メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『星なしで、ラブレターを。』石井ゆかり/著

2012-01-27 16:38:47 | 
『星なしで、ラブレターを。』石井ゆかり/著(幻冬舎コミックス)

ネットでも公開している「石井NP日記」をまとめて、追加修正した1冊とのこと(NPてなんだろう???
ブログを始めたのは2005年1月末だというので、わたしとあまり変わらないんだな(ブログのほうはチェックしてなかった/謝
書籍のほうは2008年発行。「モノローグというより手紙」てゆうスタンスも共感できる。

石井さんもテレビで阪神大震災のニュースを見てから、当事者ではないのに高所恐怖症になり、エレベーターにも乗れなくなったという/驚
父親もすでに亡くしていて、幾多の苦しみを越えて、なお抱えているからこその文章だったから、わたしも共鳴したんだな、と納得した。
どちらかというと、苦しみを詳細に見つめた文章が多くて、今はとくに読み進めるのがツライ感じがしたけれども、
その先にある強さ、希望も感じられ、一緒に共感して歩いていってくれる感じも伝わってくる。

わたしも彼女のように、今の苦しい状況を受け止め、もし乗り越えられた後には、
周囲にやわらかいやさしさや包容力、支えあえるだけの力を持てる人間になれるのだとしたら、
一見、八方塞なこの状況も、あきらめずに見つめていけるのではないか。

写真を担当した相田諒二さんは、古典絵画のような光と影のコントラストが印象的。
異国のようでいて、実は新潟の日常風景なんだって/驚
ご本人があとがきに記したように、アートは日常にある。見逃しているだけで。
ただ、ここまである瞬間を美しく永遠に写真に留める技術がないから、見て感動しても忘れてしまうしかないってのもある。
何気なく撮っているようでいても、限りない時間と手間、労力をかけているのだろうし。

色彩の魔術師と言われるエルンスト・ハースに影響されたんだとか。


以下は、本書の抜粋メモ。

ほんとは前半にもたくさんあったのに、メモを忘れて返却してしまった
「約束が守れなかったことがいけないんじゃなく、忘れられ、大切にされなかったことがいけない」p.17
「相手のいいところを褒める」p.40
ほか、p.21、p.28、p.42、p.46、p.52。


p.103
その変化が訪れたとき、それを引き受けるか引き受けないかを、人はいつも選んでいるのだ、と。
運命は決まっていない。見るべきものを見るかどうかで、そこで引き受けるかそうでないかで、道が分かれるんだ、と。


p.108
嫌悪感や感情の痛みに負けて、その出来事から目を背けてはならない。ほんとうに無くしたいのであれば、見なければならない。


p.154
苦しくて辛い時こそ、「自分」が「ここ」にいるってわかる。


p.168
何かが変化する瞬間には、いつもとちがうものが見える。
タイミングが本人の予測どおり、期待通りにカチカチかみ合っているときは「限界越え」は起こらない。
自分の手で自分の限界を広げることが必要なとき、すべてのタイミングは、ずれるのだ。
そのタイミングのズレこそが、タイミング、なんだろう。


p.196
きれいなセルフイメージに固執してしまうのは、幼稚な感性なのだと思う。もちろん、自尊心や誇り、理性とかは大切だ。
でも、子どもが持っているような全能感のサブセットをこんな年まで漠然と、傷つかないように硬い缶におさめてもってるなんて、恥ずかしい、ばかばかしいことなのだ。

万能で強く魅力的な、絶対的な力を持った自分の姿を子どもの時は夢想する。
でも、大人になると、人は自分の姿を「現在地」としてありのままに認識しなければならなくなる。
そして、子どもの頃よりも、それが容易なのだ。

なぜなら、人間が「個」として完結した存在ではなく、常に他者や外部とのつながりのほうに広がっていく存在だ、ということが解っているからだ。
自分が一人で完結する存在ならば、限りなく完全で強くなければならない。
でも、他者と関わるところに、その架け橋の上にある喜びこそが一番の価値であり目標なのだとすれば、人は完全であるよりも、自分と他者の差を認識するだけでいい。
その短所と長所のコントラストを、弱さと強さが響きあうところに生まれる輝きを見つめて、惚れ惚れと見つめるだけでいい。

「真に重要なものは、一人一人の人間の機能ではなく、
 彼らの間における権限と責任の関係である。
 音楽にたとえるならば、組織とはメロディーである。
 重要なのは個々の音ではなく、音と音との関係である」(P.F.ドラッカー)


p.200
感情の存在を無視せずにあえて痛みをいたいいたいと感じきれたとき、痛みを恐れていたときに恐れていた未来とは全くちがった「現実」がおとずれる。
所詮想像は想像の域を出ないのだ。本当に起こる感情と、想像してそれに飲まれることを恐れる「感情のイメージ」は、似て非なるモノなのだ。

て、これはこないだの「あさイチ」でゆってたことと似てるな。




単語メモ
ノード(node)=植物の節の意。活動・組織などの中心点。集合点。
サブセット(subset)=全体の一部分。
経験則=実際に経験する事柄から見いだされる法則。
反語表現
1 断定を強調するために、言いたいことと反対の内容を疑問の形で述べる表現。「そんなことがあり得ようか(あるはずがない)」などの類。
2 表面ではほめ、またはそしって、裏にその反対の意味を含ませる言い方。多くは皮肉な言い方となる。「ふん、よく出来た子だよ(まったくひどい)」などの類。

故事成語


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