メランコリア

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『エネルギーをどうする』(童心社)

2013-09-24 17:39:06 | 
わたしたちの生きている地球4『新しいエネルギーがわかる本 エネルギーをどうする』(童心社)
桐生広人/著

身近なエネルギーの種類や、枯渇状況、新たなエネルギー開発が、写真やイラストで分かりやすくまとめられている。
世界で唯一、原爆を落とされた日本が、他国より積極的に原子力発電を推進しているって皮肉だな


【内容抜粋メモ】



●一次エネルギー
「一次エネルギー」石油、石炭、天然ガス、原子力発電用のウラン、水力、地熱。
石油、石炭などの化石燃料は「枯渇性エネルギー資源」と呼ばれ、あと何十年かでなくなるといわれるが、
その前に、地球温暖化による気候変動が深刻で埋蔵量が使用禁止されるかも。


炭素予算(カーボンバジェット)=炭素排出許容量
気温上昇のスピードは加速し、ここ50年間は過去100年のほぼ2倍あがった
生態系が適応できる環境を守るには、産業革命前から平均気温の上昇を2度以内におさえなければならない。
気候変動をおさえるには、化石燃料の使用をおさえ、二酸化炭素濃度の安定が必須。
グリーンピースの計算では、埋蔵量の約1/4しか利用できないと分かった。
100年後は、気温4度、海面が最大59cm上昇すると予測
再生可能エネルギーへの移行を一刻も早く考えないといけない。

UNEP(国連環境計画)


●化石燃料と地球温暖化
化石燃料の使用は、18C後半の「産業革命」からはじまった。
急激なエネルギー消費は、第二次世界大戦以後。


石油づけの日本
現状のまま使い続けると、あと42年でなくなるといわれる。
1日1人あたりのエネルギー消費量を石油に換算すると、1位アメリカ26L・・・9位日本12L。
エネルギーの75%は先進国で消費され、途上国のうち20億人が電気のない生活をしている。



産油国の中東は、値上げをもくろんで輸出をストップしたりして、
輸入国で2度の「石油ショック」があった。(1973、1979~1980)
第一次石油ショックの77%をピークに、2006年の石油依存度はLPガスをふくめて47.1%。
日本の石油燃料の供給割合は全体の83%と高い。


●相次ぐオイルの流出事故
1997年 ロシアのタンカー「ナホトカ号」が日本海で沈没。北陸地方沿岸にオイルが流れ着いた。
日本も中東からタンカーを使って、交通量の激しい東南アジアの海を通って石油を運んでいる。
長距離輸送の不要なエネルギー資源が求められる。


●天然ガス
化石燃料の中では、二酸化炭素排出量が少ない。
マイナス162度に冷やすと液体になり、体積も1/600になるので、「液化天然ガス」としてタンカー輸送されている。
途上国の成長につれて、地域の需要が高まると、エネルギーの世界市場で奪い合う心配がある。


パイプラインの火災事故@ロシア


●石炭
数世紀にわたって支えられる量がある。
産出地域が世界各地にあり、供給が安定している。
しかし、石炭は燃焼すると、さまざまな有害物質を発生する。
イオウ酸化物、窒素酸化物、煤塵、いちばん多いのが二酸化炭素。

日本は世界で6位の石炭消費国/驚
日本の電力会社は、石炭を「21世紀のエネルギー」として発電用石炭の使用量を増やした。
公害物質をのぞき、発電効率を高める「クリーン・コール・テクノロジー」をすすめているという。

「CCS」
発電所などから発生するCO2を、他のガスと分けて、地下に貯留したり、海洋に隔離する技術。


原子力発電



日本は先進国の中でもまれな原子力発電の推進国。
原子力発電は、二酸化炭素を出さないから、もう20基ほど必要だといっている。

原子炉でウランを燃やしつづけると、ストロンチウム90、セシウム137という強い放射能をもつ核分裂生成物ができる。
「使用済み核燃料」は、強い放射能をもつ核のゴミ。
「再処理」により、大量の高レベル放射性廃棄物「死の灰」となる。

「放射性廃棄物」
高レベル放射性廃棄物は永久管理が必要。ウラン鉱の放射能レベルに下がるのは1万年後といわれる/驚

プルトニウムは原爆の材料になり、再処理すると大量の放射能ゴミが出るから、アメリカやヨーロッパでは再処理をやめた。

日本はフランス、イギリスの工場に再処理の大部分を委託している。
その工場から海に流れ出る廃液の放射能レベルは、自然の放射線量の1700万倍といわれる!
子どもたちが「白血病」になる率が高い。

 

プルトニウムや、高レベル放射性廃棄物を日本に運ぶ海上輸送は、事故の危険性があり、航路や日程を秘密にしているため
通過する国や、環境団体から強く非難されている。
輸送ルートは、六ヶ所村~ラ・アーグ再処理工場まで。

放射性物質は、何万年も管理しなければならない。


●プルトニウム
ギリシャ神話の「地獄の王プルートーン」から名付けられた
一度つくりだされると、半永久的に消えない物質。


高速増殖炉
プルトニウムを効率よく増やして、永久にエネルギー源を得ようとしている。
「核燃料サイクル」は、ウランを使い捨てしなくてもよい。

「もんじゅ」の事故

高速増殖炉の技術は難しく、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど開発をやめた国が多い。
地震などの衝撃に弱く、核暴走(小さな核爆発)しやすい構造。

1995年、「もんじゅ」の事故が起こり、通報の遅れ、嘘の報告などが非難された。
「絶対に起こらない」と安全性を強調した結果の大事故だった(同じこと繰り返してるなあ・・・
その後、ナトリウム漏れ対策工事が進み、原子力委員会が再開を承認したが、
トラブルが相次ぎ大幅に遅れている(ウソみたいな話だね

青森県の六ヶ所村に大きな再処理工場を建設中。延期が繰り返され費用がかさんだ。

日本は、イギリスとフランスに約38トン、国内に約6トンのプルトニウムを持っている。

「MOX燃料」
ウランにプルトニウムを混ぜて使うプルサーマルを2009年から開始。
ふつうの原発より放射能の強いプルトニウムのため、不安を感じる市民が大勢反対している。


●軍事利用への懸念
軍事利用につながる余分なプルトニウムは持たないという大原則にもかかわらず、
日本は需要を上回るプルトニウムを持つことが分かったため、「核武装しようとしているのでは?」と疑われている。


チェルノブイリの事故
1984年。原子炉内の放射能のうち10~20%が放出された。
消火活動した消防士ら31人が急性放射線障害で数ヶ月で亡くなり、
後片付けのために働いた60万人のうち、5000人以上が9年間のうちに放射能が原因で亡くなった。
少なくとも900万人の市民が汚染された。

国際原子力機関(IAEA)は「住民に健康被害はない」と発表したが、多くの子どもが白血病で亡くなった。
ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの3共和国で「甲状腺がん」が大幅に増えた。


アメリカのスリーマイル島

1979年、原子炉が燃えて溶けた/驚
当時としては最新の原子力発電所だった。
住民に避難勧告が出たのは3日後。周辺ではがんの死亡者増加、植物の発育異常が起きている

放射性要素が漏れた時のために、薬品のヨウ素剤を飲めば予防できると発電所に用意されている。


ビキニ事件

1954年、アメリカの水爆実験によりマグロ漁船第五福竜丸が被爆、
乗組員が急性放射能障害になり、半年後、久保山愛吉さんが亡くなった。
日本に初めて大きな市民運動「原水爆禁止運動」が生まれた。


地球温暖化対策として、原発の導入機運がふたたび世界で高まっている。
1基の建設に数千億円かかるなどで踏み切ってない国が多い。
日本はエネルギー資源が乏しいため、商業利用は分けて考えようとして批判勢力が育たなかった(命より金が大事?

再処理して得られるプルトニウムは72%以下という純度の低いもので、核兵器は作れないといわれたが、
アメリカは地下核実験に成功。
インドも行ったため、「核不拡散条約」「包括的核実験禁止条約」を発効させた(アメリカ以外が力をもつのはダメなのか
アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5カ国だけに核兵器が保有され、他国に禁止するのは不平等だとして、
インドとパキスタンは1998年、北朝鮮は2006年に核実験をした。


*************************************新しいエネルギー

「発電ロス」
活用できる割合は、火力発電は約44%、原子力発電は35%、残りのエネルギーは捨てられている。



原子力発電で使った海の水「温排水」が、海の生態系や気象条件に影響するといわれる
原子力発電所は、人口密集地に建設してはいけない、海水が必要だという理由で海の近くにつくられる
電気は、電線を使って長距離を運ばなくてはならず、コストがかさむ。


コ-ジェネレーション

燃焼により発生した熱で発電し、残りの熱も使おうというもの。
すべてのエネルギー効率が80%以上に向上するといわれる。

これからは、小さな発電所をたくさん分散させてつくることが必要。
電線が短くてすみ、廃熱も各家庭に届けられる。

地下に火力発電所を設けて、家庭や公共施設に送り、廃熱で温水プールにしている。
電力会社以外の者がコ-ジェネレーションでつくった電気を売ることは禁止されていたが、
1995年にこの法律が改正され、一部では電気を自由に売買可能になった。

大きな工場で自家発電して得られたエネルギーの余りは捨てられている。
コ-ジェネレーションは、2008年には全国の電力用発電設備の約3%を占めている。
今では、家庭でも「燃料電池」という小型のコ-ジェネレーションが利用可能。


●電気の売買
余った電気を電力会社に売れると効率的に利用可能。
太陽光発電などの再生可能エネルギーと蓄電池を結びつけて、コンピュータで調節する「スマート・グリッド」の研究が進んでいる。


●太陽エネルギー
自然エネルギーの1つ。3kwのシステムで、年間3000kw以上発電できる。
これは、電気代が月6000円程度の家庭なら、1年分の電力を充分まかなえる
電気の消費量が少なければ、電力会社に払う電気代より、電力会社から受け取るほうが多くなる。
今はまだ3kwの発電に200万円程度の費用がかかるから、たくさん普及が進むとよい。

アメリカの砂漠地帯では、何百枚もの太陽電池を設置し、火力発電所並みの電気をつくる太陽光発電所がある。
日本政府は1994年に、一般住宅向けの太陽電池の設置を支援する補助金制度を設けて徐々に増えた。
10年後に制度を廃止して、伸び悩んだ(なぜ廃止?

新エネルギーに熱心なドイツは、2000年に「固定価格買取制度」を設け、2006年にはスペインも制度を進めた。
「固定価格買取制度」を導入している世界の国、州、地域は累計63以上ある。

もともと日本は、太陽電池開発先進国で、生産量も世界の約1/4を占めていたが、2005年に補助金制度を廃止した。
この政策の失敗を批判され、2009年に復活させたが、全量買い取りを求める声が高まっている。


●風力発電

太陽光より安い。海に囲まれた日本には適地がたくさんある。
実現すれば、国内の年間消費電力量の約1割が得られるといわれるが、
渡り鳥がぶつかる、写真を撮ると風車が写って目障りだという声がある
逆にこの景観を観光名所とする案もある。


●バイオマス発電
生物体をエネルギー源に使う発電。サトウキビの屑などからエタノールをつくり自動車用燃料として利用。「バイオディーゼル」

アメリカではトウモロコシからつくる燃料が推進されたが、
世界的にトウモロコシの需要が高まって値上がりし、食糧供給に問題が起きているため、
非食物用の植物の利用が進められている(難しいねぇ・・・

雑木・雑草等からメタンガスをつくって発電するものもある。
廃木材は、木質ペレットをつくり、暖房・給湯に利用可能(森林伐採にならないかい?


●燃料電池
宇宙船の電源として開発された発電機。軽量で小型なので、電気自動車の電源としても注目されている。
窒素酸化物などの発生も少なく、騒音や振動が小さいことから、マンションや公共施設の地下などでも利用できる。


●地熱発電
火山の地熱を利用する方法。日本では多く活躍している。
1位はアメリカで300万kw、日本は5位で約50万kwの電力が得られる。


●波力・潮汐発電
海の波の運動を利用した方法
日本の海岸は、波力エネルギーが大きいので期待されている。


●小規模水力発電
最初の設備建設費は高いが、できてしまえば整備だけで、燃料を使わず、ほぼ半永久的に発電できる。
現在の原子力発電の約4倍もの能力があると推定されている
しかし、環境や生態系に悪い影響を与える。
昔からあるたくさんの水車小屋を発電所にかえて利用する案もある。


●「低炭素社会」をめざす
化石燃料の使用から出る炭素を増やさないよう、交通・経済・社会のシステムを変えること。
「安い石油とガス」の時代は終わろうとしている。ウランもかぎりがある。

グリーンピースは、太陽光・太陽熱・風力・バイオマス・地熱・水力などの再生可能エネルギーで
世界のエネルギー需要の半分をかまなえるという研究報告をした。

原子力発電の段階的廃止、化石燃料の消費も大幅に削減できるとしている。
2007年までの7年間の成長率を、さらに7年間続ければ、原子力発電所がなくてもエネルギーの供給は十分になるという。
(早く脱却できるといいのに・・・て、もうすぐ7年後じゃん


巻末には、身近なものからエネルギーを作る実験方法などが分かりやすく書いてあった。

●身近なソーラーシステム
電卓、腕時計、ソーラーカーのおもちゃなど。

●太陽電池
太陽電池のセルに、太陽光が垂直に当たるのがもっとも効率がよい。
高度なソーラーシステムでは、太陽を追って向きや角度を変えられる。
日差しが弱い時、夜間は、電気を蓄える蓄電池がシステムに組み込まれている。


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