今月後半に、帝京大学で開催される膵癌セミナーの講師に呼ばれています。テーマは膵癌外科治療のエビデンスと臨床試験です。膵癌外科治療の手術手技と手術の補助療法に関する主なエビデンスを整理して解説する予定です。
手術手技に関するエビデンスとしては、膵腸吻合と膵胃吻合の比較、膵管ステントの有用性、膵周囲ドレーンの有用性、拡大リンパ節郭清の有用性の4つのポイントに絞って調べました。3つのRCTでは、膵腸吻合と膵胃吻合には差が無く、1つのRCTのみで膵胃吻合が良好という結果でした。膵管ステントは有用だったとするRCTが一つで、膵管ステントの有無で膵液漏出に差はないというRCTが一つでした。膵周囲ドレーンの有用性は示せなかったとするRCTが一つだけで、その他には膵周囲ドレーンの有用性を検討するRCTはありませんでした。拡大リンパ節郭清の効果を検討したRCTは3つあり、いずれも拡大リンパ節郭清の有効性は示されませんでした。
補助療法に関する第3相試験で症例100例以上で、有効性が認められたものは2つで、ESPAC-1とCONKO-001試験です。ESPAC-1試験では5-FU+ロイコボリン群が有意に生存率が良好であり、CONKO-001試験では塩酸ゲムシタビンを約半年施行した群で無治療観察群よりも有意に無再発生存率が良好でした。
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