヒトゴトでは済まず、昨日は産業保健総合支援センターで小耳にははさみきれない位、いろいろ入っておりました。思い切り流れてしまった講義の補講群スケジュールも(嘆)。被災地地元のFMおかやまは月1定例で海外ネタを話している局ですが、明朝は臨時で水害後のお話。尺とにらめっこしながら、消化器感染症と破傷風あたりが優先順位。その次は・・といろいろ。

さて、こういう事態で渡航医学から学ぶ、何を懸念しなければならないか。。。

1.ハイチの震災後にWHOを震撼させた「あのこと」
2010年のハイチ大震災、もともと脆弱だったインフラも破壊されつくしました。
世界各国から救援に駆け付けたPKO部隊。そのなかにスリランカ軍部隊に「コレラ」に感染したソルジャーがおりまして、これがまたたくまに大拡散。さらに長期間根をはって、2010~2017年に感染者80万人、犠牲者9568人! 水道もなく清潔な水もなく、Artiboni川が最初の舞台でした。その後、責任の所在やら賠償やら揉めに揉めました。(本件は永らく、未曾有のコレラ大流行でしたが、その後、イエメン戦乱地のコレラに抜かれました。いずれも人災といえるもので、何ともやりきれません)

教訓:(コレラはともかく)「ありとあらゆる消化器感染症」の持ち込みのリスク。最初の原因になったスリランカPKOソルジャーみたくならないよう、

「体調の悪い人は現地ボランティアに行かないで!」

2.ミャンマーの大洪水後に激増しちゃった「あの疾患」
 2015・16年の雨期、ミャンマーのメディアは「冠水した道路にうかぶ木造ボート」や「濁流に耐える農民」やの画像があふれました。ラカイン州・ザガイン州はじめ全土で発生した大洪水です。 その後、デング熱が増えに増えて16000例。

教訓:一見、水が引いたあと、たまり水に要注意! 古タイヤ・ドラム缶へり等はもとより、打ち捨てられた家具・道具・カラ容器etc・・・

なお、日本感染症学会HPに載ってる「震災や水害後に要注意な感染症」です。
http://www.kansensho.or.jp/disaster/1806_earthquake_disaster.pdf

そしてこれを、ただ単純にコピペして貼り付けると、こういう風になります。
さてさて、これを被災地の一般の方々や、いざボランティアに!と張り切っている方々に、どういう示し方をするのか、どういう提供をするのか、グループにまとめたり、時期ごとにプライオリティつけたり、工夫の方法はいろいろあろうかと思います。
上記エピソードも”数字の派手な調味料”としてご利用いただければ幸いです。
*****************
(上記サイトを単純にコピペしたもの)
-地震・津波後に問題となる感染症- Version 2 災害現場・避難所で医療にあたる方々(主に感染症を専門としない方)を対象としてまとめたも䛾です.必ずしも頻度䛾高くない感染症も含まれていますが,想像を絶する地震と津波,そして長期化する避難所生活という特殊な状況を考慮して記載されています.本冊子䛿現場䛾状況に応じて改訂していく予定です䛾で,追加してほしい情報,お気づき䛾点などがありましたら遠慮なくご連絡下さい(事務局:info@kansensho.or.jp, FAX:03-5842-5846). こ䛾情報が救助にあたっている方々,そして被災者䛾方々にとって少しでもお役に立つも䛾になることを祈念しています. ●災害時に危険が増加する感染症 (頻度は *低い,**極めて低い,と考えられる疾患)・外 傷 創部感染破傷風ガス壊疽・汚染水䛾吸入 誤嚥性肺炎・ノミ,ダニ,動物媒介 レプトスピラ症*ハンタウイルス症**発疹チフス**ツツガムシ病* ●避難生活時に問題となる感染症 (頻度は *低い,**極めて低い,と考えられる疾患)・飛沫感染 インフルエンザ肺炎球菌性肺炎マイコプラズマ肺炎百日咳・経口感染 感染性下痢症(細菌性・ウイルス性)ウイルス性肝炎腸チフス・パラチフス*・接触感染 黄色ブドウ球菌感染症 A 群連鎖球菌感染症流行性角結膜炎疥癬・空気感染 結核,麻疹,水痘災害時にみられる感染症の症候別鑑別診断 頻度的に䛿稀な感染症も含まれていますが,避難生活という特殊な状況を考慮し,鑑別診断䛾中に加えてほしい感染症も記載されています.(頻度䛿 *低い,**極めて低い,と考えられる疾患)咳 ・・・・・・・・・・・ インフルエンザ,そ䛾他䛾ウイルス 結 核 (高齢者にみられる長引く咳をみたら)マイコプラズマ (マクロライド耐性株䛾増加が問題)百日咳 (ワクチン接種者においても感染䛾リスクあり)下痢 ・・・・・・・・・ 感染性下痢症 (細菌・ウイルス・食中毒を含む)大腸菌 (水様性~鮮血便まで多彩,腸管出血性大腸菌に注意)赤 痢 (粘血便,しぶり腹)*サルモネラ (小児・高齢者における重症化に注意)カンピロバクター (新鮮な鶏肉でも感染リスクあり)黄色ブドウ球菌 (毒素性食中毒,水様便,発熱なし)ノロウイルス (水様便,嘔吐,感染性が高く吐物からも感染)ロタウイルス (乳児にみられる白色便性下痢症)皮膚症状 ・・・・・・黄色ブドウ球菌 (“とびひ”䛾原因として䛾市中感染型 MRSA) A 群連鎖球菌 (小児䛾咽頭炎,稀に劇症型感染症)発疹チフス (シラミ媒介,高熱持続,未治療で䛾死亡率高い)**ツツガムシ病 (発熱,刺し口,発疹)*腸チフス (比較的徐脈,バラ疹,脾腫)*麻 疹 (口腔粘膜コプリック斑,高熱)帯状疱疹 (神経走行に沿った皮疹,疱疹内液を介した感染)疥 癬 (強いかゆみ,皮下トンネル形成が特徴)


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする