メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1993.1~ par5)

2012-11-14 10:58:32 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。これで白いノートのメモは最後。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『プロスペローの本』(1991)
監督:ピーター・グリーナウェイ 出演:ジョン・ギールグッド ほか
『コックと泥棒、その妻と愛人』にも劣らぬ豪華絢爛さ、映像と話の濃密さ、時にグロテスクで、時に崇高。
特に、途中で次から次へと秘密の源の本が紹介されるくだりはスゴイ
それぞれ全てを極めた第一級の書物がちゃんと映像化されていて、本当に実在するのかと思わせる。
それを惜しげもなく処分してしまうところもシェイクスピア原作だからなせる業か?
原作『テンペスト』を読んでいないから、どこまでが演出なのか見当がつかないが。

『プロヴィデンス』のギールグッドが時に残酷に、時に学を究めた最高の国王としての
寛大な優しさをその膨大なセリフ(ほとんどどの人物の声も彼のセリフに複声を重ねてある)と共に見事演じきっている。
話は少々難解。ほとんどが裸体に近い格好で登場するが、ワダ・エミの奇抜な衣装も見逃せない要素の一つ。
素晴らしく妖しい虚構の世界。一度観ただけでは、その本当の意味や映像や凝ったセットの細部、
セリフの一つ一つまで読み取るのはとても不可能だ。


『ネイキッド・タンゴ』(1990)
監督:レナード・シュレーダー 出演:マティルダ・メイ ほか
チョーロがなぜそこまでタンゴにとりつかれたか語られないし、
もっと孤高のままでいてくれたらミステリアスで刺激的なのに、
中盤から平凡なメロドラマになったような感じ。現実味はあるかもしれないけど。
イザベル・アジャーニが最初のキャスティングだったらしいが、
マチルダ(アリッサ・ミラノによく似ている)もなかなかの変身ぶりで妖しい美女の魅力を出していた。

途中何カットもヴァレンティノがタンゴを踊る映画のシーン(先日観たのとまったく同じ!)があって、
本物はやっぱりノッペリした無表情だったけど、時代が表れていて効果あり。
「心が裸にされたみたい。あなたの腕の中で踊りながら死なせて」
タンゴ映画だけど、あまり本場のタンゴシーンの見せ場はなし。


『QUEEN GREATEST FLIX Ⅱ』(1991)
サイコー もっと渋い曲調のイメージがあったけど、全てヒットナンバーのビデオクリップが
一挙に見れるなんて、予想をはるかに超えたハッピーな気分。
つい先日、ボウイも参加した「フレディ・マーキュリー追悼コンサート」のフレディってこのヴォーカルの人だったのね。
エイズで亡くなったらしいけど、活躍していたのが'80半ば~なんと'91の曲まで今作に入っているからビックリ。
UNDER PRESSUER ではボウイもコーラスで参加。クリップにも1カットのみ出演している。2人の関係も新たな発見。

それぞれサイコーだけど、最初の♪A KIND OF MAGIC の始まり方からハイ・テンション
映画『メトロポリタン』のシーンを入れたものや、子ども版クイーンのちびっこたちと本人らが一緒に演るシーンも。
それから、なんと女の子に扮したメンバ(特にドラマーは異常にカワイイ!)、
フレディが妖しげでコミカルな男を演じている♪The Invisible Man、列車の上でパフォーマンスを見せる♪BREAKTHRU、
ライヴヴァージョンもあり。信じられない広さの会場に信じられないファンの数
スケールの大きいオーケストラ版♪WHO WANTS TO LIVE FOREVER、レコーディング風景もありetc.etc...

「みんなに夢を与える」って気持ちがひしひし伝わってくる。
始終一貫してテンションの高いフレディのパフォーマンスが楽しい。
早速アルバムのほうもチェックしたくなる。これは永久保存版の1本。

(なるほど。ここで初めて出会ったのか。新鮮な感動メモ。ロジャー・テイラーの女装はマジで可愛い!



『恋しくて』(1987)
監督:ハワード・ドイッチ 出演:メアリー・スチュワート・マスターソン、エリック・ストルツ、リー・トンプソン ほか
たまにはちょっと観てみたくなる、人気のジャンルのひとつ、ハイスクール・ロマンスもの。
『プリティ・イン・ピンク』では同じ生徒同士の階級を越えた恋でも、
今作は男女のシチュエーションが逆で、ちょっと出来すぎにも思えるけど、
身近すぎて気づけなかった友達が恋人に変わるっていう映画マジックでハッピーエンディング。

マスターソンはどこにでもいそうな女の子だけど、スクリーン上ではちゃんと光ってて、
一作ごとに微妙に表情が違って見えてくる魅力を持っている。
ストルツがアウトサイダーな美術青年役。ピュアで包容力ある男子をクールに演じている。
ちなみにトンプソンのスクールファッションは参考になりそう。
学園イチの美人をはるだけあってメイクやドレスアップも気合い入ってる。


『1900』(1976)

監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:バート・ランカスター、ロバート・デ・ニーロ、ジェラール・ドパルデュー、ドナルド・サザランド、ドミニク・サンダ ほか
ベルトルッチが『ラスト・タンゴ・イン・パリ』以前に撮ったにしてはこのキャスティングでこの超大作
一番仰天なのは、サザランドやドパルデューがとにかく若い 最初誰だか分からなかった。
デ・ニーロは未だにどんな年齢にもなりきれる特異体質だけど。
監督も含め、この4人の役者らは今作以降も素晴らしい作品を次々と生み出し、
今なお円熟の頂点にいるわけだから、今作にその芽がまさに伸びようとする才能のルーツが見れるだろう。

デ・ニーロとサザランドはアメリカ生まれ、ドパルデューはフランス人、監督はイタリア人。
それでどうやって一つの村の物語りを完成させたのかとっても不思議。
ラストの数十秒のシーンはこの長編の中で最も衝撃的。
デ・ニーロとドパルデューの老人演技も凄い。

身分の差から始まって、生まれた時から敵同士でありながら、死ぬまで親友だった2人の男。
それを激動の時代、イタリアを舞台にして、ベルトルッチの初期作品とはとても思えない、
想い入れたっぷりのスケールの大きな1作。
観終わってどことなく『ラストエンペラー』を思い出す。

「私は誰一人傷つけなかった。誰一人」
「しかし地主がファシストを作って、農民を苦しめ私服を肥やし、
 有り余る金で戦争を起こし、農民を兵士として送り込んだんだ」

アルフレッドは結局地主である自分に満足していたのか?
それとも政治や周りのゴタゴタからいつも隠れ場所を探していたのか?
同じ40代にオルモが活き活きした眼を持っているのに比べ、アルフレッドはすっかり老け込んでしまっている。
でも、誰の人生も客観的に見ればあやふやで平坦なのかもしれない。
特に、こんな時代に少ない選択肢の中から自分がどちら側で、どこと敵対しているのか知ることは容易じゃない。

これらの「イズム」は現代でも生き続けている。
労働者がまだ真の自由、働く自由、言動の自由等を得ていないということだ(ジョンはこれらに永遠にバイバイすると歌った
世代が変わっても、罪なくして罰せられ、それでもなお団結して戦い続けて死んででいった、
無知だが不屈の魂は受け継がれている。



(マイベスト。もう一度観たいうちの1本だけど、ビデオ時代で3本分の長編だけにいまだそのまま
 ドミニク・サンダはクールビューティで大好きな女優さん。




コメント    この記事についてブログを書く
« ますむら・ひろしの「ゴッホ... | トップ | notes and movies(1993.1~ ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。