以下も月刊誌正論今月号に掲載された対談特集記事からである。
スティーブーバノン×小川榮太郎×木村太郎
なぜメディアのウソを信じるのか
米国で起きている根本的な変化
バノン
来たる月曜日、トランプ大統領は米国の新しい国家安全保障戦略を発表します(12月18日に発表)。
これは非常に重要です。
トランプ大統領はこれまでオープンな形で中国の首脳とは対話を続けてきましたが、フィナンシャル・タイムスやロイターから得た情報によれば、どうやらトランプ大統領は中国に対して非常にフラストレーションがたまっており、国家安全保障戦略の中で通商、市場開放についても発表するようです。
米国は中国に対し年間5千億ドルの赤字を出してきました。
中国は付加価値の高い製品を作るようになり、米国はそこへ原材料を輸出するだけの国になってきています。
そこでトランプ氏が選挙戦で訴えたのは「中国から雇用を取り戻さねばならない」ということでした。
トランプ氏が大統領に当選したのは、米国の衰退に対しての米国民の反逆だったのだと思います。
米国には根本的な変化が起きています。
米国にはすばらしい能力があり、中国とは十分対等にやっていけるはずです。
1990年代から中国は豊かになり始め、民主化に踏み出し自由市場も導入し始めました。
しかし今、それとは逆の動きが起きています。
中国が世界のシステムに対して権威を持ち始めており、自由・資本主義の側としてはそれを拒否していかねば、国際的な秩序を守っていかねばなりません。
トランプ氏は中国を戦略的な競合相手として位置づけています。
彼の中国に対する発言は20~30年前から変わっておらず一貫しているのです。
私は2016年8月から選挙戦に加わりましたが、そのプランは3つの変えるべきことを訴えるというシンプルなものでした。
まずは不法入国者たちから主権を取り戻すということ、そして製造業系の仕事を米国に取り戻そうということ、最後に5兆ドル以上が費やされた米国が外国で行ってきた戦争をやめようということでした。
ハイテクノロジーの仕事をする人以外は移民を認めない、との政策は多くの人から抵抗を受けました。
しかしトランプ氏は、経済的ナショナリズムに人種や民族やジェンダーは関係ないと公言しています。
彼が気にしているのはただ一点、米国の市民であるかどうかということだけです。
この稿続く。