メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1993.11~ part1)

2012-12-22 13:58:19 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は赤色のノートから10作ずつをご紹介。

  

photo1:基本形(ジャン・ユーグ・アングラード特集記事
photo2:ここにもスティーヴン・キングあり
photo3:シンディのライヴに行った時の衣装のヘタっぴなイラストとかw(体調不良で一度延期されたんだよね

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ラスト・オブ・モヒカン』(1992)
監督:マイケル・マン 出演:ダニエル・デュ・ルイス、マデリーン・ストー ほか
今年話題となった作品の一つ。「モヒカン族の最後」を映画化。
雄大な自然の中でインディアン青年とイギリス女性の古典的ラブストーリー。
シンプルでピュアなインディアンらの生活は、私たちのルーツであるにも関わらず、
歪んで荒んだ現代社会と全く両極にかけ離れてしまったことを訴えているのかも。

作品を引っ張っているのはデュ・ルイスとヒロインのストー。
作品ごとに全く違う側面を見せてくれるルイスは、今作では陽にやけた褐色の肌、
波打つ黒髪、精悍な肉体、どこをとってもインディアンになりきっている。
対するヒロインは美しい白い肌にブルネットで対照的。清純な美しさが輝いている。
今となってはインディアンは血生臭い争いを好み、話の通じない人種のイメージが強いけれども、
家族愛、部族の結束など、私たちが失ってしまったものをいつまでも守り続けている
彼らの文化、考え方をもう一度振り返ってみたほうがよさそうだ。


『そして船は行く』(1983)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:フレディー・ジョーンズ ほか
逝ってしまった愛すべきイタリアの映像の魔術師フェリーニへの追悼の想いを込めて。
その美しさと1シーン1シーン瞬きするのももどかしいくらい驚きに満ちた巨大セット、
親しみ深い不思議な登場人物たち、彼の頭の中に溢れるイメージそのままに賑やかで色とりどりなストーリー。
きっと天上でも観客を前に楽しいサーカスの世界を披露しているんじゃないかしら?

レンタル屋でもささやかながら、彼のコーナーが作ってあって、
私がまだ観ていないものもいくつかあったうちの1本。
なんとオペラの歌姫の葬儀の物語。
サイレント、セピア色の懐かしい映像で始まり、音楽、色が加わり、話の案内役はお茶目な風貌の記者。
政治的な問題も重なって暗くなってもいいはずが、様々な人間模様を浮き彫りにして、
ラストまで陰気臭さが全く感じられない、どこかおどけたところがフェリーニ独特の言い回し。
みんな個性豊かで、異国文化への好奇心や不安感がストレートに描かれている。
2時間たっぷり、登場人物とともに船旅をしているようだ
数々のクラシックが流れているのも心地よい。純粋無垢な天使みたいな少女が印象的。


『寄席の脚光』(1950)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:ペッピノ・デ・フリッポ、ジュリエッタ・マシーナ ほか
フェリーニ初監督作品。彼の大好きな芸人一座をヒューマンタッチで描いている。
チャーミングで、男に捨てられてもなお慕い続ける情が深い女優役を演じたマッシーナが今作で賞をとったらしい。
今じゃテレビ画面と向き合う味気ない娯楽が主流だけど、当時は貧しくても
巡業する中で喜び悲しみを共にして、生のショウを観客と楽しむ芸人の世界があった。
フェリーニ調の不思議な映像美はまだ現れていないけれど、様々な個性がぶつかり合い、絡み合う人間模様。
つくづく彼は映画を愛するのと同じくらい、人間を愛していたんだなとしみじみ伝わってくる
アメリカから渡ってきたという黒人トランペッターがよかった。


『フック』(1991)
監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ロビン・ウィリアムズ ほか
出演者の顔ぶれの豪華さ!スピルバーグの超出費作?としても話題となった今作。
原作を初めて読んだ感動のなごりをひいて、その映像化にすごい感激と驚き
本やアニメもよいメディアではあるけど、やっぱりリアルに再現して見せてくれるこの映像の素晴らしさ!
大人になってしまったピーターのその後話を作るなんてアイデアがすごいけど、
リアルで親しみやすく、家族愛が原作を汚すことなく感動的に描かれていた。

難解な役もロビン特有のキャラならでは、ちっとも不自然なく、なりきった演技で引きこまれてしまう。
脇を固めるダスティン・ホフマン、ボブ・ホフキンス、ジュリア・ロバーツ、
それぞれが自分の役を楽しんでやっている感じが伝わる。
音楽もディズニー張りで、子どもは皆天使のように可愛い
子どもの世界には、人種や国境等のしがらみ、制限など何もないんだというスピルバーグの意図も感じられる。
「冒険は終わっちゃいない。人生こそ最大の冒険なんだ」
2時間たっぷり泣いたり、笑ったり、すっかり童心に戻った。


『マーラー』(1973)
監督:ケン・ラッセル 出演:ロバート・パウエル ほか
ラッセルはこの2年後、あの壮大なロックオペラ『トミー』を撮っている。
ポップやロックが体に浸透している自分としては、
クラシックの深遠かつ崇高な魅力と美しさの価値はよく分からない。
天才が担わざるをえなかった不幸、貧困、夭逝は同じでも、今作を観るかぎり
チャイコフスキーよりマーラーのほうがまだその苦しみが軽く見えるのは、彼が異性愛者だったから?
途中回想が入ることで、生い立ちや妻マイラとの出会いなどが紹介されてゆくというパターンで
ラッセルの奇抜なアイデアと映像が展開されてゆく。
マーラーとマイラを演じる2人の個性的で魅力的な俳優、前衛的といわれたマーラーの曲が作品中に流れる。
でも、どうして天才作曲家って偏見や無知で未発達な医術の時代の犠牲になってしまうのか


『ボッカチオ'70』(1962)
【第1話レンツォとルチアーナ】
監督・脚本マリオ・モニチェリ 出演:マリサ・ソリナス、ジェルマーノ・ジリオーリ ほか
なんだかんだいってもちゃんと愛が2人を結びつけていて、一緒に頑張っているところを見ていると
こんな生活もいいかもしれないと思えてくる。
ヘアスタイルやファッション、化粧などが、私の母が若かった時代の感じで、
男優もハリウッド系なルックスだったり、デートスポットのダンスホールなんか、
こんな風だったのかなあと想像すると面白い。とっても人間臭いリアリズム。

【第2話アントニオ博士の誘惑】
監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ 出演:アニタ・エクバーグ ほか
フェリーニのお馴染みの不思議な世界。巨美女アニータと蟻んこサイズの博士とのやりとりなど、
今じゃ見慣れた特殊撮影も、当時は相当な苦労と工夫が必要だったみたい。
別撮りを組み合わせて、思い切り作りものっぽいシーンはかえって微笑ましい
必ず巨大セットで四次元世界を楽しませてくれるフェリーニ。とにかく観ていて楽しい。
アニータの豊満で円熟した美しさはまさに世界でも比類なし。
今作は性描写なんたらより、広告が人々の深層心理に及ぼす影響がどれだけ大きいかを伝えている気がする。
毎日、毎日、テレビや、通りから何気なくて覚えやすいメロディに乗って
商品名が記憶や意識の中へ浸透していって、いつのまにか操られてゆく。
CMの氾濫、その悪用によって、私たちも博士のように我を忘れる悲劇にならなきゃいいけど。

(あれ?ウィキ見たら第3、4話もあるみたいだけど、ノートには書いてないのはなぜ?


『めぐり逢えたら』(1993)(劇場にて
監督:ノーラ・エフロン 出演:トム・ハンクス、メグ・ライアン、ビル・プルマン ほか
なかなか評判が良かった今作品。まさに“男女の運命の出会いとは”を思い切り分かりやすいファンタジーにした映画
何がよかったって、作品を飾る名シンガーによる名曲の数々
1時間も劇場で観ているとお尻は痛いし、ダレてくるのを、ジャズの軽快なリズムで、
しっかり観客の心をつかむコツを心得ているハリウッド映画。
主演は身近にいそうな親しみあるルックスのハンクスにメグ。子役も可愛い
劇中劇の『めぐり逢い』(ケーリー・グラント、デボラ・カー)も大きな鍵。
'50年代の純愛映画はいまだにゆるぎない理想として、恋する乙女の根底にあるっていうのには共感できる。
できすぎた話ではあるけど、どこかにきっと自分にピッタリのベターハーフがいるって思い描くのは楽しいもの。
それをいかにもありそうに描いた今作は、Dream's come true のアメリカらしい精神かも。


『サルート・オブ・ザ・ジャガー』(1989)
監督:デヴィッド・ピープルズ 出演:ルドガー・ハウアー ほか
ハウアーはルックスも他にない魅力と演技力も充分にあるけど、
なかなかアンチハリウッドで表に出ない代わりに、B級じゃないマイナー作品を選ぶ眼がある。
このエキサイティングで目新しいSF近未来映画は、
他のSFにある政治的、未来への警告なんかを排除して、
ひたすらシンプルで命を賭けたゲームとジャガー(闘士)らを描いている。
実際に存在しないのに、いつかこうなるかもしれないという現実味をもつSF。
今作の世界も人類のこれからの姿と無関係とは言い切れないのかもしれない。
核戦争後らしく、残っているものといえばガラクタばかり。
しかし、それらを最大限に利用して雄々しく暮らしている人々。
戦闘武器もコンピューターばかりのSFと違って手製なのがより現実味を感じさせる。
ラストの戦闘シーンは、ところどころスローテンポの映像、効果音がより興奮を高め、
思わずのめりこんでしまう迫力がある。

ジョアン・チェンはハウアーともう1本似たような近未来もので共演しているけど、
『ラストエンペラー』とはうってかわった、女戦士でありながら可愛いらしさをもつ役を体当たりで演じていてイイ。
さりげない無情さが漂って、まったく低予算さがなく、期待以上の1本。


『遥か群衆を離れて』(1967)
監督:ジョン・シュレシンジャー 出演:テレンス・スタンプ、ジュリー・クリスティ ほか
まあ、60年代としてはこんなところか。いくつか話に不自然な展開があったから
文芸大作と言えるかどうかはちょっと賛同しかねるけど。
先日観た仏映のテレンスに比べたら、この頃は若くて、色男役を演じるこんな俳優だったのかと驚いてしまう。
犬が羊を皆岸壁の下へ落としてしまうシーンも信じがたいけど、
あらゆるシーンが暗喩だとしてもあまりに突飛で訳が分からない。
女主人公が鏡を見てうっとりする自己愛が強いのも変な感じ。


『ルームメイト』(1992)
 
監督:バーベット・シュローダー 出演:ブリジット・フォンダ、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか
サスペンスもそろそろネタ切れかと思いきや、こんな新手の心理的恐怖を見せつけられるとは、
凄くショッキングだけど、サイコ映画ファンには堪えられない。期待を裏切らなかった1本。
特筆すべきは、なんといってもジェイソン・リーのサイコっぷり。フォンダと本気で乱闘するシーンは凄い迫力。
元々アブノーマルな女優さんだけど、まさにハマった感じの今作。
2人ともそれぞれ個性を持つ実力派だから今後の期待度も大きい。
一緒に住むなら趣味も合うほうがいいけど、ソックリに真似されるとこれはまさに心理サスペンスの世界。
原作も面白いっていう噂だし、読めばもっと深く理解できそう。


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