新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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狂牛病ならぬ狂ラクダ病が騒動になるぞ(ラクダのプリオン病@アルジェリア)

2018-04-17 15:20:58 | 狂牛病/プリオン/クロイツフェルトヤコブ/牛海綿状脳症/狂駱駝病?/

 狂牛病ならぬ狂駱駝病?なる新病名が出てくるか。
アルジェリアのひとこぶラクダからプリオンが検出されたという報告。

  • プリオンを原因とする疾患は、ヒトのクロイツフェルトヤコブ病・山羊や羊の病気として知られてきた。2001年から牛海綿状脳症としてヒト感染から深刻な食の安全問題を起こした。
  • ヒトコブラクダに狂牛病のような神経症状があらわれたのを見たアルジェリアの研究者は、これはプリオンによるものではないかと疑った(注:狂牛病は細菌でもウイルスでもない、単なる異常なタンパクであるプリオンが原因)。
  • Istituto Superiore di Sanità のグループで検査実施、その疑いは確定された。新たな疾患としてラクダプリオン病(Camel Prion Disease)と命名された。リンパ系の所見から、この疾患が広範囲に分布し感染性が高いと示唆される。アルジェリアの他の地域や他国での調査が必要。
  • 広く経済動物として、また、食用としても用いられるラクダにプリオン病が見つかったことは、公衆衛生や食の安全に重大な疑問をもたらす。ヒトコブラクダの飼育はアフリカ北部中部、中東、アジア、オーストラリアで行われており、多くの人々の経済活動にかかわる。多くの地域において、ラクダはミルクの生産や肉類の供給にかかわる。
  • 現時点では、この疾患は牛海綿状脳症(狂牛病)と同一のものではなさそうだが、ヒトへの危険性はまだわかっておらず、さらなる研究が必要である。

う~ん。ヒトへの影響がさらに明確になってきたら、ずっと尾をひく騒動になりそうです。現在進行形でラクダがからむMERS界隈で、ラクダの生乳を禁じたり、接触や肉食を禁じても砂漠の民は従うどころか、これ見よがしにラクダとキスをしたり尿を飲んだりする動画をYoutubeにアップする輩が見られました。プリオンを理由に接触を制限しても実効性は??です。

また、現場から遠く離れた日本でも影響はありそうです。狂牛病はいまや(一般世間的には)すっかり過去の扱いですが、たとえば日本赤十字は指定地域に(国により)1か月~5年いた人間の献血を認めていません。
http://www.jrc.or.jp/donation/information/detail_02/
管理人は91~92年のオックスフォード留学、95~00年の在フランス日本国大使館勤務が引っかかりまして、関西福祉大学に献血車がやってくると学生君の列を横目に見ているだけです(ちょっと学生君の目を気にして「エビデンスもなく締め出す日赤はケシカラ~ン」なんぞと授業中に叫んだりしますが、まあ献血車が来る日だけで翌日には忘れていますから、これは主張じゃなくってナントカの遠吠えってやつですね:笑)
ラクダのミルクとか肉とか、あるいはひょっとして、東京の富裕層向け食品店とか行ったら扱いがあるのかなあ・・・

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/camel-prion-disease-discovered-dromedaries-algeria-study-84046/

‘Camel Prion Disease’ discovered in dromedaries in Algeria: Study

April 14, 2018
 

【追記】
アマゾンで検索してみたら、ラクダ乳の粉末がアップされていました。
加熱する工程がないため、体にいい酵素がそのまま保存(原文ママ)がセールスポイントなのだそうです。ガクブル。
https://www.amazon.co.jp/Desert-Farms-858974005145-%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%AF-%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%80%E3%83%BC-200g/dp/B01HH41DB6


 


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