メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『ソニア 世界でただ一頭の白ラブ』

2011-09-03 11:59:09 | 
『ソニア 世界でただ一頭の白ラブ』(河出書房新社)
葛西謦子・渕上サトリーノ/著 さわたりしげお/イラスト

ご主人が病死したショックで真っ白になってしまった黒ラブさんの話は聞いていたけど、
本書を読んで、その詳しい経緯が分かって、また電車でウルっとなった

あらすじ
大切に飼っていた小鳥が急死したショックから、
そのコに似た小鳥を探してペットショップ巡りをしていた謦子さんは、
1匹の黒ラブの子犬と運命の出会いをする。

家族にしつこく話したのが功を奏して?、我が家に迎えることとなる。名前はソニア。
最初は番犬のように厳しく扱っていた旦那さんが、結局一番可愛がるようになる
喫茶店の仕事を終えてから、毎日2時間の散歩は欠かさず、北海道の長く厳しい冬も同様。
何度も交配させて、ソニアのたくさんの子どもたちは、それぞれの家庭に引き取られていった。

ある日、散歩を早く切り上げて旦那さんが苦痛の表情でうずくまっているのを見た謦子さん。
病院で末期がんと宣告され、急遽手術入院が決まる。
闘病でげっそり痩せてしまったご主人を窓の外から見守るソニア。
2人は遠くからでも愛情を確かめ合っていた。

そして、ご主人が56歳で他界。
そのわずか1ヶ月後からソニアの毛がだんだんと黒から白に変わり始める。
奥さんもソニアも病的に痩せ、気力を失い、この頃の記憶は定かでないという。
数年後、散歩途中の北海道の自然に触れ、謦子さんは思った。


「ああ、幸福というものは
 どこかに消え去るものではなくて
 時折、ほんの一瞬見えなくなる

 でも、それはいつもすぐそばにあって
 静かに自分を見つめることが出来れば
 またきっと見つけることができるものなんだな」(p.73)



謦子さんご家族を取材して、ライターの渕上さんが書いた形なのかな?
巻末には、旅好きだったご主人の人生にも触れられていて、
ソニアのたっくさんの子どもたち、孫たちの可愛い写真も添えられている。
さわたりさんのシンプルながらあったかいイラスト(ご主人とわんこ)もじぃーんとさせる。

ブログもある。


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