Tabi-taroの言葉の旅

何かいい物語があって、語る相手がいる限り、人生捨てたもんじゃない

人間の鎖

2009年11月08日 | バルト3国
スライドを使って詳しく解説する黒沢さん

土曜サロンに出席してまいりました。今回は、永らくバルト三国のラトヴィアで日本語教師・通訳でご活躍されました黒沢歩さんによる現地レポート(演題:歌を武器に独立した小国ラトヴィアの暮らし)でした。

バルト三国とは、北からエストニア(首都タリン)、ラトビア(首都リーガ)、リトアニア(首都ビリニュス)の総称です。北はバルト海を挟んでフィンランド、東がロシア、南はベラルーシ、そして南西をポーランドに囲まれたヨーロッパの小国です。この地域についてはあまり知識が無く、せいぜいリトアニアの杉原千畝さんの命のビザの話を知る程度でした。

ラトヴィアの首都リーガは世界遺産に指定された美しい町。この町を愛し、この町で日本語を教えてきた黒沢さんは、リーガの人々の暮らしぶりを豊富な資料とスライド写真を使って分かり易く解説して下さいました。19世紀後半にドイツで全盛を迎えたアールヌーボー(新様式建築運動)の影響を受けた華麗な建物や神話の人物の顔が壁から通りを見下ろしている建築物など素晴らしい景観を見て、この町が「バルト海の真珠」と讃えられる理由が分かりました。

そしていよいよ黒沢さんのお話は「歌の革命」の核心に迫ってゆきます。1989年(平成元年)8月23日、バルト三国の独立運動が頂点に達したのです。タリン~リーガ~ヴィリニュスの間に200万人もの人々が手をつなぐという長大な「人間の鎖」が連鎖したのです。それまで何度も警察の介入によって制圧されてはまた立ち上がるという「独立への思い」は初めて当局の許可を得て、平和裏に実現したのです。その時に人々が手にしたのは人を殺傷する武器ではなくて、祖国への思いを歌った歌でした。こうしてこの「人間の鎖」は非暴力による抗議行動として世界史に刻まれたのでした。

歴史の日:8月23日

一口メモ
BALT:バルト海(英:ボールティック・シー)(独:オストゼー)、バルチック艦隊 

BART:ドイツ語で髭の意味。
徳島県鳴門市坂東捕虜収容所のドイツ兵と地元の人々との心の交流を模写した映画
バルトの楽園(がくえん)

杉原千畝:東洋のシンドラーと呼ばれた外交官。第二次世界大戦中、リトアニアのカウナスという都市で、ナチス・ドイツによって迫害されていた多くのユダヤ人に対してビザを発給

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