メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『のらねこ。』中川こうじ

2013-03-20 12:21:53 | 
『のらねこ。外で暮らす猫の姿をありのままにとらえたフォトエッセイ』(エンターブレイン)
中川こうじ/著

Street Cat's
著者の中川さんが管理人をしているサイト。
里親募集を行ったり、各地のノラネコ保護活動に写真家として協力し、写真展も開催されている。

【内容抜粋メモ】

 

人はときにキバをむき、ときにやさしい
だから、どこまで信じていいのかわからない
とにかく、生きることに専念している p56


 

食べるときは、分けあって食べる
眠るときは、敷物を分けあって使う
楽しいこともつらいことや悲しいことも分けあっていく
生きようとする力も生きているという実感も
ときには命さえも分けあって、
支えあって、生きてゆく p74




ぼくは思う。人間は生き物の頂点ではなく、地球の生物の一員だと。
そして、その命は共存してこそ初めて、生きているといえるのだと。 あとがき


街角で見かけるノラさんを可愛く撮ったフォトエッセイだと思って読んだらまったく違っていた。
私は、これまで“猫がのんびり路上で暮らしている町は、人ものんびりと暮らせる町だ”と思ってきたけれども、
中川さんはそれを真っ向から否定する。
「それはヒトの身勝手な言い分だ」と叱責された気がした。

ノラは毎日生き延びるのに必死なんだ。
1日生き延びるための食べものを探し歩き、
1日生き延びるための寝床を探し歩き、
たまにヒトに可愛いと撫でられたかと思うと、
次には殴られたり、もっと醜い仕打ちをされる。

 

助け合い、分け合うココロを失った厳しい現実は、
「人間社会の縮図」でもあると、中川さんは書いている。
実際、数えきれないほどのか弱い命を自らの手の中で失い、
その写真の一部は本書にもおさめられている。
これが現実なんだ。

離島で漁師さんから魚をもらって生きているコらもいる。
ヨーロッパの街角で暮らすノラは、町中のヒトに見守られて幸せそうにしている写真集もある。
あれも全部ウソなんだろうか?
それとも日本の都心で生きるノラの生活が特別過酷なのか???

これまで街角でにゃんこを見かけるたびほっこりしていた気持ちが根底から否定されてしまった。
かといって今の自分に何をしてあげらるか分からない。
町に住むノラさんたちが1日も早く、ひとりでも多く、良縁と巡り会って、
それぞれの安心できる家庭で寿命がまっとうできますように。ように/祈×∞


コメント    この記事についてブログを書く
« 宮沢賢治『若い木霊』 | トップ | ビートルズ・アンソロジー V... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。