メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『空を駆けるジェーン』

2010-04-20 15:49:16 | 
『空を駆けるジェーン』
著者:アーシュラ・K・ル=グウィン 画家:S.D.シンドラー 訳者:村上春樹 講談社

あらすじ
翼を持った猫が冒険を求めて飛び立ち、あるおじさんの家にやっかいになり、ずいぶん優しくされたが、
テレビなどの取材攻撃に遭い、閉じ込められてすっかり自由を失ってウンザリする。
そこを飛び出して、母猫のいるおばあさんの家に行くと、窓は開け放し、首のリボンも取ってくれ、
自由で、愛情たっぷりの生活に満足する。たまに丘の上の兄弟猫とも行き来するようになる。

あとがきより抜粋
原題は、"Jane on Her Own"。「自分の責任で自由に行動する」、「自立する」、「一人でやっていく」という意味。
ほかとは違った能力(ギフト)は、同時に呪いでもある。
一般の人は能力を持った人を憎んだり、気味悪がったり、忌み嫌ったり、迫害を加えることもある。
そのようなギフトを与えられた主人公が、どのようにして様々な迫害や困難を乗り越え、孤立を克服し、
その能力を正当に使えるようになったかという過程を描いた成長の物語。
その能力を正しい目的のために、正しい方法で使えるようになるためには、
ひとつ上の段階に自分を持ち上げなくてはならない。

図書館でいつも気になって手にとってしまうので借りてみた。サイズも手ごろで、絵も可愛い。
「空飛び猫」シリーズの第4弾。そっか、この本の前に3冊あるんだ。
最初から読めばよかったけど、図書館にはこれしかなかったような・・・?
本文のあとに訳者のちょっとした感想まで入った訳注があって、ずいぶん丁寧だと思ったら、村上春樹さんなのね。


つげ義春コレクション2『大場電気鍍金工業所/やもり』 つげ 義春/著
大場電気鍍金工業所 / 少年 / 海へ / やもり / 下宿の頃 / 義男の青春 / 池袋百点会 / 隣りの女 / 別離
解題・高野慎三 解説・悲惨な町の安全運転 赤瀬川原平

メッキ工で働いていた義男。社長は肺病で死に、奥さんは職人と夜逃げ。
父は大島にいた義男が4歳の時に死に、兄弟は母を折檻する義父と住んでいる。
義男は耳の横に穴が開いているオジサンに虐待を受けていて、近所の恵まれた夫婦に「ウチのコにならないか」と言われるが断る。

貸し本屋のマンガを描いて家族を支え、食うや食わずの生活に耐えかね下宿をする。
同僚と池袋で広告の仕事で一儲けしようと考えるが、営業のおやじがお金を持ち逃げして失敗。
ヤミ米の運搬を手伝って一時期食いつなぐ。恋人がほかの男との子どもを宿したショックで自殺未遂をはかる。

自伝的要素が強いが、どれもフィクションが混在しているとのこと。
戦後はみんなすさんでたろうけど、救いのない話ばかり。
なのに読み進めるだけの絵と話になんともいえない魅力がある。
仕事してる時はココロに余裕がないから動物ものなどで癒されたい気持ちが強まるけど、
家でのんびりしてると、逆に毒を注入したくなるからフシギ


つげ義春コレクション2『李さん一家/海辺の叙景』 つげ 義春/著
古本と少女 / 不思議な手紙 / 手錠 / 蟻地獄 / 女忍 / 噂の武士 / 西瓜酒 / 運命 / 不思議な絵 / 沼 / チーコ / 初茸がり / 通夜 / 山椒魚 / 李さん一家 / 蟹 / 峠の犬 / 海辺の叙景
解題・高野慎三 解説・風景にたたずむ「つげ義春」 夏目房之介

水木しげるに絵が似てると思ったら、背景を手伝ってた時期もあったとか。
解説に書いてあったが、人のやり方も取り入れつつ、手塚治虫が確立した物語ありきのマンガの世界を
風景画に語らせる方法を生み出すことになった過程もうかがえる。
流れ着くあらゆるものを見てきた「山椒魚」なんて、とても短いのに強烈。
今ではさほど珍しくない自伝的作品「チーコ」なども当時は珍しく、「暗い」など批判され、筆が止まった時期もあったとか。
弟のつげ忠男さんも漫画家とは驚いた。兄弟でシュールなマンガ描きって凄いなぁ!


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