会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

古川柳(誹風柳多留より)14 完    素空

2012-12-06 22:34:06 | Weblog
 真つ白な名歌を赤い人がよみ
  これも和歌を知らないと分かりにくい。
 「田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞふじの高嶺に雪はふりける(万葉集・山部赤人)」を背景に「真つ白」と「赤い人」を縁語にして詠んでいる。
 「田子の浦にうち出てみれば白妙のふじの高嶺に雪はふりつつ(新古今集)」に対して
 赤人を白妙にした新古今
 と和歌に素早く対応した見事な川柳が詠まれている。

古川柳(誹風柳多留より)13   素空

2012-12-03 23:54:08 | Weblog
 三人で一人魚(うを)食う秋の暮れ
  誰が生臭物の魚を食べたの?と直ちに想定できれば素晴らしい。分からなかったと言う意味で取り上げた。新古今集の三夕の歌(「秋の夕暮れ」を結びとした三首の名歌)が前提になっている。だから、三人は寂蓮法師、西行法師、藤原定家となる。
  さびしさはその色としもなかりけり槙(まき)立つ山の秋の夕暮れ 寂蓮
  心なき身にもあはれは知られけりしぎ立つ沢の秋の夕暮れ    西行
  見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ 定家
 寂連と西行は僧だから魚は食べない。定家だけは俗人なので魚を食べるだろうと言ううがち(表に現れない事実・世態・人情の機微を巧みにとらえること)。川柳もなかなか難しい。

古川柳(誹風柳多留より)12    素空

2012-12-01 00:44:40 | Weblog
 絵で見ては地獄の方が面白し
  極楽は蓮と迦陵頻伽(かりょうびんが・上半身が人で下半身が鳥の
  仏教における想像上の生物)しか描かれてなく退屈なところと言う。
  落語の大ネタ・地獄八景亡者戯(YouTube)はとても面白い。
 極楽は見たい所だが行く気なし
  川柳の世界ではこうひねくれる。しかし、案外真っ当かも。