SURGERY NOW note
がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。
 



2024年3月の最終講義で、膵がんの術後生存率が2016年以降劇的に改善したことを発表しました。

東海大における2015年までの膵がん約400人の術後5年生存率は23-4%でしたが、2016年以降の約200人の5年生存率は35%と劇的に改善しました。この主な原因はS-1による術後補助化学療法です。S-1による術後補助化学療法を4コース(半年間)できた人では5年生存率が40%以上と極めて良好です。このように今では膵がんでも手術を受けられれば1/3以上の人が5年以上生きることができますので、前向きに治療に取り組んでいただきたいと思います。



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2024年2月18日に、膵がんの診断と治療に関する最新情報を発信する「パープル市民セミナー2024」を行いました。以下の7人が講演いたしました(敬称略)。

小さな膵がんを見つけるには?JA尾道総合病院副院長 花田敬士

膵がんのゲノム医療 東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター教授 柴田龍弘

膵がんの外科治療と術前・術後補助療法 東海大学消化器外科教授 中郡聡夫

膵がんに対する化学療法の副作用とその対策 東海大学消化器内科講師 川西彩

膵がん治療中の自宅での看護とケアの注意点 東海大学消化器病棟看護師 高水杏子

膵がんの痛みを抑える緩和ケア 東海大学緩和ケア科准教授 津田万里

膵がん治療中の食事の摂り方 東海大学付属病院栄養士 山本志保

 

パンキャンジャパンの皆さんのご協力でとても良いセミナーになり、膵がんの患者さんとご家族に参考になったのではないかと思います。

 

 

 

 



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以前、コーヒーを多く飲むと膵癌になりやすい、と言われていました。

しかし、日本人約10万人を11年間観察した疫学研究では、緑茶とコーヒーの摂取量と膵癌のなりやすさ(リスク)には関連がないことが分かりました。ただし、男女別で検討すると男性ではコーヒーをほとんど飲まないグループに比べてよく飲むグループの方が膵癌発症のリスクが低くなる傾向がみられました。つまりコーヒーを多く飲む男性の方が膵癌になりにくくなるのです。

また1日7杯以上緑茶を飲むグループでは胆道癌になるリスクが低いことも分かりました。

 

 



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2022年12月17日午後に恒例の東海大学肝胆膵外科研究発表会を開催しました。

 

今回は大学から7題、八王子病院から3題、そして消化器内科の荒瀬先生の特別講演の計11題の発表がありました。

私は腫瘤形成型肝内胆管癌切除70例の外科治療成績と予後因子について検討した結果を発表しました。

肝内胆管癌の5年生存率は44%でした。リンパ節転移陽性、肝内転移陽性、切除断端がん陽性、そして血管浸潤陽性が有意な予後不良因子であり、多変量解析ではリンパ節転移陽性が独立した予後不良因子でした。つまり、リンパ節転移があった場合が最も再発して亡くなる危険性が高いのです。



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コンバージョン手術とは、最初は切除不可能であったけれども、化学(放射線)療法が著効して腫瘍が縮小した場合におこなわれる根治をめざした手術です。

膵癌ではかなり施行されていますが、最近では胆道癌にも行われるようになりました。

どの程度の割合でコンバージョン手術が可能になるのかはまだ明確になっていませんが、切除不能局所進行膵癌で10%前後、遠隔転移のある膵癌で2-5%、胆道癌では更に低率ではないかと思います。

しかし、有効な化学療法がさらに進歩すればコンバージョン手術がもっと多く行われるに違いありません。

 



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