タイ式マッサージの衝撃

タイ式マッサージを実地体験することになりました。かつて日本で「揉み返し」による苦痛を味わった私は、以後マッサージは苦手です。あまり気が進まないままの体験開始でした。

右足が終って左足に移る頃、体の異変に気付きました。脈が大きくうねる感じとでも言うのでしょうか？それは私が知っている筋肉を揉みほぐすマッサージとは別のものでした。そう、血流促進という言い方がピッタリです。私より年上のおばちゃんのどこからあんな力が出るのでしょう？無言で淡々と、私の体中に張り巡らせた血管をたどってゆきます。足を揉んでいるのに、不思議なことに両手の指先が痒いように疼いてきます。

衝撃は彼女の指が、私の背中から腰に移っていった時です。私の持病椎間板へルニアによる右足の痺れが無くなったのです。全身がとろけてゆくかのような快楽です。極めつきは首から上のマッサージです。彼女の指が頭を押すたびに足の裏がチリチリと反応するのです。「足の裏には全身のツボ」を生身で実感しました。

私の体はポンプ状態。彼女の二時間の作業は、私の体の末端に鬱積していた血液を心臓に集め、浄化させてから再び全身の毛細血管の隅々にまで送り届けてくれたのです。おそるべしタイ式マッサージ。彼女らは人体の血流の神秘を知り抜いているのです。気が付けばすっかりその虜。まさにの「昇天」の二時間でした。