会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 1421

2018-06-30 23:04:57 | Weblog
会津八一に関するブログ 729

村荘雑事・第5首(会津八一) 2017・12・15(金) 解説

 しらゆり の はわけ の つぼみ いちじるく    
       みゆ べく なりぬ あさ に ひ に け に


 開花を待ち望みながら、白百合の蕾の日ごとに大きくなる様子を表現した。

会津八一 1420

2018-06-29 23:56:26 | Weblog
会津八一に関するブログ 728

村荘雑事・第4首(会津八一) 2017・12・7(木) 解説

 かすみ たつ をちかたのべ の わかくさ の      
           しらね しぬぎて しみず わく らし


 武蔵野の面影を残す落合秋艸堂周辺、遠方の野原を想像して詠う。

会津八一 1419

2018-06-28 18:54:17 | Weblog
会津八一に関するブログ 727

村荘雑事・第3首(会津八一) 2017・11・25(土) 解説

 はな すぎて のび つくしたる すゐせん の       
         ほそは みだれて あめ そそぐ みゆ


 花後の水仙の細い葉が折れたり倒れたりしている、そこに雨が降り注いでいると詠む。

会津八一 1418

2018-06-27 18:46:08 | Weblog
会津八一に関するブログ 726

村荘雑事・第2首(会津八一) 2017・11・13(月) 解説

 きく うう と つち に まみれて さにはべ に      
          われ たち くらす ひと な とひ そね


 菊づくりに凝った八一は、後に「菊の作り方」と言う絵入りの巻物を出している。 

会津八一 1417

2018-06-26 20:52:10 | Weblog
会津八一に関するブログ 725

村荘雑事・第1首(会津八一) 2017・10・25(水) 解説

 きく うう と おり たつ には の このま ゆ も    
            たまたま とほき うぐいす の こゑ


 武蔵野の名残を残す広大な敷地の下落合秋艸堂に移り住んだ八一は心豊かに自然と生活を詠っていく。

会津八一 1416

2018-06-25 20:52:18 | Weblog
会津八一に関するブログ 724

村荘雑事・十七首(会津八一) 2017・10・20(金)
          大正十一年九月より同十三年に至る
村荘
 作者は、これより先久しく小石川区豊川町にて星島二郎君の貸家に住みしを、この時より落合町三丁目一二九六番地なる市島春城翁(1860-1944)の別荘を借りて移り住みしなり。
自註鹿鳴集より   

親戚筋にあたる市島春城(しゅんじょう)の別荘「閑松庵」を無償で借りた八一はここを秋艸堂と名づけ、14年間生活した。下の不動谷を加えると3千坪もあった下落合秋艸堂は学問、芸術が成熟するのにとても役立った。ここで詠まれた村荘雑事17首を植田重雄は「平淡の世界」と言っている。

注 市島春城(1860~1944)
政治家・文筆家。新潟県北蒲原郡生まれ。本名謙吉。ジャナーリスト、衆議院議員、早稲田大学図書館初代館長として活躍した。八一の親戚にあたり、住居の借用など、学業から生活まで手助けした。


会津八一 1415

2018-06-24 18:55:22 | Weblog
会津八一に関するブログ 723

春雪・第10首(会津八一) 2017・10・10(火) 解説

 その夜家にかへりておもふ(第3首)
     
  きみ が ため ふるさとびと の まゐり こむ
         みてら の かど の ゆき は つむ らし


 故郷新潟の菩提寺に移った叔父の魂に多くの人が別れを告げに来る。しかし、菩提寺の前は深い雪が降り積もるだろう。春雪10首を終わる。

会津八一 1415

2018-06-23 19:22:40 | Weblog
会津八一に関するブログ 722

春雪・第9首(会津八一) 2017・9・27(水) 解説

 その夜家にかへりておもふ(第2首) 
    
  みぞれ ふる こし の むらやま さよ ふけて
         きみ が みたま の こえ がて に せむ


 みぞれが降りしきる越後新潟の山々が叔父の魂の帰郷を難渋させるだろうと詠う。

会津八一 1414

2018-06-22 19:05:18 | Weblog
会津八一に関するブログ 721

春雪・第8首(会津八一) 2017・9・22(金) 解説

 その夜家にかへりておもふ(第1首)
        
  たび にして はふれる たま や ふるさと に
            こよひ かよはむ そら の ながて を


 帰宅して、叔父の魂は故郷新潟に今夜帰っていくだろうと思う。

会津八一 1413

2018-06-21 19:16:57 | Weblog
会津八一に関するブログ 720

春雪・第7首(会津八一) 2017・9・13(水) 解説

 六日午後堀の内に送りて荼毘(だび)す(第3首)
   
  はふりど の つち に たまれる こぼれみづ
            さむけき ひかり おもほえむ かも


 火葬場の溜まり水にも寂しさを感じると詠む。

会津八一 1412

2018-06-20 18:46:37 | Weblog
会津八一に関するブログ 719

春雪・第6首(会津八一) 2017・9・9(土) 解説

 六日午後堀の内に送りて荼毘(だび)す(第2首)
    
  ここ にして ひと の かくろふ くろがね の  
         ひとへ の とびら せむ すべ ぞ なき


 火葬炉の鉄の扉の向こうに行った叔父とは二度と会えない、その悲しみ。

会津八一 1411

2018-06-18 22:59:33 | Weblog
会津八一に関するブログ 718

春雪・第5首(会津八一) 2017・8・29(火) 解説 

 六日午後堀の内に送りて荼毘(だび)す(第1首) 
  
  おくり ゆく ひつぎぐるま の のき の は に 
            きざめる くも の ひかり さぶし も


 きざめるくも(刻める雲)とは霊柩車に彫られている金色の雲形模様だがその輝きも寒々としていて侘しいものだと詠う。

        (明日第3火曜日は休みます) 

会津八一 1410

2018-06-17 18:53:10 | Weblog
会津八一に関するブログ 717

春雪・第4首(会津八一) 2017・8・20(日) 解説

 二日飛報あり叔父の病を牛込薬王寺に問ふ
 この夜春雪初めていたる(第4首)
       
  はる さらば やま の しのはら ゆき とけて
           ただに たつ べき きみ なら なく に


 臨終間近の叔父の枕辺で、死なないでと祈る。

会津八一 1409

2018-06-16 17:59:44 | Weblog

会津八一に関するブログ 716

春雪・第3首(会津八一) 2017・8・14(月) 解説

 二日飛報あり叔父の病を牛込薬王寺に問ふ
 この夜春雪初めていたる(第3首)    
   
  よもすがら さもらひ をれど きみ が め の
           ひとめ も わかぬ われ ならめ や も


 一晩中、見守り続けるが、叔父にとって私はもう私として認識されていない現実を悲しむ。

会津八一 1408

2018-06-15 18:08:35 | Weblog
会津八一に関するブログ 715

春雪・第2首(会津八一) 2017・8・6(日) 解説

 二日飛報あり叔父の病を牛込薬王寺に問ふ
 この夜春雪初めていたる(第2首)
       
  われ わかく ひと に まなびし もろもろ の 
          かぞへ も つきず その まくらべ に


 危篤の叔父の枕辺で、この叔父から若き日に学んだことを感謝しながら、何もできないと嘆く。