SURGERY NOW note
がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。
 



2017年6月16日に千葉市で開催された千葉県進行膵・胆道癌治療研究会で、borderline resectable膵癌と切除不能膵癌に対するcoversion手術について講演しました。borderline resectable(BR)膵癌とは画像診断上、血管浸潤が疑われて切除可能か不可能か判定の困難な進行膵癌のことです。そのまま切除すると断端にがんが遺残してしまう可能性が高いのです。BR膵癌は、門脈系だけに浸潤のあるBR-PV膵癌と上腸間膜動脈または腹腔動脈に接触・浸潤を認めるBR-A膵癌に分類されます。東海大学の症例BR-A膵癌100例、BR-PV膵癌85例を検討すると、BR-A膵癌の予後はBR-PV膵癌よりも不良でした。coversion手術とは当初は切除不可能な膵癌ですが、化学療法などにより腫瘍が縮小して切除可能になった膵癌を切除することです。遠隔転移のある場合と血管に浸潤した局所進行膵癌がありますが、東海大では遠隔転移例からのcoversion手術の方がやや多い傾向です。

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